自己破産をすることで、借金の返済義務から免れることができますが、人によっては再度借金の返済が困難だと感じる人も多いです。
自己破産手続気を行った者は、借金全額免除となる代わりにその後の生活で様々な制限を受けることになります。
土地や建物、車といった財産は奪われ、取締役及び監査役といった役職資格は制限されます。
また、個人信用情報機関にはブラックリストとした登録され、数年間はお金を借りられなくなってしまうでしょう。
さらには、破産者名簿と官報(国が発行する新聞)にも名前が掲載され、社会的信用を落とすことになります。
再度借金するというのは難しいのですが、万一再度お金を借りられて、そして返済が困難となったらまた自己破産は可能なのでしょうか?
今回は、2回目以降の自己破産について詳しくご紹介していきます。
再度の自己破産は可能なの?
過去に自己破産で借金返済の免除を受けた方は、今後はこのような過ちを犯さないように・・・と考えていることでしょう。
裁判所から同じ過ちを繰り返してはいけないと言われ免責を認めてもらっているのですから、再度の自己破産は無理であろうと決めつけている人が多くいます。
しかし、自己破産というのは再度免責決定を受けられるものになっています。
そして自己破産は何度でも可能になっているのです。
自己破産は1人1回までといった制限は一切ありません。
そのため2回でも3回でも免責を受けるのはできるようになっています。
ただし再度の免責を受けるには条件がある
日本では何度でも自己破産ができるようにはなっていますが、そう何回も自己破産を繰り返すのは債務者としてお金を借りていい存在だとして見られなくなります。
そして再度の免責を受けるには条件も必要になってきます。
条件は以下の2つです。
- ●やむを得ない事情がある
- ●前回の免責から7年以上経過している
これら2つの事情が見られない場合は、再度の免責決定を認めてもらえないようになっています。
1度自己破産にて社会的信用を失っているのですから、そう簡単に自己破産手続きができないのは当然でしょう。
急に債務者の負担となってきがちな医療費や養育費は、やむを得ない事情があったとして認められる借金です。
しかし、この借金の理由が浪費やギャンブルであると免責不許可事由にあたり借金の借入さえも難しくなる傾向にあります。
そのうえ自己破産を行うのですから裁判所から認められないのも仕方ないといえます。
そして前回に自己破産を行った社会的信用というのは簡単には取り戻せないもの。
ある程度の年月が経たなければ、債務者がきちんと反省して間違ったお金の使い方をしていないかが分かります。
それに7年の歳月を要するのです。
2回目以降の自己破産の注意点について
前回の自己破産から7年が経ち、ようやくまた自己破産ができるような状態になっていたとしても、裁判所が債務者に対して抱く印象は良いものになるとは限りません。
また同じ過ちを繰り返されては困りますし、また自己破産申請を行うのは「反省していない」と疑われるのも当然です。
2回目以降の自己破産で大きなポイントとなってくるのが破産の原因です。
1回目と2回目の借金の原因が同じようなことだと問題は大きくなりがちで、同じ過ちを繰り返しているも同然でしょう。
例えば1回目に事業に失敗したという理由で多額の借金を借り、返済が困難となって自己破産に至ったとします。
そして、債権者に迷惑をかけたにも関わらず、再度具体的な事業計画をせずに事業に失敗して借り入れ、返済困難となったら、裁判所からは「2度目にも関わらず1回目と違った工夫をして乗り切れなかったのか?」「1回目の失敗から何も学んでいない」と見られ、事情を厳しく聞かれるようになります。
事情を説明できないと、自己破産手続きを認められない可能性が出てきてしまいます。
そんな苦い経験をしないためにも2回目以降の自己破産では、借金することになった事情についてやむを得ない事情があったことを説明することが求められます。
離婚してシングルマザーとなり子どもの養育費や生活費のために借金をして1回目の自己破産をしたケースを例に考えてみましょう。1回目の自己破産後、子供が成長するにつれてかさばる教育費や習い事で費用が掛かり、2回目の借入を行い再度返済困難となって自己破産になったとします。
この場合はやむを得ず少しずつ借金がかさんで返済が難しくなったといえるため、2回目の自己破産であっても比較的裁判所からは免責を認められやすい傾向になっています。
このような事実が説明できることで2回目の自己破産が可能となりますが、では免責不許可事由がある方の場合はどうすればいいのでしょうか?
免責不許可事由がある場合はやはり自己破産できないのか?
浪費やギャンブルといった免責不許可事由がある場合は、債務者が本当に反省しているという姿が見られるかどうか厳しい審査が待っています。
1回目の浪費やギャンブルでの自己破産で免責が認められたとしても2回目はやはり厳しいと言えるでしょう。
3回目以降も同じで同じ理由の自己破産で、免責を受けるのが常習化していると裁判所は、この債務者には支払い義務を与えてはいけないと考え、自己破産手続きをさせるべきではないと判断します。
ではやはり免責不許可事由があると自己破産を諦めざるを得ないのでしょうか?
2回目の自己破産ができないとなった場合には別の対処法を試してみましょう。
別の対処法としては任務整理や特定調停、個人再生があります。
これらは特に利用に関する制限はありませんので1度自己破産した人物でも受けられるようになっています。
ただし個人再生の中でも、小規模個人再生ではなく給与所得者等再生については、再度の自己破産同様に、前回の免責決定後7年間は利用できないものとなっています。
しかしながら免責不許可事由に関係なく債務整理を実行できるものばかりです。
浪費やギャンブルがやめられずに再度自己破産を考えている人は、ぜひこちらを検討してみましょう。
自己破産の検討は弁護士や法テラスに相談しよう
最後に、自己破産の際に頼りになる存在として、弁護士と法テラスをご紹介します。
弁護士は言わずと知れた自己破産には欠かせない人物です。
2回目の自己破産となれば、再度自己破産に至った経緯を前回以上に厳しく追及されることでしょう。
その際に弁護士が立役者となり、債務者が厳しい追及を受けるのを阻止してくれます。
法テラスとは、日本司法支援センターという名称の日本国政府が設立した総合案内所です。
法テラスでは自己破産に関する相談や、万一弁護士に依頼するお金がない場合に様々な費用の立て替えを行ってくれます。
自己破産にたどり着く人であれば弁護士の費用すらも出せない人がほとんどでしょう。
弁護士に相談できないのであれば、自己破産も諦めてしまいがちですが、諦めるのはよくありません。
法テラスから得られる立替金を活かし、再度の自己破産で借金地獄からの苦しみから解放されましょう。
まとめ
自己破産は何度でもできるものではあります。しかしながら2度目以降の自己破産というのは前回から何も反省していない人物として見られてしまいます。
それ故に同じ理由で自己破産を繰り返すとなると、自己破産の実現が難しくなります。
免責不許可事由があり、どうしても再度の自己破産ができないとなってしまった場合には任務整理や特定調停、個人再生を活用して返済額を減らすのも解決策の一つになってくることでしょう。
不安であれば弁護士や法テラスに相談するのはおすすめです。借金という負担を感じない豊かな生活を送るためにも、専門家への相談は必要です。