幣事務所では、様々な病気を患われた方々から、病気による入院や通院の医療費を工面する為の借金について、債務整理手続き(任意整理・個人再生・自己破産)をされたいというご相談を受けることがあります。
病気の内容次第では、休職や場合によっては退職を余儀なくされることさえあります。そのような状態が長期間続くと、医療費や生活費を工面するために借金をしなければならなくなります。
ここでは、そういった方々が借金をしてしまった場合、どのような解決方法があるかをご説明します。
なぜ病気が原因で借金(債務)をしてしまうのか?
病気の内容にもよって、借金に至ってしまう原因はさまざまであるかと思います。
たとえば、高額な医療費が必要になる病気であれば、医療費を捻出するために借金をするというケースもあります。また、病気になってしまって、働くことができず、収入が得られないため、借金をするというケースもあります。
他方で、うつ病などの精神病が理由の場合には、散財をすることで、ストレス発散をすることもあり、そのために借金をしてしまうということもあります。
前2者の場合には、やむを得ないところはありますが、後者の場合には、債務整理の手続き上、「浪費」と考えられ、手続上不利に扱われる可能性もあります。
病気が原因の借金(債務)を任意整理して返済減額をするときの注意点
勤務先や家族に知られるのか?
結論からいいますと、任意整理をしたからといって、勤務先や家族に知られる可能性は低いものといえます。
また、仕事に与える影響が発生する可能性も低いものといえます。
任意整理は、弁護士と借入先との間で交渉を行い、書面も基本的には弁護士と借入先との間でやり取りをするので、第三者に知られる可能性は極めて低いでしょう。
そのため、高額な医療費を工面するための借金や生活費を工面するための借金や浪費による借金が原因で任意整理をしたとしても、特に勤務先や家族に知られることはまずありませんので、ご安心ください。
ただ、病気が原因で借金をしてしまう以前に、まずは、病気を家族に打ち明けて、経済的な援助を得て,借金をしないようにすることが大切です。
履行可能性に要注意
任意整理は、安定して返済していけるかどうかがポイントになります。
弁護士に任意整理を依頼することで、借金を完済するまでの間に発生する利息は減免してもらえることがほとんどですが、元本は必ず3年から5年で返済しなければなりません。
これから3年から5年間にわたって、毎月確実に返済原資を工面できるのかについては、慎重に検討する必要があるでしょう。
そのため、ご自身の病気の状況や、今後も安定して収入を得られるかどうかをよく考え、手続を選択されることをお勧めします。
よくある事例のモデルケース
よくある事例のモデルケースとしてご紹介します。
元々会社員として勤務していたところ、癌を患ってしまい、入通院加療のため半年間休職することになりました。
生命保険には加入していなかったことで、収入を補填できるものもなく、当初は預貯金を取り崩していました。
しかし、医療費が予想以上に必要になってしまったことから、預貯金はあっという間になくなってしまいました。
退院してからも、生活費が不足してしまったことから、消費者金融から借入れを行い、さらに日用品等の購入は、既に所有していたクレジットカードで支払っていました。
こういったことを繰り返しているうちに、借入額は100万円を超える金額になってしまいました。
時短勤務で復帰しましたが、収入は以前よりも低下したため、返済に困ってしまい、弁護士に任意整理を依頼しました。
弁護士に任意整理を依頼したことで、5年間の分割弁済の和解をすることができ、毎月の返済も2万円以下に減額することができました。
病気が原因の借金(債務)を自己破産してゼロ(免責)にするときの注意点
家族や通院先の病院に知られるのか?
結論からいいますと、自己破産すると、勤務先に知られる可能性はありますが、通院先の病院に知られる可能性は低いです。
自己破産の場合、裁判所への申立時には多数の書類を提出しなければなりません。
それらの書類の中で、場合によっては勤務先に開示を求めなければならない書類として、退職金に関する証明書があります。
この書類の開示を勤務先に求めるにあたり、勤務先に自己破産の手続きをしていることを知られる可能性はゼロではありません。
そうすると、勤務先に知られずに(内緒で)自己破産ができないのかというと、必ずしもそうとは限りません。
裁判所での運用上、退職金に関する証明書の提出が困難な場合には、退職金支給規定と計算書をもって代えることができます。
退職金支給規定は就業規則と同様に、従業員がいつでも見ることができるように備え付けておくべきものですので、こちらのコピーを提出してもらうことで対応することが可能です。
あとは、退職金の計算方法のみを口頭で人事担当者等に確認してもらえれば、退職金の計算は可能となり、退職金支給規定と併せることで、裁判所に退職金に関する証明書の代替書類として提出することができます。
この方法であれば、勤務先に自己破産の手続きをしていることを知られる可能性は低くなります。
一方で、上述したように病気が原因で、高額な医療費や生活費や浪費による借金をやむなくしてしまい、自己破産に追い込まれてしまったような場合は、裁判所に特別な事情があることを説明するために、診断書を提出しなければなりません。
診断書の発行に理由は不要ですから、わざわざ通院先の病院に自己破産に必要である旨を告げる必要はありません。
通院先の病院には、現在の病状についての診断書が欲しいということだけをお伝えいただくだけで、診断書を発行してもらうことができます。
ですので、通院先の病院に自己破産の手続きをしていることを知られる可能性は低いです。
回復の見込みがなければ生活保護も検討
自己破産をすることで、借金は0円(免責)にしてもらうことができます。
しかし、自己破産をしても借金を0円(免責)にしてもらえるだけで、将来の保証を何かしてもらうことはできません。
また、個人信用情報機関にも事故情報が掲載されてしまっているため、新たに借入をすることもできません。
うつ病などの精神病が原因での浪費であれば、治療の効果が表れればやめることができ、生活を再建することも可能でしょう。
しかし、高額な医療費や生活費が原因で借金をしていた場合、患っている病気の状態によっては、本当の意味での生活再建は難しいかもしれません。
職場への復帰や再就職ができて、収入を得る見通しが立っていれば問題ないかもしれませんが、そうでない場合は生活再建策も考えなければなりません。
ですので、体調の回復の見通しが立たないような状態であれば、本当の意味での生活再建のためにも、役所で生活保護の相談を受けることも並行して考えられることをお勧めします。
自己破産をすることで、借金は0円(免責)にしてもらうことができます。 しかし、自己破産をしても借金を0円(免責)にしてもらえるだけで、将来の保証を何かしてもらうことはできません。 また、個人信用情報機関にも事故情報が掲載されてしまっているため、新たに借入をすることもできません。
うつ病などの精神病が原因での浪費であれば、治療の効果が表れればやめることができ、生活を再建することも可能でしょう。
しかし、高額な医療費や生活費が原因で借金をしていた場合、患っている病気の状態によっては、本当の意味での生活再建は難しいかもしれません。 職場への復帰や再就職ができて、収入を得る見通しが立っていれば問題ないかもしれませんが、そうでない場合は生活再建策も考えなければなりません。
ですので、体調の回復の見通しが立たないような状態であれば、本当の意味での生活再建のためにも、役所で生活保護の相談を受けることも並行して考えられることをお勧めします。
よくある事例のモデルケース
よくある事例のモデルケースとしてご紹介します。
元々会社員として勤務していたところ、職場環境になかなか馴染むことができず、ついにはうつ病を発症し、職場を退職せざるを得なくなりました。
退職後は実家に戻り、通院加療していましたが、思うように効果は表れませんでした。
実家に戻ってはいたものの、年老いた両親は年金収入のみで生活に余裕はなく、自身の生活費は自身で工面しなければなりませんでした。
会社員時代から既に銀行のカードローン契約をしていたこともあり、既に所有していたクレジットカードと併せて使用して、生活費や医療費に充てていました。
しかし、そのようなことを繰り返しているうちに、気付けば借金の総額は300万円を超えてしまいました。
再就職の目途も立たなかったことから、弁護士に自己破産を依頼しました。
裁判所には病気が原因で生活費を工面するための借金であることを、診断書を提出して説明したところ、無事に300万円の借金(債務)を0円(免責)にしてもらうことができました。
病気が原因の借金(債務)を個人再生して減額するときの注意点
勤務先に知られるのか?
結論からいいますと、個人再生をすると、勤務先に知られる可能性はあります。
個人再生においても、自己破産の場合と同様に、裁判所への申立時には多数の書類を提出しなければならず、当然に退職金に関する証明書も提出しなければなりません。
自己破産の場合と同様に、退職金に関する証明書の開示を勤務先に求めるにあたり、勤務先に個人再生の手続をしていることを知られる可能性はゼロではありません。
しかし、上述したように、退職金支給規定と併せることで、裁判所に退職金に関する証明書の代替書類として提出することが可能です。
これにより、自己破産の場合と同様に、結論からいいますと、個人再生をすると、勤務先に知られる可能性はあります。
個人再生においても、自己破産の場合と同様に、裁判所への申立時には多数の書類を提出しなければならず、当然に退職金に関する証明書も提出しなければなりません。
自己破産の場合と同様に、退職金に関する証明書の開示を勤務先に求めるにあたり、勤務先に個人再生の手続をしていることを知られる可能性はゼロではありません。
しかし、上述したように、退職金支給規定と併せることで、裁判所に退職金に関する証明書の代替書類として提出することが可能です。
これにより、 自己破産の場合と同様に、勤務先に個人再生の手続をしていることを知られる可能性は低くなります。
住宅ローンの延滞と履行可能性に要注意
住宅ローンの延滞
個人再生をすると、自宅を守りながら、住宅ローン以外の借金を最大で10分の1にまで減額してもらうことができます。
しかし、こういったメリットがある反面で、手続きの要件は厳格です。
そのひとつが、住宅ローンの延滞がないことです。
個人再生においては、住宅ローンの返済を継続していくことができることが前提にありますので、手続をスムーズに進めるには、住宅ローンの延滞がないことが理想です。
もちろん、一定の条件はありますが、住宅ローンの延滞があったとしても個人再生は可能ですので、簡単に諦めず、まずは弁護士にご相談ください。
住宅ローンの返済は、数十年という人生の大部分の期間を占める非常に大変なものです。
そのような大変な返済をこれからも継続していくことができるのか、ご自身の病気の状況や、今後も安定して収入を得られるかどうかを踏まえて、よく検討することが大切です。
自宅を守ることはもちろん大切ですが、自身の身体を守ること以上に大切なものはないでしょう。
履行可能性
上述したように、個人再生にはメリットがある反面で、手続きの要件は厳格です。
重要な要件のひとつに、将来も継続的に収入を得られる見込みがあることがあります。
これは、つまり将来にわたっても返済を継続していくことができるだけの収入が見込まれるのかということです。
将来にわたっても、現在と同様の収入を維持することができるのか、自身の治療状況と体調を踏まえて、慎重に検討することが大切です。
よくある事例のモデルケース
よくある事例のモデルケースとしてご紹介します。
会社員として勤務しているところ、鬱病を患い、業務負担を軽減するために時短勤務に変更になりました。
しかし、収入が3割程度減少してしまったため、住宅ローンの返済をすると、生活費が不足するようになりました。
不足した生活費を補うために、クレジットカード会社や消費者金融から借入れを始めました。
徐々に返済をしていくことが困難になり、妻もパート勤務を始めました。
それでも返済には追い付かず、気付けば借金総額は600万円になり、弁護士に個人再生を依頼しました。
個人再生の結果、自宅以外に目立った資産もなかったことから、借金は5分の1の120万円に減額してもらうことができました。
妻のパート収入と合わせることで、住宅ローンの返済も継続することができるようになり、生活も立て直すことができました。
病気が原因で作った借金にお困りの方は、債務整理を取り扱う大阪・堺の弁護士に
このページでは、病気の方がなぜ借金をしてしまうのか、そして債務整理手続き(任意整理・個人再生・自己破産)をした場合の注意点等をご説明しました。
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