銀行員の方が借金するとクビになる?
銀行員の方も、教育ローンや必要に応じてクレジットカードをたくさん使ってしまって、借金をしてしまうということがあります。しかし、借金をしたこと自体で、会社(銀行)をクビにすることはできません。
では、債務整理をした場合にはどうでしょうか?
幣事務所では、銀行員の方々から、債務整理手続き(任意整理・個人再生・自己破産)をされたいというご相談を受けることが多くあります。
多くの相談者の方に共通しているのが、世間からは「お堅い仕事をしている」という目で見られていることに加え、勤務先にも知られないように債務整理手続き(任意整理・個人再生・自己破産)をされたいという点です。
ここでは、銀行員という金融の専門職の方々が借金をしてしまった場合、どのような解決方法があるかをご説明します。
銀行員の方がなぜ借金をしてしまうのか?
銀行員の方は、世間一般の方々が想像されている以上に過酷な労働環境で働かれています。
さらに、過大な営業ノルマを課されることが多くあり、その営業ノルマを達成するための精神的なストレスは相当なものです。
営業マンの中には、そういったストレスを発散するために、散財をしてしまうことが多くあります。
散財の代表的なものとしては、キャバクラやホストクラブ、パチンコや競馬等のギャンブルが挙げられます。
また、銀行員の方は、お子様の教育費にお金をかける傾向があり、教育ローンを組んでしまうこともあります。
これらの行為が積み重なることで、借金をしてしまうこともあります。
また、銀行が扱う金融商品は多岐にわたり、場合によっては商品を扱うための資格も取得しなければなりません。
代表的なものとしては、生命保険募集人や宅地建物取引士があります。
こういった資格取得のための費用は、基本的には自身で負担しなければなりません。
資格スクールでの受講費も積み重なれば大きな負担となり、場合によっては借金をすることもあります。
キャバクラやホストクラブでの飲食・遊興費,パチンコや競馬などのギャンブルが借金の原因であれば,債務整理手続き上は「浪費」という扱いになると考えられ、手続き上不利に扱われてしまう可能性があります。
ホストやキャバクラで借金をした場合の債務整理の詳しい内容は、下記コラムをご覧ください。
水商売(ホストクラブやキャバクラ)・風俗が原因で作った借金を債務整理(任意整理・自己破産・個人再生)して、返済・減額・免責するときの注意点
浪費やギャンブルをした方が自己破産で免責が下りるかどうかの詳しい内容は、下記コラムをご覧ください。
免責不許可事由(浪費やギャンブル)があっても、自己破産で免責してもらえるの?
銀行員の方が任意整理をして借金(債務)の返済減額をするときの注意点
勤務先(銀行)に知られるのか?
結論からいいますと、任意整理をしたからといって、勤務先に知られる可能性は低いものといえます。
また、仕事に与える影響が発生する可能性も低いものといえます。
銀行員の方は、特に職務上の理由から、借金をしている事実を勤務先に知られることを心配されています。
任意整理は、弁護士と借入先との間で分割返済のプランについての交渉を行い、借入先と取り交わす書面も、基本的には弁護士と借入先との間でやり取りをします。
よって、第三者に知られる可能性は極めて低いものといえますので、ご安心ください。
ただし、ごく稀に勤務先の銀行から融資を受けているケースがあります。
こういった場合、弁護士から勤務先の銀行に通知を送付してしまうと、勤務先に任意整理をしていることが知られてしまいます。
しかし、任意整理では介入する借入先を自由に選択することができますので、勤務先以外のみ任意整理をすることで、任意整理をしていることを知られずにすみます。
ただし、個人信用情報に事故情報が登録されますので、勤務先の銀行が与信の際に個人信用情報を閲覧した場合、知られてしまう可能性があることに注意が必要です。
給与の差押に要注意
任意整理の場合でも、借入先から裁判を起こされて、判決を取られ、さらに勤務先を知られている場合は、給与の差押を受ける可能性があることに注意が必要です。
給与の差押を受けると、裁判所から勤務先に書面が送達されてしまいます。
任意整理手続きをしていることを知られる可能性は極めて低いと上述しましたが、こういった書類が勤務先に送られることで、何等かの借金をしているという事実を知られる可能性はあります。
とはいえ、借入先から裁判を起こされたら放置せずに速やかに対応し、和解することでこういったことは未然に防ぐことができる可能性が高まります。
また、裁判を起こされたら、すぐに弁護士に依頼することで和解交渉のタイミングを確保し、さらに判決が出されるまでの期間を引き延ばすことも可能です。
借入先から裁判を起こされたら、まずは落ち着いて弁護士に対応を依頼されることをお勧めします。
弁護士が依頼を受けたら、裁判の対応はすべて弁護士が代わりに行うことができますので、ご安心ください。
よくある事例のモデルケース
よくある事例のモデルケースとしてご紹介します。
銀行員として働かれているところ、日々の任務のストレスから、休日にはパチンコや競馬に打ち込んでいました。
給与もあっという間に使い果たしてしまい、同業者から借入れをすることに抵抗があったことから、消費者金融から借入れをしました。
気付けば借金の金額は300万円近くまでになりました。
職場や家族には、絶対に知られずに(内緒で)解決されたいという意思が強いことを弁護士に伝えたところ、任意整理をすることになりました。
任意整理の結果、5年間の分割弁済の和解をすることができ、毎月の返済は5万円に減額することができました。
銀行員の方が自己破産をして借金(債務)をゼロ(免責)にするときの注意点
勤務先(銀行)に知られるのか?
結論からいいますと、自己破産すると、勤務先に知られる可能性があります。
自己破産の場合、裁判所への申立時には多数の書類を提出しなければなりません。
それらの書類の中で、場合によっては勤務先に開示を求めなければならない書類として、退職金に関する証明書があります。
この書類の開示を勤務先に求めるにあたり、勤務先に自己破産の手続きをしていることを知られる可能性はゼロではありません。
そうすると、勤務先に知られずに(内緒で)自己破産ができないのかというと、必ずしもそうとは限りません。
裁判所での運用上、退職金に関する証明書の提出が困難な場合には、退職金支給規定と計算書をもって代えることができます。
退職金支給規定は就業規則と同様に、従業員がいつでも見ることができるように備え付けておくべきものですので、こちらのコピーを提出してもらうことで対応することが可能です。
あとは、退職金の計算方法のみを口頭で人事担当者等に確認してもらえれば、退職金の計算は可能となり、退職金支給規定と併せることで、裁判所に退職金に関する証明書の代替書類として提出することができます。
この方法であれば、勤務先に自己破産の手続きをしていることを知られる可能性は低くなります。
ただし,破産手続きをとった場合には,その事実が「官報」に掲載されることになります。
そのため,銀行が定期的に官報をチェックしているのであれば,そこから破産手続きをとったことがバレる可能性がないわけではありません。
自己破産すると仕事への影響はあるのか?銀行をクビになるのか?
結論からいいますと、自己破産すると、仕事への影響がある可能性があります。
上述したように、銀行員が取得する資格で代表的なものとして、生命保険募集人や宅地建物取引士があります。
これらの資格には、資格制限というものがあり、自己破産をすると資格が使えなくなる等の制限が課せられてしまいます。
例えば、生命保険募集人についていえば、生命保険募集人の登録を取り消される可能性があります。
保険業法第307条において、生命保険募集人が復権を得ない状態では、登録を取り消すことができると定められています。
「取り消さなければならない」ではないことが重要なポイントとなります。
生命保険募集人個人には、自己破産手続きをしたからといって届出をする法律上の義務はありませんので、知られなければ問題にならないという考え方もあります。
しかし、生命保険協会や保険会社は官報をチェックしている可能性があるため、登録の取消がされなかったとしても、そこから知られて業務に影響が出る可能性はゼロではありません。
また、宅地建物取引士についていえば、登録が取り消されてしまい、宅地建物取引士証を返納しなければなりません。
宅建業法第18条において、破産者で復権を得ないものは登録を受けることができないと定められています。
自己破産をすると、宅地建物取引士としての登録を削除する届出を自己申告しなければなりません。
自己申告と聞くと、申告しなくてもいいのではないかとも思われる方がいらっしゃいますが、この届出は義務となっているため、届出を怠ると宅建業法違反となってしまいます。
こうしたことから、登録取り消しにより業務に影響が出る可能性はゼロではありません。
ただし、自己破産をすると将来にわたって制限を受けるわけではありませんので、ご安心ください。
破産手続開始決定(これから自己破産の手続きを始めますという通知)が出てから、免責許可決定が確定するまでの間だけが制限を受けるだけであり、免責許可決定が確定すれば従来通り業務を行うことができます。
なお、自己破産した場合に、銀行をクビになるかどうかについては、一般的に、自己破産したことが解雇原因とされる可能性はまずありません。ですから、銀行をクビになる可能性は低いと言えます。
なお、銀行員は、一般の方よりもお金を扱う職業ですので、会社の就業規則などに自己破産をした場合には、報告をしなければならないことや懲戒処分が定められているケースもありえます。
ただ、そのように就業規則に定めがあったとしても、直ちに解雇原因とされてクビにできるわけではなく、銀行員としての職務に支障が生じると判断されるような場合に可能性が出てくるものと考えられます。
よくある事例のモデルケース
よくある事例のモデルケースとしてご紹介します。
銀行員として働かれているところ、子ども2人が同時に高校と大学に進学することになり、その入学金や学費等が高額になり、やむを得ず勤務先以外の銀行で借入をしました。
奨学金という方法も検討しましたが、子どもに負担をかけたくないという思いから、自身で借入をされました。
入学後も定期的に高額な授業料を工面しなければならず、その都度銀行から借入れをしました。
毎月の返済は滞ることなく行っていましたが、徐々に毎月の返済額が毎月の収支の余剰額と変わらないくらいの金額になってしまいました。
子ども2人が卒業する頃には、借入の金額は700万円を超えていました。
定年退職が近い将来に迫っていたこともあり、老後の生活のことも考え、自己破産手続きを弁護士に依頼しました。
自己破産手続きにより、無事に700万円を超える借金(債務)をゼロ(免責)してもらうことができました。
銀行員の方が個人再生をして借金(債務)を減額するときの注意点
勤務先に知られるのか?
結論からいいますと、個人再生をすると、勤務先に知られる可能性はあります。
個人再生においても、自己破産の場合と同様に、裁判所への申立時には多数の書類を提出しなければならず、当然に退職金に関する証明書も提出しなければなりません。
自己破産の場合と同様に、退職金に関する証明書の開示を勤務先に求めるにあたり、勤務先に個人再生の手続をしていることを知られる可能性はゼロではありません。
しかし、上述したように、退職金支給規定と併せることで、裁判所に退職金に関する証明書の代替書類として提出することが可能です。
これにより、自己破産の場合と同様に、勤務先に個人再生の手続をしていることを知られる可能性は低くなります。
ただし,個人再生手続きをとった場合には,その事実が「官報」に掲載されることになります。
そのため,銀行が定期的に官報をチェックしているのであれば,そこから個人再生手続きをとったことがバレる可能性がないわけではありません。
仕事への影響はあるのか?
上述したように、自己破産をすると生命保険募集人や宅地建物取引士として業務を行われている場合は、制限を受けることになります。
しかし、個人再生手続においては、そういった制限を受ける心配がありません。
仮に、生命保険募集人や宅地建物取引士として業務を行われているような場合は、個人再生手続きを選択されることで、業務への影響を回避することが可能です。
よくある事例のモデルケース
よくある事例のモデルケースとしてご紹介します。
銀行員として働かれているところ、過大な営業ノルマを課せられていることをストレスに感じ、そのストレスの発散のために、キャバクラや風俗に通うようになりました。
その後、徐々にパチンコや競馬といったギャンブルにも手を出すようになり、あっという間に給与も貯金も使い果たしてしまいました。
それでもキャバクラや風俗やギャンブルをやめることができず、同業者の銀行やクレジットカード会社から借入れを繰り返しました。
当初の返済額はわずかなものでしたが、徐々にボーナスでも補填できないほどの返済額にまで増えてしまいました。
最終的に借金の総額は900万円近くにまで増えてしまいました。
返済に困るようになり、弁護士に個人再生手続を依頼しました。
特に資産を保有していなかったことから、900万円の借金は180万円まで減額してもらうことができました。
銀行員の方で借金にお困りの方は、債務整理を取り扱う大阪市・難波(なんば)・堺市の弁護士に
このページでは、銀行員の方がなぜ借金をしてしまうのか、そして債務整理手続き(任意整理・個人再生・自己破産)をした場合の注意点等をご説明しました。
銀行員の方で借金にお困りの方は、債務整理を多く取り扱う大阪市・難波(なんば)・堺市の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。