「このまま返さなければ借金も時効でなくなるのでは…?」
たしかに借金にも時効があり、5~10年が経過することで時効が成立する場合があります。しかし、実際には借金の時効成立をさせるには、かなり難易度が高いと言えます。
今回は、借金の時効について、時効年数と成立条件、時効成立が難しい理由についてご説明していきます。
借金に時効はかかる|時効年数と成立の条件
冒頭でもお伝えしたように、借金には時効があります。まずは、時効の長さや成立条件についてご説明します。
借金の時効は5~10年
借金の時効は5~10年となっており、借り入れをする相手によって年数が変わります。
家族や友人 | 10年 |
法人 | 5年 |
消費者金融や銀行などの法人からの借り入れは5年の時効になっていますが、家族や友人などからの事業目的ではない借り入れであれば時効は10年と長くなります。
5年という年数に案外短いとも感じた方も多いかと思いますが、この間時効成立させる条件を満たし続けることはかなり難しいです(後ほどご説明します)。
起算点=最後の返済から時効がスタート
では、いつから時効がスタートするかと言うと、最後に返済をした日からです。例えば、2015年11月1日が最後の返済になっていた借金であれば、5年後の2019年11月1日に時効となります。
つまり、返済を続けている限りその都度時効はリセットされますので、いつまで経っても時効は成立しません。
ちなみに一度も返済していない借り入れであれば、契約をしたその日から時効がスタートとなります。
時効成立させるための条件
さらに、時効成立のためには以下の条件も満たしておく必要があります。
時効の援用を主張する
時効が経過したら、時効の援用を債権者に主張しなくてはなりません。時効の援用とは、「時効によって支払い義務は消滅しました。支払うつもりはありません」と、債権者に伝えることです。
つまり、返済せずにそのまま無視していれば、自動的に消滅時効が成立するわけではありません。
時効の援用は、口頭でも可能ですが、きちんと形に残すために内容証明などの書面で行うことをおすすめします。
途中で少しでも返済しない・認めない
上記でもお伝えしましたが、途中で借金を返済すると、再びその日から時効が起算されます。つまり、最低でも5年間は支払いに応じてはならなくなります。
安易に想像できるかと思いますが、その間債権者も何としても返済してもらうと、あの手この手を使ってきます。
返済だけではなく、返済の意思を見せることも良くありません。返済の話をしたり、合意書などにサインをしても「返済の意思がある」と、時効が停止する要因になり得ます。
訴訟や強制執行をされない
債権者が時効成立させないために使ってくる手段の1つとして、訴訟や強制執行などの法的手段があります。
訴訟をされると、時効は停止し再びリセットされます。さらに、訴訟を起こされたことにより時効も10年に伸びます。
強制執行をされれば、強制的に財産が差押えられてしまいます。このように、借金の時効成立させるための条件はかなり厳しくなっているのです。
借金の時効成立は難しい|債権者が時効ストップに使う手段
上記でお伝えした内容と重複する部分もありますが、時効成立を拒んでくるために債権者が使ってくる手段をご紹介します。
請求や取り立て
まず、期限を過ぎても返済されてないとなれば、債権者も請求や取り立てを開始するでしょう。夜間や職場への取り立てなどは、貸金業法によって制限されていますが、通常の請求・取り立てでもプレッシャーになります。
時効を成立させるということは、これを5年以上耐え続ける必要があります。
訴訟や支払督促
一向に返済の意思が無い債務者に対しては、債権者も法的手段を使ってくるでしょう。訴訟や支払督促の法的手段を取られることにより、借金の時効は停止し判決等の確定から10年に延長されます。
消費者金融や銀行などは、そのような時効を停止させる手段も当然理解していますので、時効成立の前に訴訟を起こしてくることが通常でしょう。
強制執行
訴訟や支払督促にも応じない場合、裁判所を介して強制執行を使われる可能性が出てきます。強制執行では、給与や銀行口座、財産などが差押えされてしまいます。
そのような状況になってしまえば、借金の時効成立などを悠長に待っている場合でもなくなります。
借金の時効成立は非現実的|借金でお困りなら弁護士に相談を!
このように、借金の時効成立をさせようと手段を講じても、債権者側も返済させるための手を打ってきます。時効成立が成功する可能性は極めて低いですし、普通に返済していくよりもリスクも出てきます。
借金の時効は法律上定められてはいますが、実際に成立できることはほぼ無いと言って良いでしょう。もともと返すつもりで借りたお金を、そのまま返済せずに逃げ切ろうという考えは道徳的に良くありませんし、人としての信用を大幅に低下させます。
どうしても借金が返せないという方は、債務整理によって債権者と交渉などによって借金減額をすることもできます。債務者も債権者も無理なくお互い納得できる解決策が一番です。
無料で相談することもできます。まずは弁護士に相談することをおすすめします。