2020.08.04 2022.10.03

自己破産と個人民事再生どちらを選択すべきか

自己破産と個人民事再生どちらを選択すべきか

借入が増えてしまい、返済が難しくなってしまった場合に、債務整理を行うケースが多く見られます。
自己破産や個人民事再生は、借金を大幅に減らしたり、完済したりできるため、返済が難しくなってしまった時に利用すべき手続きだと言えます。
しかし、この2つは債務整理に含まれているものではありますが、大きな違いがあるのです。
今回は、自己破産と個人民事再生の違いや双方のメリット・デメリット、どちらを選ぶべきか、解説していきます。
債務整理を検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。

自己破産と個人民事再生の違いとは

自己破産は借金の返済を免除してもらうことができ、個人民事再生は返済額を大幅に減らしてもらえる手続きです。
自己破産や個人民事再生のように借金の返済負担を減らす手続きの総称が債務整理と呼ばれています。
債務整理の中でも、債権者と個別に交渉して返済方法を見直す任意整理を利用するケースが多いですが、中には自己破産や個人民事再生を利用するケースもあります。
この2つは、どちらも裁判所を利用した手続きだという共通点はありますが、違いもあるのです。
まずは、自己破産と個人民事再生の違いから見ていきましょう。

自己破産

自己破産は、法律で特別に定められている場合を除き、全ての借金を免除するための手続きです。
裁判所が借金を免除するための免責決定を下します。
免責決定をもらうのが自己破産の目的になります。
ただし、自己破産するためには支払いができない状況だと認められなければいけません。
支払い不能かどうかは、それぞれの経済事情に応じて裁判所が判断します。
免責ができないケースには、債権者を害するために財産隠しをしている、浪費や賭博で財産を減らしている、破産手続きで虚偽の説明をするといったものが挙げられます。

個人民事再生

個人民事再生は、法律で特別に定められている場合を除き、全ての借金を大幅に減らしたり、残っている債務を分割(原則として3年で支払う)で返済したりすることを決めるための手続きです。
分割で支払うという点は任意整理と同じですが、個人民事再生は全ての債務が対象になります。
つまり、個人民事再生は整理の対象になる債務を選べないということになります。
しかし、任意整理よりも大きな減額を見込めるのは大きなメリットだと言えるでしょう。
個人民事再生には、最低限返済しなければいけない金額が決められているという点も他とは違います。
借金の総額が100万円以上500万年未満だと100万円、500万円以上1,500万円未満だと5分の1、1,500万円以上3,000万円未満だと300万円、3,000万円以上5,000万円未満だと10分の1が最低返済額になります。

自己破産のメリット・デメリット

自己破産は、借金を全て免除してもらえるという大きなメリットがありますが、その他にもメリットやデメリットがあります。
どのようなメリット・デメリットがあるのか見ていきましょう。

メリット

自己破産のメリットには、全ての債務が免除される、手続きをスタートすると債権者は給料の差押えなどの強制執行ができなくなる、財産をある程度手元に残せるといったものが挙げられます。
債務整理を行うということは借金が膨れ上がってしまい、返済ができない状況になっているはずです。
そのため、債務を免除されるというのはとても大きなメリットだと言えるでしょう。
また、債権者は支払いが滞っていると給料の差し押さえなどができるのですが、自己破産をするとできなくなります。
債務者にとっては、かなり大きなメリットになります。
そして、財産をある程度手元に残せるというメリットも自己破産にはあるのです。
自己破産で残せる財産には、破産が決定した後に取得した新得財産、洗濯機や冷蔵庫など差し押さえ禁止財産に含まれているものなどが含まれています。
ただし、ローンを支払っている場合はローン会社が引き上げる可能性があるため、必ずしも残るとは言い切れません。

デメリット

デメリットには、5年~10年の間借入ができなくなる(ブラックリストと呼ばれる)、住所や氏名が官報という国が発行している機関誌に掲載される、免責決定を受けるまでの期間は警備員や士業など就けない職業があるといったものが挙げられます。
ブラックリストになってしまうと、その間は借入ができません。
マイカーローンや住宅ローン、携帯の分割払いの契約ができなくなってしまうことは大きなデメリットだと言えます。
車や住宅を購入する予定がある場合は、再度考え直す必要があるでしょう。

個人民事再生のメリット・デメリット

個人民事再生は、借金を減らすことができる手続きです。
魅力的な手続きではありますが、自己破産と同じようにメリットもあればデメリットもあります。
続いては、個人民事再生のメリットとデメリットをご紹介します。

メリット

メリットには、債務が減額されるので返済の負担が小さくなる、自己破産のように財産を手放さなくても良い、手続きを開始すると債権者は強制執行ができなくなるといったものが挙げられます。
個人民事再生は自己破産のように借金が免除になるわけではありませんが、返済額が少なくなるので返済にかかる負担はかなり小さくなるでしょう。
また、個人民事再生の場合は財産を手放す必要もないため、それも大きなメリットだと言えます。

デメリット

デメリットには、自己破産と同じように5年~10年間はブラックリストになるので新規借入ができなくなる、返済を継続できる収入がないと手続きができない、官報に掲載されるといったものが挙げられます。
ブラックリストになってしまうという点は自己破産と同じで、ローンをマイカーローンや住宅ローン、携帯の分割払いが難しくなってしまうのはどちらも同じだということになります。
また個人民事再生は、手続き後にも支払いが続くため、返済を継続できる収入がない場合は選択肢に入らないこともデメリットだと言えるでしょう。

自己破産と個人民事再生はどちらを選ぶべき?

自己破産と個人民事再生には、メリットとデメリットがあります。
では、どちらを選ぶのが良いでしょうか?
自己破産と個人民事再生のどちらにするか迷った場合、いくつかの指標があります。
最後に、その指標についてご紹介します。

借金の金額を目安に判断する

借金が、100万円以下の場合に個人民事再生をしても減額されることはないため、する意味はほとんどないと言えます。
収入が全くなかったり支払い能力が低かったりする場合は、自己破産をしても良いでしょう。
ただし、普通に働いている人なら任意整理で利息をカットするだけで返済をしていける可能性が高くなるので、自己破産や個人民事再生ではなく任意整理を選択すべきだと言えます。
また、1,000万円以下の場合は個人民事再生、1,000万円以上5,000万円以下の場合は収入状況や財産状況に応じて自己破産もしくは個人民事再生を選択するのがおすすめです。
5,000万円以上の借金がある場合は、自己破産を選択が有力な選択肢になります。

7年以内に自己破産をしている場合

7年以内に自己破産をしている場合は、自己破産の免責不許可事由に含まれます。
そのようなケースでは、個人民事再生を行うか、7年経ってから自己破産をするかという選択肢から選ぶことになるでしょう。

収入を目安に判断する

収入があり、個人民事再生後にも支払いを継続できる収入があるか、それとも収入がないのかによっても自己破産と個人民事再生のどちらを選ぶべきか変わってきます。
収入があって返済を継続できるのであれば個人民事再生、収入がない場合は自己破産を選択するのが無難です。

まとめ

自己破産と個人民事再生は、どちらも借金の負担を軽減させるために行う手続きです。
どちらも似たような手続きに見えるかもしれませんが、全く別物です。
もしも、借金を抱えていて債務整理をしたいと考えているのであれば、弁護士に相談しどの方法がベストなのか考えることをおすすめします。
債務整理に強い弁護士に相談すれば、的確なアドバイスをしてもらえます。

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