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2020.08.08 2022.11.15

自賠責保険の期限が切れた状態で事故を起こしたらどうなるのか知りたい!

自賠責保険の期限が切れた状態で事故を起こしたらどうなるのか知りたい!

自動車損害賠償責任保険、通称自賠責保険は、自動車だけでなくバイクや乗用車、トラックなど、車種に関わらず強制加入の保険です。

被害者の救済し、また加害者の負うべき損害賠償について、経済的負担を軽減するという目的があります。

自動車に乗っている方ならば、おそらく誰でもご存じであり、必ず加入が義務付けられていることはご存じでしょう。

しかし、事故の相手が無保険者である場合も実は少なくないのです。

ここでは、自賠責保険が切れた状態で事故が起きた場合について詳しくご説明を致します。

自賠責保険の期限が切れたまま事故を起こしたらどうなるか?

自賠責保険が利用できない

自賠責保険が切れている状態で、もしも事故を起こしてしまった場合は、当然のことながら自賠責保険は使用できません。これは、過失でも故意でも関係はありません。

そもそも自賠責保険に加入してない場合、車検を受けることができません。車検を受けていない車は公道を走ることができません。

つまり、車検を受け公道を走行するためには自賠責保険が切れていないことが前提です。

自賠責保険切れの罰則

自賠責保険に加入せず、もしくは自賠責保険が切れている状態で運転をしていた場合、法律違反として罰則があります。

【1年以下の懲役または50万円以下の罰金】です。行政処分としては【違反点数6点】が科せられ、免許停止処分です。

また、自賠責保険が切れていなかったとしても、自賠責保険証を所持していない場合は【30万円以下の罰金】に科せられます。

損害賠償の支払い

自賠責保険分はどうなるか

自賠責保険に加入せずに人身事故を起こしてしまった場合、被害者への損が賠償はどうなるのでしょうか?

結論から申し上げると、すべてが加害者の自己負担となります。

無保険者だからといって、被害者への損害賠償を支払う義務が無くなるわけではありません。

250㏄以下のバイクや原付の場合、車検がありませんので、自賠責保険が切れていないかは、注意しておくべきでしょう。

任意保険に加入している場合はどうなるか

では、自賠責保険は期限が切れていたが、任意保険に加入していた場合は、自己負担は回避できるのでしょうか?

任意保険は加入することで、自賠責保険からの支払い部分も併せて一括で損害賠償金について支払いの手続きを進めてくれます。

ただ、任意保険の対人賠償保険は、【自賠責保険で補償できない被害者の損害部分を補う】というものです。つまり【自賠責保険の補償部分の上乗せ】となります。

よって、自賠責保険が切れている場合は、加害者の方がたとえ任意保険に加入していたとしても、任意保険は自賠責保険の補償限度額を超えた部分しか支払わず、自賠責保険で本来補償される部分は支払いません。

加害者は、自賠責保険から支払われる部分を自己負担しなければいけません。

 自賠責保険でのそれぞれの限度額は以下となります。

・傷害による損害部分:被害者1名にあたり120万円

・後遺障害による損害部分:被害者1名にあたり4,000万円

・死亡による損害部分:被害者1名にあたり3,000万円

たとえば、被害者の損害が傷害部分において、500万円だったとしましょう。

自賠責保険に加入をしていれば、自賠責保険から120万円、残り380万円が任意保険から被害者へ支払われます。

しかし、自賠責保険に加入していない場合は、120万円が自己負担となります。

つまり、加害者の方は4,000万円を自己負担する可能性があるのです。

自賠責保険未加入時の政府からの保障

どのくらい保障してくれるか

加害者が自賠責保険に加入していない場合は、政府の保障事業制度があります。これは、被害者の損害を国(国土交通省)が加害者の代わりにてん補(立替払い)をするという制度となります。

政府の保障事業は、国が自動車損害賠償保障法(通称:自賠法)に基づいて、被害者救済を図るための制度です。よって、てん補される損害の補償範囲は自賠責保険の基準と同様になります。

・傷害による損害部分:被害者1名にあたり120万円

・後遺障害による損害部分:被害者1名にあたり4,000万円

・死亡による損害部分:被害者1名にあたり3,000万円

自賠責保険の制度と異なる点は以下となります。

・請求対象者は被害者のみとなり、加害者からの請求は受け付けていません。

・健康保険、労災保険などの社会保険による給付の対象となる場合は、その金額は差し引かれます。

加害者に対する請求

もう1つ、自賠責保険と異なる点は、国から加害者に対する請求です。

政府の保障事業制度は、あくまでも加害者の支払い分を一旦立て替えているだけですので、加害者は被害者に支払うものを、今度は国に支払わなければいけません。

国は、被害者の損害賠償金を支払うことで、損害賠償請求権を代位取得し、損害賠償責任者である加害者に対して求償をします。

もしも加害者が弁済しない場合は、国が加害者に対して損害賠償請求訴訟を起こすこととなります。

最終的には、裁判所の判決の下、加害者の所持している自動車や土地、建物の他、給与等も差し押さえ、回収が行われます。

まとめ

交通事故の相手は選ぶことができません。

不運にも加害者が自賠責保険にすら入っていない場合、被害者の補償は通常よりも困難となります。

また、たまたま車検が遅れていたなどの理由で、そのままにした状態で事故を起こしてしまい加害者となった時、自賠責保険が切れていれば、被害者に対しての損害賠償金は基本的に自己負担となります。

自分の自動車やバイク等の保険が切れていないかを確認することは、運転する人としての最低限の責任であるということを覚えておきましょう。

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