2020.08.21 2022.10.03

自己破産と免責不許可事由

自己破産と免責不許可事由

借金の返済が困難となった際に多くの人が考える自己破産には、免責不許可事由という免責を決定づける大きな要素があります。

今回は、自己破産でよく見かける免責不許可事由について詳しくご紹介していきます。
一体免責不許可事由にはどのような事由があるのでしょうか?

借金返済に悩んでいるという方はぜひご覧ください。

そもそも免責不許可事由とは?

まず自己破産をするにあたって破産手続きと免責手続きの2つの手続きがあるのをご存じでしょうか?
破産手続きは、現在自身が所有している財産を債権者に分け与える手続きになります。
複数の債権者からお金を借りている場合は、物をお金に換金し、それぞれの債権額に応じて、借金返済に充てられます。
一方免責手続きは、債権者に対して破産手続きで支払った財産以外の返済が免除される手続きです。
これによってはじめて自己破産による支払い義務がなくなり、破産手続きのみでは埋めきれなかった借金の穴をカバーできるようになっています。
そして免責手続きを行うにあたって免責不許可事由(免責を認めさせることができない理由)があると大変です。
なぜかというと自己破産手続きが行えなくなる可能性があるからです。
では免責不許可事由には一体どのようなものがあるのでしょうか?

免責不許可事由にはどんなものがあるか?

免責不許可事由には以下のようなものが該当します。

浪費やギャンブル、射幸行為

浪費やギャンブルそして株取引やFX取引といった射幸行為で借金を背負い自己破産となった場合は、免責不許可事由となります。
免責不許可事由の中でも特に多く見られる自由になっています。

不当な破産財団価値減少行為

土地や不動産といった財産があるにもかかわらず、財産を隠すのは、この不当な破産財団価値減少行為にあたり立派な免責不許可事由になってしまうのです。
また隠すだけではなく壊すことも財産の価値を減少させるため、不当な破産財団価値減少行為となっています。

不当な債務負担行為

これはクレジットカードや電子マネーなどで購入した商品の決済が済まないうちに商品を売却して、代金を債務の返済に充てる行為をいいます。。
一見何の問題もないように見える行為ですが、これは債務を増加させるため免責不許可事由にあたるのです。

一定の債権者に対して返済を行わない行為

借金をしている人の中には複数からお金を借りており債権者が1人に限らない人もいることでしょう。
そんな中、ある債権者には返済するも、他の債権者に返済しないというのは偏頗(へんぱ)行為に当たるとして免責不許可事由が認められてしまいます。

詐術による信用取引

自己破産の申請1年以内に自身には資産があると嘘をつき借り入れをしたとなると詐術による信用取引にあたります。
債務者の嘘による不誠実さが債権者の与信調査を妨害したと判断され免責不許事由となってしまうのです。

虚偽の債権者一覧表を提出する行為

債権者の抜けがある一覧表を提出する行為や、架空の債権者を一覧表に記載するといった行為は虚偽の債権者名簿提出行為に当たります。
債権者を害する目的で行われ、そして調査協力義務違反であると認められると免責不許可事由として自己破産できる可能性が下がります。

帳簿隠滅行為

帳簿を隠滅する行為も免責不許可事由にあたります。
破産者の財産管理が把握できなくなってしまうため、裁判所は自己破産不可と判決するでしょう。

管財業務妨害行為

破産管財人の職務を妨害する行為も免責不許可事由にあたります。

破産法上の義務違反行為

説明義務や重要財産開示義務において違反を犯すと免責不許可事由があったとなります。
破産手続きの進行を防いでしまうため、裁判所は免責不許可事由があったとして手続きが行われなくなることも考えられます。

免責不許可事由にあたっても裁量免責されることがほとんど

万が一、自身がやっていたことが免責不許可事由に該当していたとなれば、破産手続きができなくなるのでは?と不安に思ってしまうことでしょう。
しかしながら免責不許可事由があったとしてもほとんどが裁量免責によって自己破産ができるようになっています。
自己破産ができない場合では①免責許可決定、②免責不許可決定、③申し立ての却下・棄却、④申し立ての取り下げ、といったように進んでいきます。
最初は免責許可できるかどうかを判断し、免責不許可事由がある場合には②免責不許可決定、そして③、④といったように終着点を迎えていきます。
ただ免責不許可事由があったとしても、大体は①の免責許可決定で終わります。
そして②の免責不許可決定となるのは、自己破産申請をした人の全体の0.2%程度とされています。
大変少ない数字に驚くことでしょう。
そして免責不許可決定以外の決定が出る場合では全体の2%の程度になっているので、ほぼ免責許可決定が下されると考えてもいいのです。

ではなぜ免責不許可事由があるにも関わらず免責の許可が出るのでしょうか?
それは裁量免責という制度が設けられているからです。
裁量免責というのは裁判官が例外的に独自の裁量によって免責を与えることを許可することです。
いわば債務者にとっての救済措置。
本来ならば裁量免責は例外的なものなので、免責不許可事由がある全ての人が
受けられるものではありません。
万が一それが全員に認められるものであると分かったら、どんな免責不許可事由を持っている人でも安易な借り入れによって自己破産を行うことにつながりかねません。
そうなると債権者が不利になる一方であるため、裁判官は裁量免責を検討する際は破産管財人の厳重な調査を踏まえた上で慎重に調査を行い、判断を下していきます。
ただし自己破産を決意したということは債務者が払いたくても払えない理由があってのことです。
この場合に裁判官が裁量免責をすることなく債務者が返しきれないほどの多くの借金を抱えさせ続けるのは危険です。
経済的に困窮し、食事も思うようにできない日々が続いてしまうと、最悪の場合、債務者が命を絶ってしまうという恐ろしいこともおきる可能性があるのです。

そして解決することのできない債務者が増えてしまっては、これが社会問題となって、やむを得ない事情があって借金の返済が難しくなっている人にとっても不安を仰ぐものになってしまいます。
免責不許可事由のある人であっても事実上ほぼ100%の確率で裁量免責により、免責許可を得ることができます。
ただし背景には、ご紹介してきたような事実があるということを知っておくべき必要があるでしょう。

2回目の自己破産は難しくなる

自己破産というのは実は1回のみならず何回でもできてしまうものです。
そのため1回破産したとは云えども安易に再度の自己破産手続きを行う人がいます。
しかしながら免責不許可事由がある場合は、2回目の免責決定を受けられる可能性が低くなっています。
同じ過ちを繰り返しているのですから仕方ないことでしょう。
免責不許可事由によって借金をし、返済困難とならないようにしっかりとわきまえて生活を送るようにしていくべきです。
また、自己破産ができないと言われたときは、債務整理で財産を借金に充てる他、個人再生を選択するという方法もあります。
これだけでも借金の負担は大きく減ります。

まとめ

免責不許可事由というのはたくさんの行為が該当します。免責許可は免責不許可事由があってもほとんどが裁量免責によって許可はもらえます。

自己破産は何回でもできるものではありますが、しっかりと自身の非を認めて再度の自己破産を行わないようにすべきです。2回目以降は裁量免責によって借金から免れるのはほとんどありません。

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