2020.08.14 2024.11.16

教員(教師)の借金を債務整理(任意整理・個人再生・自己破産)して返済・減額・免責するときの注意点

教員(教師)の借金を債務整理(任意整理・個人再生・自己破産)して返済・減額・免責するときの注意点

幣事務所では、教員(教師)の方々から、債務整理手続き(任意整理・個人再生・自己破産)をされたいというご相談を受けることが多くあります。

多くの相談者の方に共通しているのが、世間からは「学校の先生は間違ったことをしない」という目で見られることに加え、勤務先の学校にも知られないように債務整理手続き(任意整理・個人再生・自己破産)をされたいという点です。

世間からの目もさることながら、当事者にも学校の先生としての威厳があるようで、「学校の先生が破産や再生をすることは知られてはいけない」という気持ちが強く感じられます。

ここでは、教員(教師)という専門職の方々が借金をしてしまった場合、どのような解決方法があるかをご説明します。

1 教員(教師)の方がなぜ借金をしてしまうのか?

世間でよくいわれているように、教員(教師)の方々の労働環境は非常に過酷なものです。

長時間労働や保護者対応やクラブ活動の顧問等、その業務量の多さからくるストレスは想像を絶するものです。

そういった過酷な労働環境に置かれていれば、誰しも貴重な休日には気分転換をしてリフレッシュしたいと考えるのは自然なことです。

幣事務所でよくあるご相談内容のひとつに、こういった休日のリフレッシュが度を越えたものであり、これが原因で借金をしてしまったというものです。

その代表的なものが、ギャンブルや旅行です。

ホストやキャバクラ、風俗といった遊興費で借金をしてしまうこともあります。これらの理由で借金をした場合の債務整理の詳しい内容は、下記コラムをご覧ください。
水商売(ホストクラブやキャバクラ)・風俗が原因で作った借金を債務整理(任意整理・自己破産・個人再生)して、返済・減額・免責するときの注意点

浪費やギャンブルをした方が自己破産で免責が下りるかどうかの詳しい内容は、下記コラムをご覧ください。
免責不許可事由(浪費やギャンブル)があっても、自己破産で免責してもらえるの?

もちろん、ご相談に来られた方すべてがこういった事情ではありません。

ご家族の教育費や生活費が不足して、借金をされるケースもあります。

では、なぜ返済ができなくなるほどまでに借金をしてしまうのでしょうか?

一般的に教員(教師)の収入はそれほど低いものではありません。

それ故に、お金を貸す側としても信用力が高い教員(教師)には、高額なお金を貸し付けてしまうのです。

金融機関や消費者金融にいわれるままに借入をしてしまうと、返済できないほどの借金をしてしまうことになりかねません。

2 教員(教師)の方が任意整理をして借金(債務)の返済減額をするときの注意点

(1)勤務先の学校や保護者や生徒に知られるのか?

結論からいいますと、任意整理をしたからといって、勤務先の学校や保護者や生徒に知られる可能性は低いものといえます。

任意整理は、弁護士と借入先との間で交渉を行い、書面も基本的には弁護士と借入先との間でやり取りをするので、第三者に知られる可能性は極めて低いでしょう。

(2)給与の差押に要注意

任意整理の場合でも、借入先から裁判を起こされて、判決を取られ、さらに勤務先を知られている場合は、給与の差押を受ける可能性があります。

給与の差押を受けると、裁判所から勤務先に書面が送達されます。

公立学校の教員(教師)であれば、給与の支払いをするのは都道府県ですので、裁判所からの書類は、都道府県庁の給与担当者に送られます。

また、私立学校の教員(教師)であれば、給与の支払いをするのは、勤務先の学校であるため、裁判所からの書類は勤務先の学校に送られます。

債務整理手続きをしていることを知られる可能性は極めて低いとは説明しましたが、こういった書類が勤務先に送られることで、何等かの借金をしているという事実を知られる可能性はあります。

とはいえ、借入先から裁判を起こされたら放置せずに速やかに対応し、和解することでこういったことは未然に防ぐことができる可能性が高まります。

(3)よくある事例のモデルケース

よくある事例のモデルケースとしてご紹介します。

私立学校で教員(教師)として働かれているところ、日々の業務のストレスから競馬や競艇等のギャンブルを始めてしまいました。

ギャンブルに打ち込み過ぎるあまり、自身の給料だけでは足りず、銀行や消費者金融から合計300万円の借金をしてしまいました。

返済に困られて弁護士に任意整理を依頼したところ、5年間の分割弁済の和解ができたことで、毎月の返済を5万円まで減額することができ、生活を立て直すことができました。

3 教員(教師)の方が自己破産をして借金(債務)をゼロ(免責)にするときの注意点

(1)勤務先の学校や保護者や生徒に知られるのか?

結論からいいますと、自己破産をしたからといって、保護者や生徒に知られる可能性は低いですが、勤務先の学校に知られる可能性はあります。

自己破産の場合、裁判所への申立時には多数の書類を提出しなければなりません。

それらの書類の中で、場合によっては勤務先の学校に開示を求めなければならない書類として、退職金に関する証明書があります。

この書類の開示を勤務先の学校に求めるにあたり、勤務先の学校に自己破産の手続きをしていることを知られる可能性はゼロではありません。

そうすると、勤務先の学校に知られずに(内緒で)自己破産ができないのかというと、必ずしもそうとは限りません。

裁判所での運用上、退職金に関する証明書の提出が困難な場合には、退職金支給規定と計算書をもって代えることができます。

退職金支給規定は就業規則と同様に、従業員がいつでも見ることができるように備え付けておくべきものですので、こちらのコピーを提出してもらうことで対応することが可能です。

あとは、退職金の計算方法のみを口頭で人事担当者等に確認してもらえれば、退職金の計算は可能となり、退職金支給規定と併せることで、裁判所に退職金に関する証明書の代替書類として提出することができます。

この方法であれば、勤務先の学校に自己破産の手続きをしていることを知られる可能性は低くなります。

(2)公立学校共済組合に要注意

公立学校でお勤めの教員(教師)の方の中には、公立学校共済組合から借金をされていることがあります。

公立学校共済組合から借金をした場合、その返済は給与天引きで行われます。

ここで注意が必要なことが、弁護士が介入したからといって、一般の借入先のように返済が止まらないことです。

一般の借入先であれば、弁護士が代理人になったという通知を受領すると、返済の督促や請求行為(裁判を起こすことは止められません)は止まります。

しかし、公立学校共済はそれだけでは足りず、自己破産の申立てを行い、さらに開始決定という決定が裁判所から出るまでは、給与天引きは止まりません。

公立学校共済組合から借入れをされている方は、弁護士に依頼した後は、できるだけ速やかに自己破産の申立てを行うことが重要です。

(3)よくある事例のモデルケース

よくある事例のモデルケースとしてご紹介します。

私立学校で教員(教師)として働かれているところ、お子さんの教育費が想像以上に必要になり、銀行や公立学校共済組合から借入れをしました。

進学や授業料の支払が必要になる度に借入れをしました。

気付けば、借金は700万円を超える金額になりました。

返済に困られて弁護士に自己破産を依頼したところ、無事に700万円の借金(債務)をゼロ(免責)してもらうことができました。

4 教員(教師)の方が個人再生をして借金(債務)を減額するときの注意点

(1)勤務先の学校や保護者や生徒に知られるのか?

結論からいいますと、個人再生をしたからといって、保護者や生徒に知られる可能性は低いですが、勤務先の学校に知られる可能性はあります。

個人再生においても、自己破産の場合と同様に、裁判所への申立時には多数の書類を提出しなければならず、当然に退職金に関する証明書も提出しなければなりません。

自己破産の場合と同様に、退職金に関する証明書の開示を勤務先の学校に求めるにあたり、勤務先の学校に個人再生の手続をしていることを知られる可能性はゼロではありません。

しかし、上述したように、退職金支給規定と併せることで、裁判所に退職金に関する証明書の代替書類として提出することが可能です。

これにより、自己破産の場合と同様に、勤務先の学校に個人再生の手続をしていることを知られる可能性は低くなります。

(2)公立学校共済組合に要注意

上述したように、公立学校共済組合から借金をしている場合、弁護士が介入したからといって、一般の借入先のように返済は止まりません。

これは個人再生の場合でも同様です。

返済を止めるには、自己破産の場合と同様に、個人再生の申立てを行い、さらに開始決定という決定を裁判所から出してもらわなければなりません。

自己破産の場合と同様に、弁護士に依頼した後は、できるだけ速やかに個人再生の申立てを行うことが重要です。

(3)よくある事例のモデルケース

よくある事例のモデルケースとしてご紹介します。

公立学校で教員(教師)として働かれているところ、日々の業務のストレスから、気分転換に国内外を問わず長期休暇が取得できる毎に旅行に行くようになりました。

旅行に行く頻度が多かったため、気付けば銀行や信販会社や消費者金融から合計1000万円の借金をしてしまいました。

返済に困られて弁護士に個人再生を依頼したところ、自宅と退職金以外に目立った資産もなかったことから、借金は5分の1の200万円まで圧縮することができ、3年間での分割弁済とすることができました。

また、住宅ローンの支払はそのまま継続することができたので、自宅を失うこともありませんでした。

住宅ローンを除いた毎月の返済は、6万円以下にまで減額することができ、生活を立て直すことができました。

5 教員(教師)の方で借金にお困りの方は、債務整理を取り扱う大阪・堺の弁護士に

このページでは、教員(教師)の方がなぜ借金をしてしまうのか、そして債務整理手続き(任意整理・個人再生・自己破産)をした場合の注意点等をご説明しました。

教員(教師)の方で借金にお困りの方は、債務整理を多く取り扱う大阪・難波(なんば)・堺市の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

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