パチンコが原因で借金地獄に陥ってしまった場合に、自身の力のみで返済していくには、並々ならぬ苦労をする事はこれまでに説明をしました。
借金問題の解決にあたっては、弁護士に依頼して手続きをすることが解決への近道です。
ここでは、実際にパチンコが原因で借金地獄に陥ってしまった人が、どのように解決まで至ることができるのかを、その方がどういう事情でその手続きを選択されるのかも併せて、よくある事例とともに手続き別に紹介させていただきます。
任意整理(合計200万円の借金を5年の分割弁済で和解する場合の事例)
Aさんは50代の女性で、会社員の夫と2人で生活する主婦の方です。
Aさんには2人の子どもがいましたが、いずれも社会人としてそれぞれで生活をしています。
子育てからも解放され、特に趣味もなかったAさんは隣町のスーパーで、パートとして働き始めました。
勤務を始めてからしばらくしたある日、職場の同僚にパチンコに誘われました。
特に趣味もなかったAさんは、好奇心から同僚とパチンコ店を訪れました。
遊戯中は無心になってパチンコを打つことができ、何もかも忘れることができました。
この日以降、Aさんは何かストレスに感じることがあると、パチンコ店を訪れるようになりました。
この頃は、Aさんは収入の範囲内での遊戯でしたので、これまでの日常とは何も変わることはありませんでした。
そんなある日、Aさんは初めての勝ちを経験することになります。
わずか数千円の賭け金が、数万円になって返ってきました。
Aさんは大変驚いた一方で、パチンコは儲かるものだという錯覚に陥ってしまいました。
この日からAさんは頻繁にパチンコ店に通い始めました。
しかし、再度の勝ちを経験することはなかなかありませんでした。
パート収入はあっという間になくなってしまい、ついには生活費にまで手を付けてしまいました。
Aさんは、これまで負けた分を取り戻さなければならないという一心で、ついには所持していたクレジットカードのキャッシングを利用し始めました。
気付けば限度額いっぱいまで利用してしまい、今度は返済に窮するようになったAさんは消費者金融からも借入を始めました。
まさに自転車操業の借金地獄に陥ってしまったAさんは、ここで初めて弁護士に解決方法がないかを相談されることになります。
Aさんには、家族には内緒で借金問題を解決されたいという強いご希望がありました。
幸いなことに、Aさんには毎月のパート収入が8万円程度あり、毎月の必要な生活費は夫の収入だけで十分に賄うことができました。
また、借金の総額は200万円程度であったこともあり、任意整理を選択することになります。
借入先と弁護士が交渉することで、最大5年間の分割弁済の和解をすることができる可能性があります。5年間の分割弁済の和解ができると、毎月の返済額は月額3万5000円程度まで減額できることになります。
さらに、和解日以降の利息も全額免除してもらうことができ、5年後には完済できる見通しが立ちます。
この返済額であれば、パート収入の範囲内に返済額が収まりますので、Aさんは無理なく返済を継続し、完済への見通しを立てることができるようになります。
個人再生(自宅を守りながら、800万円の借金を160万円に減額する場合の事例)
Bさんは40代の会社員の男性で、パート勤務の妻と中学生の子との3人で生活されています。
Bさんは大手企業で営業職として勤務されており、平均月収は同年代の男性と比べても高額でした。
しかし、その一方で仕事は激務であり、その精神的なストレスは相当なものでした。
休日のある日、Bさんは何かストレスの解消になるものはないかと考えていたところ、近所にあるパチンコ店の存在を思い出しました。
これまでギャンブルをしたことがなかったので、好奇心から早速パチンコ店を訪れました。
この日は数千円だけを使って遊戯しましたが、特に何事もなく退店しました。
次の休日にまた同じパチンコ店を訪れたBさんは、ビギナーズラックを経験しました。
数千円の賭け金が、あっという間に数万円になって返ってきました。
パチンコは簡単に儲けることができると思い込んだBさんは、この日を境に頻繁にパチンコ店に通うようになりました。
また、休日以外にも仕事の合間等で時間ができればパチンコ店を探して遊戯するようになりました。
Bさんは同年代の男性と比べても収入が高額であったため、自由になるお金もそれなりにありましたが、あっという間にパチンコに消えてしまいました。
そこで、Bさんは所有していたクレジットカードのキャッシング枠を使い、パチンコに打ち込むようになりました。
キャッシング枠をすべて使い切ったBさんは、消費者金融からも借入を始めました。
しかし、借入を繰り返すうちに、徐々に返済に困るようになりました。
そこで、Bさんは返済のために新たな借入れを始めるようになりました。
この頃から、Bさんは借金地獄に陥ってしまいました。
そんな生活を何年も続けるうちに、ついに資金繰りがショートしました。
ついにBさんは家族に借金の事実を打ち明け、妻とともに弁護士に解決方法がないかを相談されることになります。
Bさんはクレジットカードや消費者金融に800万円の借金があり、さらに住宅ローンもまだ2000万円以上残っていました。
ご自宅は守られたいというご家族の強い意向もあり、Bさんは住宅資金特別条項付きの個人再生を選択されます。
Bさんには資産として、自宅以外に自動車と生命保険をお持ちでした。
自動車と生命保険の価値を調べたところ、100万円にも満たない金額であることが判明しました。
個人再生手続を行った結果、800万円あった借金は160万円まで減額することが可能となり、これを3年間の分割払いで返済していくことになります。
また、住宅についても無事に守ることができます。
自己破産(500万円の借金の返済義務を免除してもらう場合の事例)
Cさんは50代の会社員の男性で、一人暮らしをされています。
Cさんは元々ご家族と一緒に住まれていましたが、妻との性格の不一致が原因で離婚したことで一人暮らしになりました。
数十年ぶりにひとりになってしまったことに、Cさんは非常に寂しさを感じていました。
休日にやることもなく、なんとなく駅前を散歩していた際に、パチンコ店を見つけました。
店内を見るとたくさんの人であふれ、にぎやかな音楽が店内から聞こえてきました。
なんとなく店内に入り、数千円だけ使って遊戯しました。
遊戯中は無心でパチンコ台と向き合っていたこともあり、寂しさを忘れることができました。
それからというもの、Cさんは休日になると朝からパチンコ店に向かうようになりました。
パチンコにも慣れた頃、さらなる刺激を求めて、Cさんはハイリスク・ハイリターンのパチンコ台で遊戯するようになりました。
遊戯を始めてしばらくたった頃、Cさんは初めて大勝ちを経験しました。
初めての経験に、Cさんはとてつもない高揚感を覚えました。
10万円以上の勝ちを得たため、Cさんは普段食べない料理や普段買わない衣服を購入しました。
これがきっかけとなり、Cさんはパチンコにさらに打ち込むようになりました。
また高揚感を得ようと、給料のほとんどをパチンコにつぎ込みました。
しかし、なかなか同じような勝ちを経験することはできませんでした。
これまで損をした分を取り戻したいという一心から、さらにパチンコにつぎ込むために、消費者金融から借入れを始めました。
気付けばすぐに限度額いっぱいまで借入をしてしまい、複数の消費者金融から借入れをするようになりました。
そのような生活も長く続けることはできず、返済に困るようになり、借りては返すという自転車操業の借金地獄に陥りました。
どうにもできない状況になり、Cさんはここで初めて弁護士に解決方法がないかを相談されることになります。
Cさんは定年まであと数年ということもあり、長期での分割弁済の交渉は困難になる可能性があります。
一方で、Cさんには退職金以外に目立った資産がなかったことから、自己破産を選択されます。
借金の使途のほとんどがパチンコであったことに加え、退職金も高額であったことから、管財事件としての申立となります。
事件進行中は、パチンコに打ち込んでしまったことを深く反省し、その姿勢を管財人に示すことになります。
また、パチンコは断ち切り、専門機関でカウンセリングを受けることで更生の道を歩んでいることを示すことになります。
これらの行いが管財人と裁判所に認められると、500万円あった借金の返済義務を免責してもらうことができます。
まとめ
このページでは、パチンコで借金をしてしまった場合、どのような解決方法があるかについて、よくある事例とともにお伝えしました。
パチンコに依存してしまう事情は、人によって様々です。
パチンコが原因で借金地獄に陥ってしまい、そこから1日も早く脱出するには、弁護士に債務整理手続きを依頼するのが一番の近道です。
パチンコによる借金地獄から抜け出したいと考えられた際には、まずは弁護士にご相談ください。