交通事故 交通事故基礎知識 自動車保険 被害者請求
2020.09.28 2024.04.25

バイク事故の相手が自賠責保険のみだったら補償はどうなるか知りたい。

バイク事故の相手が自賠責保険のみだったら補償はどうなるか知りたい。

交通事故は自動車同士だけではありません。 バイクに乗っている際の交通事故も非常に多く、さらに生身であることから、大けがをしてしまう可能性も高いです。 その交通事故の相手がもしも任意保険には入っておらず、自賠責保険のみだった場合、被害者の方はどうすればいいのでしょうか? ここでは、バイク事故の相手が自賠責保険のみだった場合の補償についてご説明をさせていただきます。

自賠責保険のみでバイク事故を起こしたら…

自賠責保険の支払い基準と限度額

自動車損害賠償責任保険、通称自賠責保険は、原付を含むすべての自動車を運転する場合に、必ず加入をしなければいけないと、自動車損害賠償保障法という法律にて義務付けられている、いわゆる「強制保険」です。 自賠責保険の目的は、自動車による人身事故の被害者の方を救済することとしています。

なお、より多くの被害者の方を救済するために、迅速かつ公平に手続きを行う必要があるため、自賠責保険では【最低限度の補償】とされ、定型・定額化された支払い限度額が設定されています。 自賠責保険で補償される損害は「傷害による損害」「後遺障害による損害」「死亡による損害」の3つの区分があり、各部分で支払い基準と、支払い限度額が設けられています。 支払い基準と限度額は、具体的には以下の通りになります。

①傷害による損害 支払い限度額:被害者1名につき120万円

支払い内容

損害項目

内容 支払い基準

 

治療費 診察料、手術費、検査費、道整復費、薬局費用等 必要かつ妥当な経費
看護費 近親者等の付添(医師が看護の必要を認めた場合、または被害者が12歳以下の場合) 原則として

入院1日につき4,100円(※4,200円)

通院1日につき2,050円(※2,100円)

諸雑費 入院のための氷代、布団使用料、栄養費、通信費等 原則として

入院1日につき1,100円

通院交通費 通院、入院に要した交通費 必要かつ妥当な実費
その他実際に要した費用 義肢・メガネ・コンタクトレンズや補聴器代等 必要かつ妥当な実費

ただしメガネ、コンタクトレンズについては上限50,000円まで(税抜)

診断書等の費用 診断書・診療報酬明細書等の発行費用 必要かつ妥当な実費
文書料 交通事故証明書、住民票、被害者の方の印鑑証明書等 必要かつ妥当な実費
休業損害 傷害のために発生した休業による損害(欠勤による賞与減額を含む)

※家事従事者も請求可能

1日につき5,700円(※6,100円)これ以上に収入減の立証がある場合は実額(19,000円が限度)
傷害慰謝料 精神的・肉体的な苦痛に対する補償 1日につき4,200円(※4,300円)

※2020年4月1日以降の事故の場合の新基準

 

上記の部分すべてを合わせて、傷害部分とされ、支払い限度額は120万円とされています。

②後遺障害による損害

支払い限度額

①「神経系統の機能または精神」「胸腹部臓器」のいずれかに著しい障害を残し、介護を必要とする後遺障害 被害者1名につき

・常時介護を要する場合…第1級 4,000万円

・随時介護を要する場合…第2級 3,000万円

②上記①以外の介護を必要としない後遺障害

被害者1名につき、第1級3,000万円~第14級75万円

後遺障害の損害を請求するには、被害者の方は、まず後遺障害の等級認定を申請しなければなりません。この審査により、何らかの等級が認定されると、後遺障害の損害を自賠責保険より受け取ることが可能です。

後遺障害の等級は最も高い等級を1級とし、1~14級の段階で分けられています。被害者の方に残った後遺症の内容に応じて等級は確定されます。

後遺障害等級

支払い限度額

第1級

3,000万円

第2級

2,590万円

第3級

2,219万円

第4級

1,889万円

第5級

1,574万円

第6級

1,296万円

第7級

1,051万円

第8級

819万円

第9級

616万円

第10級

461万円

第11級

331万円

第12級

224万円

第13級

139万円

第14級

75万円

この後遺障害の損害には、後遺障害の慰謝料と後遺障害による逸失利益(後遺障害により、被害者の方の労働能力が減少もしくは喪失したために、将来に発生するであろう収入の減少分)が含まれています。

また、後遺障害の慰謝料も限度額があります。上記の後遺障害の損害に対する支払い限度額の中に、さらに慰謝料の支払い限度額があるとお考え下さい。

なお、2020年4月1日以降の事故は、後遺障害の慰謝料の限度額は増えています。しかし、その分逸失利益分が減っていますので、後遺障害の損害の全体での支払い限度額には、変わりはありません。

別表Ⅰ 後遺障害により介護が日常的に必要な場合の後遺障害に使用

後遺障害等級 2020年4月1日以前 2020年4月1日以降
第1級 1,600万円 1,650万円
第2級 1,163万円 1,203万円

別表Ⅱ その他、日常的な介護が必要ない場合の後遺障害に使用

後遺障害等級 2020年4月1日以前 2020年4月1日以降
第1級 1,100万円 1,150万円
第2級 958万円 998万円
第3級 829万円 861万円
第4級 712万円 737万円
第5級 599万円 618万円
第6級 498万円 512万円
第7級 409万円 419万円
第8級 324万円 331万円
第9級 245万円 249万円
第10級 187万円 190万円
第11級 135万円 136万円
第12級 93万円 94万円
第13級 57万円 57万円
第14級 32万円 32万円

※13級、14級の後遺障害慰謝料に変更はありません。

 
死亡による損害

支払い限度額:被害者1名につき3,000万円

支払い内容

損害項目 内容 支払い基準
葬儀費 通夜、祭壇、火葬、墓石等に要する費用

(ただし、墓地、香典返し等は含まれません。)

60万円、ただし立証資料により最大100万円

(※100万円)

逸失利益 被害者が死亡していなければ将来得ることができたと考えられる収入額

※本人の生活費は控除されます。

収入および就労可能期間、被扶養者の有無を考慮し計算されます。

 

死亡による慰謝料 被害者本人の慰謝料 350万円(※400万円)
遺族の慰謝料

※請求者(親、配偶者、子)の人数により金額は異なります。

請求者が

1名の場合:550万円

2名の場合:650万円

3名以上の場合:750万円

※被害者に被扶養者がいる場合においては、上記の金額に200万円が加算されます。

※2020年4月1日以降の事故の場合の新基準

バイク事故の場合、この支払い限度額を超えることは多いです。冒頭でもお伝えしたように、バイク事故の場合、生身で自動車と衝突をすることから、比較的に被害者の方は重傷を負うケースが多いです。

これらの支払い限度額を超えた部分は、本来であれば加害者が加入する任意保険へ請求をします。しかし、加害者が自賠責保険のみだった場合は、加害者本人へ請求するしかありません。

被害者の方は、自賠責保険より最低限の補償は受けて、その後差額分を加害者に請求をし、適正な損害賠償金を受けるようにしましょう。

自賠責保険で補償される範囲

被害者の方が自賠責保険で補償をしてもらえる範囲は、上記でお伝えした「傷害による損害」「後遺障害による損害」「死亡による損害」となります。つまり、【人身損害】のみです。

バイク事故の場合、バイクが大きく損傷することは少なくありません。また、見た目の損害はあまりなくても、バイクの修理工場から乗り続けることは危険だと判断され、修理ではなく廃車となるケースもあります。

しかし、自賠責保険では【物の損害】は補償をされません。そのため、物の損害については、加害者が任意保険に加入をしていない事案では、人身損害の支払い限度額を超えた差額分と同じく、加害者へ直接請求することとなります。

また、自賠責保険は「他人への人身損害に対して補償されるもの」です。よって、被害者の方は、自身の自賠責保険は使用できません。被害者の方は「加害者」の自賠責保険へ請求をし、補償金を受け取ることになります。

つまり、自賠責保険が補償してくれない範囲は…

・バイクや自動車、携行品といった「物の損害」

・自身が原因で、自身の怪我に対する損害(例:自損事故)

なお、被害者の方の過失が100%だった場合は、加害者側に責任がありません。加害者の自賠責保険へ請求をしたとしても、補償はしてもらえません。

しかし、被害者の方の過失が99%以下である場合は、多少の減額はありますが、自賠責保険は補償をしてくれますので、自賠責保険へ請求はしてみましょう。

バイク事故の相手が自賠責保険のみだった場合にできること

加害者に請求する

先ほども述べましたように、物の損害や自賠責保険で補償を受けることができなかった人身損害の部分については、加害者本人へ請求をします。 しかし、任意保険に入っていない=保険料が払えないほど、経済的に困窮している可能性があるとも考えられます。

加害者本人が支払いを拒否する場合、もしくは支払いする資力がない場合、被害者の方は損害賠償金を回収することは非常に困難です。

強制的に回収する方法の1つに、訴訟を起こして判決を得るという手段があります。争いが少なく、加害者に請求する金額が60万円以下の場合は、「少額訴訟」という手続きをすることで、判決を迅速に得ることができます。

その後、強制執行の申し立てをします。加害者の財産を差し押さえて、強制的に被害者の方の損害賠償金を回収します。

注意をしなければならないのは、この時加害者に財産がなければ、賠償金を回収はできないということです。 加害者が無職である、または自己破産をしている場合は、回収できない可能性が非常に高いと考えましょう。

自分の任意保険を利用する

加害者から損害賠償金を受け取ることができなかった場合、被害者の方にとっては悔しい選択かもしれませんが、自身の任意保険を利用することも選択肢の1つとした方が良いでしょう。

ただし、任意保険を使用した場合は、事案によっては免責金を取られることもあります。また、等級が下がることもありえます。

等級が下がる=保険料が上がるということになりますが、保険の使用をすることは被害者の方の判断の為、保険料の増額分を加害者に請求することは困難といわれています。

保険料の増額分よりも、自分の任意保険から支払われる金額が大きい場合は、そちらを利用したほうが良いとも言えます。

なお、免責分ついてですが、こちらは加害者に請求することは可能です。しかし、実際は、先ほども述べましたように、加害者の資力によっては、受け取ることは難しいと考えられます。

相手が自賠責保険のみだった場合の治療

健康保険を使う

加害者が任意保険に加入していない場合は、一時的に被害者の方が治療費を立て替えるケースが多いです。 被害者の方の中には、治療費の支払いで生活が困窮する方もいらっしゃいます。特にバイク事故の場合は、怪我の程度が重く、入院や手術を伴うこともあります。

このような場合においては、被害者の方の負担を少しでも減らすためにも健康保険を利用しましょう。

「交通事故では健康保険は使用できないのでは?」と思っている方、実際に病院にそのような説明を受けている方もいらっしゃるかもしれません。 確かに、交通事故の怪我の治療は、自動車保険を使用することが一般的です。そのため、健康保険は使用できないと思っている病院も少なくないです。

しかし、厚生労働省からも、交通事故では健康保険を使用できると通告がされています。

自賠責保険から支払われる傷害部分の損害についての支払い限度額は、120万円です。よって、健康保険を使用せずに治療した場合は、怪我の程度や治療期間にもよりますが、治療費だけで120万円を使い切ってしまう可能性が高いです。特にバイク事故の場合は、繰り返し述べますが、怪我の程度が大きくなることが多いため、むちうち等に比べると、治療費が高額になる可能性が高いです。

加害者が自賠責保険のみの場合は、健康保険を使用し、治療費を抑えるようにしましょう。

自賠責保険の仮渡金制度を利用

自賠責保険には仮渡金制度というものがあります。 これは、即座に費用が必要な場合に、必要書類を提出すれば、自賠責保険から一定額が支払われるというものです。 申請からおよそ1週間から10日ほどで支払われるため、被害者にとってはメリットのある制度となります。

この支払いの金額は、提出された医師が作成した診断書に書かれた症状によって異なります。

以下の内容となります。

症状、状態

金額

1.死亡された場合 290万円
2.以下のいずれかの傷害を負った場合

・脊柱の骨折で脊髄を損傷したと認められる症状を有するもの

・上腕または前腕の骨折で合併症を有するもの

・大腿または下腿の骨折

・内臓の破裂で腹膜炎を併発したもの

・14日以上病院に入院することを要する傷害で、医師の治療を要する期間が30日以上のもの

 

 

40万円

3.以下のいずれかの傷害を負った場合(上記2を除く)

・脊柱の骨折

・上腕または前腕の骨折

・内臓の破裂

・病院に入院することを要する傷害で、医師の治療を要する期間が30日

・14日以上病院に入院することを要する傷害

 

 

20万円

4.医師の治療を11日以上要する傷害を負った場合(上記2.3を除く) 5万円

 

仮渡金制度では5万円~40万円を被害者の方は受け取ることができます。被害者の方のタイミングで申請が可能ですが、仮渡金制度は1度しか使用できませんので、使うタイミングはよく検討することをおすすめします。

また、仮渡金制度は、あくまでも損害賠償金の仮払いという立ち位置です。よって、被害者の方が仮払金として受け取った金額は、最終的な受け取れる予定の賠償金から差し引かれます。 もしも、賠償金よりも仮渡金が上回ってしまった場合は、超えた分については、被害者の方は自賠責保険へ返金することが必要です。

バイク事故でお困りの方は、大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイへ

バイク事故で、相手が自賠責保険のみだった場合に受け取れる金額、被害者の方ができることについてご説明をさせていただきました。

加害者本人へ請求する場合は、被害者の方が自身で行うには限界があります。特にバイク事故で重傷だった場合は、治療期間が長期になること、並びに後遺症が残り、後遺障害となる場合もあります。

こういった事案の場合は、専門家である弁護士に相談することをおすすめします。

バイク事故でお困りの方や、相手が自賠責保険のみでどうすればいいのかわからない方は、交通事故を多く取り扱う大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにぜひご相談ください。

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