2019.11.20 2022.10.03

破産するとなれない職業がある

破産するとなれない職業がある

自己破産をすると、一部の職業で一定期間就けないものがあります。今回は、自己破産で制限を受けてしまう職業の種類と、再びその職業に付くための『復権』までの期間と方法についてご説明します。

自己破産で制限を受ける職業まとめ

早速、自己破産で制限を受ける職業をまとめてご紹介したいと思います。

士業

    • ・弁護士
    • ・司法書士
    • ・代理士
    • ・税理士
    • ・行政書士
    • ・公認会計士
    • ・宅地建物取引士
    ・不動産鑑定士など

自己破産で職業に制限を受ける職業の代表が「○○士」などの職業名の士業です。多くが資格が必要になりますし、活動するためには登録も必要になりますが、破産者になることで登録が削除になります。
ただし、資格そのものを失うわけではありませんので、復権後には再び登録して活動することが可能です。

公務員

    • ・公正取引委員
    • ・人事官
    • ・公安委員
    ・公証人

一部の公務員も自己破産による制限を受けます。ただ、実際に上記の職は公務員の中でも特別なものでごく一部の人しか該当しません(例えば公証人は全国に500名程度しかいません)。
一般的な公務員である、警察官・消防士・自衛官・教員などは自己破産で職業制限を受けることはありませんので、ご安心ください。

金融

    • ・生命保険外交員(個人)
    • ・証券会社外交員(個人)
    • ・貸金業者(事業者)
    • ・金融取引業者(役員)
    • ・日本銀行(役員)
    ・信用金庫(役員)

お金を取り扱う金融系の職業でも、一部制限を受ける職業があります。特に生命保険や証券などの金融商品を扱う外交員は、個人単位でも制限を受ける職業となります。復権までは活動できなくなります。

その他

    • ・取締役
    • ・警備員(個人)
    • ・古物商(個人)
    • ・質屋
    • ・建設業者
    ・労働派遣業者など

その他、上記の職業でも自己破産で制限を受けることになります。
まず、会社の取締役が自己破産をすることで、一度委任契約が終了となります。ただし、再び選任されれば、自己破産申立後でも取締役になることができます。
その他代表的な職業は警備員です。他の場合は、「業を営む者」で事業者が制限を受けることになりますが、警備員の場合、個人単位で制限を受けます。つまり、警備会社に属している方でも、復権するまで警備員として働けなくなるのです。古物商についても、復権の間まで欠格扱いになります。

実は制限を受けない職業

    • ・医師
    • ・介護士
    • ・教員
    • ・警察官
    • ・役場職員
    ・金融会社職員

ここまでご紹介した職業に近くても実は制限を受けない職業も多くあります。例に挙げると、上記の通りです。
お伝えの通り、一般的な公務員であれば自己破産しても職業に制限を受けることはありませんので、ご安心ください。
金融商品を扱う外交員(個人事業主)であれば、制限を受けますが、金融会社にお勤めの方も通常は自己破産しても問題なく働き続けることができます。

自己破産の資格制限からの復権の方法と制限期間

上記のような職業では自己破産により制限を受けます。しかし、ほとんどの職業で一定期間制限を受けるだけで、『復権』することができれば、その後再びその職業に就くことができます。
通常であれば破産申立から免責許可が決定するまでの間です。自己破産の種類にもよりますが、3ヶ月~1年程度で復権は可能でしょう。
自己破産の資格制限から復権する方法は、『当然復権』と『申立復権』の2種類に分かれます。当然復権は、免責許可決定などの一定条件を満たすことで復権できるもので、申立復権は裁判によって復権する方法です。

【当然復権】免責許可が決定する|3ヶ月~1年程度

自己破産の申立後、免責許可が決定することで復権することができます。申立から免疫許可まで、3ヶ月~1年程度の期間がかかります。

同時廃止 2~3ヶ月
管財事件 半年~1年

自己破産の方法によっても、免責許可までの期間が違いますので、上の期間を復権までの目安としてください。

【当然復権】免責不許可になった場合

自己破産をしても稀に以下のような理由で免責不許可になる場合があります。

    • 浪費やギャンブルなど借金の原因に問題あり
    • 財産隠しや損壊、処分
    破産手続きで裁判所や破産管財人の協力をしないなど

このような場合、免責許可による復権ができなくなります。免責不許可になった場合、以下の方法によって復権することができます。

詐欺破産罪の有罪にならず10年が経過|10年

詐欺破産とは、債権者を害する目的で不当に財産を隠したり損壊する行為です。この罪にまで問われて有罪を受ければ、復権すること難しくなりますが、有罪でなければ破産手続開始決定から10年経過することで復権することができます。
ただ、実際に10年間その職業に就けなくなることはとても長いですね…。

債権者の同意による破産手続き廃止決定の確定|1年以内

債務者が破産手続きを廃止して、債権者全員が同意をした場合に破産手続きが終了するケースがあります。この場合にも債務者は復権することが可能となります。
ただ、債権者からしてみれば、同意することで配当を受けられなくなりますので、実際に債権者全員が同意するケースはほぼ無いでしょう。

再生認可決定の確定|個人再生申立から半年以内

自己破産の免責不許可の決定がされてしまっても、個人再生手続きで再生許可決定を受けられる可能性は残っています。免責不許可から復権を目指すなら、この方法が一番早く可能性が高いでしょう。
個人再生は、通常3年の返済計画を立てることで最大9割借金減額ができる制度で、個人再生の申立から再生認可決定までは、4~6ヶ月程度となっています。

【申立復権】裁判での復権

もし、当然復権ができなくても、以下の条件に該当し、裁判所に申立てることで復権できるケースがあります。

債務の完済

免責不許可になったとしても、その後債務を完済できれば復権の申立が可能となります。ただ、もともと破産をするほどの債務ですので、そこから完済するとなればかなり例外的なことでしょう。

時効の成立|5年

債務の消滅時効が成立することで、返済義務は無くなります(通常の時効は最後の返済から5年)。この場合も申立をすることで復権できるようになります。
ただ、時効が成立するまでに債権者が支払督促や強制執行などの法的手段を取ってくる可能性が高く、この方法もあまり現実的ではありません。

まとめ

一部の職業では、自己破産の申立から復権するまでの一定期間で資格制限を受けるものがあります。復権すれば再びその職業に就くことができますので、ご安心ください。
通常の復権は、免責許可が決定するまでの3ヶ月~1年程度です。ただし、免責不許可になると10年間復権できない場合も出てきます。
免責不許可の場合は、個人再生での再生認可が決定することで復権することもできますので、自己破産以外の方法も検討してみてください。

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