2020.08.11 2022.10.03

生活保護受給者が自己破産できるのか

生活保護受給者が自己破産できるのか

債務を支払うことが不可能となった際に申立ができる自己破産。自己破産によって裁判所から借金を支払う義務を免除されるため、借金はゼロとなり生活を一変させることが可能になります。

そんな便利でありがたい存在の自己破産手続きを、生活保護受給者でもできるようになっているのか疑問に思う人は多くいます。
果たしてその答えはどうなっているのでしょうか?

今回は、生活保護受給者が自己破産できるかどうかについて詳しくご説明していきます。

既に生活保護を受けながらも債務の返済が厳しいと感じてきた人は、ぜひ役立つ情報がたくさん掲載されているので、参考にしてください。

生活保護を受けている最中でも自己破産は可能

文化的な最低限度の生活を保障する趣旨で給付される生活保護費。
国から保護を受けているのであれば、ほとんどの人が自己破産手続きは無理だろうと感じてしまうことでしょう。
しかし、生活保護を受けている最中でも実は自己破産ができるようになっています。
理由としては、生活保護受給中でも返済の督促は続くからです。
債権者側にとって債務者がどんな状況であろうとも関係はありません。
お金がある人、ない人関係なく借りたお金を返さないというのは問題です。
そしてそれは、生活保護受給者になっても同じで、債務者にとっては督促が続くことでストレスを抱えてしまうことでしょう。
生活保護によって最低限度の暮らしができているものの、督促に怯える毎日では生活保護がもたらす幸せを得られないはずです。
払い続けるのが困難だと分かった時点で、自己破産手続きは行うようにしていきましょう。

そもそも生活保護費で借金返済はNG

自己破産ができるとは云えども、生活保護費で借金返済を行えばよいのではないかと考える人もいるでしょう。
しかしながら国の法律では、生活保護費を借金の返済に充てていいという決まりがないため、生活保護費の使用は生活のためだけだと限られているのです。
よって生活保護で得られるのは借金地獄から抜け出すのではなく、食費や家賃といった暮らしを支えるものだと理解しておきましょう。
万一生活保護費を借金の返済に充てていることが判明すると、生活保護の給付を打ち切られる可能性もあるため、使い方には十分注意してください。

督促を無視しているとどうなるのか?

返済ができなくなると督促が続く日常を迎えてしまいます。
そんな日々が長くなるとどうなるのでしょうか?
借金返済の督促を無視し放置し続けると、債権者が訴訟を起こすことがほとんどです。
これにより強制執行の手続きへと移行し、強制執行が決まった場合には債権者の財産(お金、自動車、不動産、株)といったあらゆるものが強制的に没収され、それらは換価されて手元に戻らなくなります。
そうなった場合、人によっては住所を失うことにもつながるため、次の居住スペースを確保するだけではなく、再就職が厳しいという現実が待っています。
ただ、生活保護受給者のほとんどは金銭的に価値のある財産を持っていないことが多いです。
それ故に強制執行が行われずに終わることもあります。
そして生活保護費自体というのは差し押さえが禁止されているものでもあります。
そのため債務者は強制執行によって生活保護費を奪われることはありません。
最低限の生活を送るための生活保護費が奪われてしまったら、生活保護費を受ける意味がなくなるからです。

借金がある場合は生活保護が受けられるのか?

では逆に、借金がある場合には生活保護を受けられるのでしょうか?
答えとしては借金の返済に苦戦している場合であっても生活保護の申請が可能です。
国はこのような経済的に苦しんでいる人の救済をするために生み出した生活保護にて、借金の苦しみを少しでも解放できるようになっています。
そして生活保護受給中というのは新たに借金をすることもできるようになっているのが特徴です。
借金をしている人の中には生活保護費だけでは足りないと感じている人が多く、新たに借金を抱える人も多い傾向にあります。
ただしこの場合貸し手も「この人にお金を貸すべきかどうか」と慎重に判断することになります。
そのため、生活保護受給は容易く新たにお金を借りるのは難しいと言えます。
現実的には難しいことであり、借金によって今以上に暮らしを豊かにするのは困難かもしれません。
また、生活保護受給中でありながらも、その事実を隠して借金をするのは詐欺罪(刑法246条1項)に当たります。
事実がバレると借金を抱える以上の苦しみが待っているため、生活保護受給者であることを隠して借金するのは絶対にやめておきましょう。

自己破産の流れについて

続いては自己破産を行う流れについて説明していきます。
自己破産というのは弁護士を立てて裁判所に申し出るため、弁護士費用や裁判所に納付する予納金などのお金が必要となってきます。
しかし、借金があってなおかつ生活保護を受けているのであれば、そのようなお金を用意できる人はほとんどいないはずです。
そうなった時に役に立つのが法テラスです。
法テラスとは経済的に困窮している人でも弁護士に相談や依頼ができるように費用を立て替えてくれる民事法律扶助を提供している場所です。
通常、民事法律扶助は収入や資産といったある条件を満たしていなければ利用できないようになっていますが、生活保護受給者であればほぼ確実と言えるほど条件を満たして利用できるようになっています。
そして法テラスで立て替えできた弁護士費用というのは審査の上で返済免除となることも多々あります。
そのため弁護士費用を無料にすることができるのです。
こうして利用できるようになった弁護士を通じて自己破産手続きが可能になります。
裁判所への予納金もさらに必要にはなってきますが、生活保護受給者は20万円程の予納金も借りられるメリットもあります。
これにより、生活保護受給者は自己破産の際も有利になり、借金によってお金に困っているのであれば、ぜひとも受けるべきものだと言えます。

自己破産ができるのは一回きりなのか?

自己破産というのは回数制限がないものになります。
ただし、前回の自己破産から7年経過しているという条件が必要になってきます。
7年以内に再び申し込みしたとしても原則として自己破産手続きを認めてもらうことができません。
自己破産はそもそも債権者にとって不利な制度です。
何回もお金を借りて自己破産を繰り返されたら、債権者も自己破産してしまうことにもなりかねません。
そんな負の連鎖を起こさないためにも国では前回の免責から7年間という時間を要するのです。
ただ、破産の原因が医療費や養育費であると前回から7年以内であっても自己破産の裁量免責が認められる可能性もあるので、悩んでいたら弁護士に相談するのがおすすめです。

まとめ

生活保護を受けるとなると先行きの分からない不安に襲われる人が多くいます。特に借金を抱えている方は、生活保護費を借金返済に充てられない不便さに納得いかないことでしょう。

「もう無理だ」と感じたのであれば早めに自己破産の手続きに踏み入れるのが得策です。
自己破産は法テラスに相談することで弁護士費用や裁判所への予納金の免除が可能です。

そして自己破産後も生活保護の需給は可能ですし、前回の自己破産から7年経っていればまた自己破産ができるようになっています。

裁判所は同じ過ちをさせないために一定期間再度の免責は認めません。しかし、破産の原因は医療費、養育費であると再度すぐに自己破産手続きが行えるようになるかもしれません。

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