2020.07.21 2022.10.01

バイナリーオプションの取引が原因の借金で自己破産できるのか?

バイナリーオプションの取引が原因の借金で自己破産できるのか

バイナリーオプション取引というのは,為替取引の投資方法の一つで,数時間後(判定時刻)為替レートがあるレートより高いか低いかを予測する二者択一の取引方法です。

少額から始められ,投資金額以上に損をすることがないバイナリーオプション取引は,外為投資の初心者にとっては,それほど大きな危険もなくとっつきやすい投資方法として,説明されることもあります。

しかしながら,バイナリーオプション取引にのめりこみ過ぎて,債務整理や自己破産をせざるを得ないところまで,債務超過に陥るという可能性があることも否定できないのです。

そこで,今回は,バイナリーオプション取引がどのようなものか,そして,何故債務超過に陥るような事態になってしまうのか,最悪自己破産申立てをしなければならなくなってしまった際に注意すべき点について,ご説明いたします。

バイナリーオプションとは?

バイナリーとは,二進法のことで,オンかオフ,イエスかノーの二者択一で選択できることをいいます。

オプションとは,オプション取引のことで,ここでいうオプションとは,ある商品を,将来のある時点で,指定した価格で売買する権利を売買することをいいます。

つまり,為替取引におけるバイナリーオプションとは,簡単にいえば,二者択一で為替(通貨)売買の権利を取引することといえます。

実際の取引に即して具体的に説明すると,ある通貨が,規定時間を経過した時点で,現在より価格が上がっているか下がっているかを予想する投資などと説明されることもあります。

しかしながら,似たようなものとして,カードゲームの「High&Low」やサイコロの「丁半博打」のようなものと説明されていることも多くあります。

つまり,予想が当たれば一定の(通常,2倍程度)のリターンが得られ,予想が外れたら掛金が没収されるというものですので,「投資」というよりは,「ただの賭け事」と考えるべきです。

他の投資方法と比較したバイナリーオプションのメリット

バイナリーオプションと並んで,外国為替取引で有名なFX(外国為替証拠金取引)とを比較すると以下のようなメリットあります。

・低額から始めることが可能。

バイナリーオプションは1000円以下の金額で始めることが可能です。FXも,少額から始めることは可能ですが,利益率は外貨預金程度にしかならないため,どうしても投資する金額が増えていく傾向にはなるものと思われます。

・利益と損失が投資した時点に予想できる。

バイナリーオプションでは,ペイアウト率という払戻率が投資の時点で決まっているため,予想が当たった場合の利益額が予想できますし,予想が外れた場合の損失は投資額となりますが,FXは決済時の為替レートによって大きく利益を得ることもあれば大きな損失は蒙ることもあり得ます。

・レバレッジがない。

レバレッジとは「てこ」のことをいい,バイナリーオプションは,予想が当たるか外れるかという二択のオプション取引ですから,てこの原理を使って資金の何倍もの取引をするものではありません。そのため,1回の取引における利益と損失のコントロールが容易です。一方,FXでは,レバレッジをかけて少ない資金で多額の投資をする(現在国内業者では,個人は最大25倍のレバレッジがかけられます。)ことでハイリターンを目指す投資方法ですので,多額の利益を得ることができる可能性がある反面,多額の損失を負う可能性もあります。

・追証がない。

追証とは,証拠金としている資金以上に損失が出た場合に取引会社に支払わなければならない証拠金の不足分のことをいいますが,バイナリーオプションには追証はありませんので,損失はあくまで,投資した金額のみで確定できますが,FXの場合は,投資した金額に加えて多額の追証を支払わなければならない可能性があります。

・手数料がかからない。

バイナリーオプションは,取引会社はペイアウト率を調整して利益を得るため,取引手数料がかかりません。一方でFXでは通貨の売値と買値の差額が手数料として取引会社に入ることになります。

バイナリーオプションの取引が原因で債務が増加していくメカニズムは?

このように,外国為替取引としてはメリットの多いバイナリーオプションですので,インターネット上ではきちんとやれば負けるはずがない,ギャンブルではないと解説されているサイトもあるくらいです。

確かに,FXであれば,為替相場が大きく変動した場合に読みが外れて高額の追証を請求され,自己破産しか方法がないほどに一気に債務が増加する可能性がありますが,基本的にバイナリーオプションでは,自分の投資額=最大の損失額となりますので,損失と利益のコントロールはしやすいはずです。

ですから,きちんと勉強をし,資金管理をきちんとしながらであれば,いきなり巨額の債務を背負うことにはならないとも思われます。

しかしながら,資金管理ができていなかったり,2択のため運任せで投資を続ける,規制の緩やかな海外業者で取引をして1日に何百回,何千回の取引をするようなことになれば,いきなり巨額の負債を背負う可能性も否定できませんし,負けが込んできて生活費や貯金等に手を付けてしまうと,それを取り返そうと借金をして投資をしてしまいさらに悪循環に陥るという,まさにギャンブルにはまってしまって債務を増やしていくことと同じ状況に陥ってしまい,債務を増加させてしまうことになるのです。

ちなみに,インターネット上でバイナリーオプションが原因で自己破産したという方のブログでは、海外の取引業者への取引額が1億5千万円弱であったとのことです。この方の勝率は50%を少し超えておられるとのことですので,2択の場合の期待値を超えていても損をすることにはなるのです。

債務超過に陥った場合に取り得る方法は?

バイナリーオプションが原因で債務超過に陥るというのは,ギャンブルが原因で債務超過に陥る場合と基本的には変わらないと考えられますので,債務超過を解消するには,任意整理,個人再生,自己破産のいずれかの方法を取ることになります。

任意整理,個人再生の方法を取るのであれば,毎月返済していける金額と債務総額とのバランスでどちらの方法を取るかを検討することになります。毎月返済していける資金的な手当ができなければ自己破産申立てをする以外にはなくなります。通常の債務超過の場合と同じと考えてください。

自己破産を申立てせざるを得なくなった場合の注意点

任意整理,個人再生の場合には,それほど問題にはなりませんが,自己破産申立てをする場合には,債務が増加した原因が問題になると思ってください。

バイナリーオプションが原因で自己破産をせざるを得なくなる債務超過に陥ったということは,ギャンブルで生活費が足りなくなり多くの金融業者から借入をして自転車操業に陥る等の状況に陥ったということと同じような理由になるものと思われます。

「ギャンブル」が「バイナリーオプション」に変わったにすぎず,自己破産の際の免責不許可事由である「浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと」(破産法第252条第1項第5号)に該当すると判断されることになりますので,裁量免責が受けられなければ,免責が不許可となってしまう可能性があります。

もし,それまではバイナリーオプションで生計を立てていて問題がなかったものの,突発的な要因等でやむを得ず債務超過に陥ったことが自己破産申立ての原因であり,免責不許可事由にある「浪費又賭博その他の射幸行為をした」ものではないとおっしゃるのであれば,それまでの取引履歴や突発的な要因の内容が判るような資料等,相当な疎明資料が必要になりますが,通常,そのようなケースはまずないだろうと思われます。

ですから,裁量免責が受けられる事例であるかどうかを確認したうえで,自己破産申立てが可能であるのか別の方法を選択しなければならないのか,早急に弁護士に相談して方針を決定する必要があります。

信頼できる弁護士に依頼しましょう!

自己破産申立てしか方法はないものの,裁量免責が受けられるかどうか判らないとおっしゃる方であっても,経験豊富な弁護士にご相談いただき,事情をご説明いただければ,最適な方法を見つけられます。

当事務所では,免責不許可事由に該当する方であっても,裁量免責を受けられたケースも多数扱ってきましたので,一刻も早く当事務所にご相談ください。

このコラムの監修者

カテゴリ一覧

アクセスランキング

まだデータがありません。

まだデータがありません。

まだデータがありません。

新着記事

CONTACTお問い合わせ

ご相談など、お気軽に
お問い合わせください。

電話アイコンお電話でのお問い合わせ

06-4394-7790受付時間:8:30〜19:00(土日祝日も可)

メールアイコンwebフォームよりお問い合わせ