会社の破産は、影響する金額も大きくなりがちで、従業員の解雇などの金銭問題以外の対応も必要になるため非常に大変です。必ず弁護士に依頼して代わりに手続きやアドバイスをしてもらうようにしましょう。
今回は、会社の破産の手順や破産によって影響が出ることについてご説明します。
会社を破産する手続き方法
まず、簡単に会社を破産する手順をまとめると上のような流れになります。
社内で破産を決定し事業を停止させる【黄色】
まず、裁判所に破産申立てを行う前に、社内で会社を破産することを決め、先に事業停止させておきます。会社破産の決定については、取締役会などで決議を行うことが通常です。
破産を決定させる際に事業停止日も決めておき、その日に事業を停止させます。事業停止日に従業員が残っていれば全員を解雇する必要がありますが、混乱を避けるために事業停止日に従業員に解雇を伝えることが多いです。
破産申立ての準備【水色】
事業を停止させ事業所を閉鎖したなら、裁判所へ破産申立てを行っていきます。破産のために必要な書類を集め、申立書を作成します。
必要書類には、過去の確定申告書、帳簿、契約書、請求書、納付書など、かなりの種類と数になってきます。具体的には依頼した弁護士から指示を受けるようにしましょう。
裁判所から破産手続開始の決定を受ける【赤⑤番】
申立てから1ヶ月ほどで裁判所から破産手続開始決定がされます。これより破産手続きが進められていきます。
破産管財人の選任と面談【グレー】
破産手続開始決定後、破産管財人が選任されます。破産管財人は破産を行う会社の財産を調査したり、申立人と面談を行います。
債権者集会と配当【緑】
破産開始決定から3ヶ月ほどして債権者集会が行われ、債権者への報告が行われます。残っていた財産は全て換金され、債権者へと配当されます。
破産手続きの終結【赤⑩番】
債権者への配当が終わったあとには、裁判所は破産手続きの終結や廃止決定を行います。
会社を破産するメリット
非常に大変で影響も大きい会社の破産ですが、それをするだけのメリットもあります。先に会社を破産するメリットからご紹介します。
債務が全て消滅する
破産手続きが終了すれば、たとえ何千万円~何億円もの債務でも全てなくなります。個人に比べると、会社の方が債務の規模も大きくなりがちですので、債務がなくなる影響は非常に大きいでしょう。
これらを返済しなくて良くなれば、かなり大きなメリットとなります。
取立てや催促のプレッシャーから解放される
金額や借入先が増えれば、日々の取立てや催促も並々ならぬものだと思います。破産手続開始が決定されれば、債権者は取立てや催促などを行うことができなくなります。
再出発が可能になる
破産手続き中は一部の職業で制限を受けますが、他に職業に関する破産の影響は少ないです。極論を言えば、会社を破産した後に、再び法人を設立することは問題ありません。
破産により債務がゼロになりましたので、今後は新たな仕事での収入によってプラスにしていくことが可能となります。
会社を破産する影響やデメリット
破産により債務の返済義務がなくなることは非常に大きなことですが、それ相応の影響・デメリットもあります。
しっかり影響を理解した上で、破産すべきかどうかを決定していきましょう。なお、代表者のみの考えだけで決定することはトラブルも起こりやすいので、必ず弁護士などの専門家からのアドバイスを受けた上で決定させてください。
会社そのものは消滅する
破産手続きの終了によって、会社そのものが消滅することとなります。たとえ愛着がある会社でも原則的に残すことはできません。
事業承継という形で残すことが可能なケースもありますが、債権者からの損害賠償請求問題に発展するケースもあります。専門家の意見を聞きながら慎重に判断しましょう。
従業員は全員解雇しなければならない
会社が消滅するということは従業員を雇っておくこともできませんので、全員解雇しなければなりません。また、解雇に伴い、給与や退職金などの未払い問題に発展することも考えられます。
このように、会社の破産では従業員への対応も重要になりますので、早い段階から弁護士に相談し、きちんと準備を進めるようにしましょう。
経営者本人も自己破産する必要もあり得る
会社の債務などで経営者が連帯保証人になっているケースでは、経営者本人も自己破産をする必要性が出てきます。本人が自己破産する場合、本人個人の財産も処分の対象となります。
特に自宅を持っている場合は自宅を手放す必要が出てきますので、特に慎重に検討すべきでしょう。同居する家族へも影響が出てきます。
会社を破産するためにかかる費用
破産手続きは借金をなくならせるための手続きですが、無料で行うことはできません。
- 破産にかかる費用:20万円前後
- 弁護士費用:数十万~百数十万円
破産をするにあたって、上記の費用がかかってきます。
特に弁護士費用は、破産する債務が大きければ大きいほど高額になるケースもあります。具体的にいくらくらいかかって、どのように支払っていくかをハッキリさせて破産手続きに進んでいきましょう。
まとめ
会社の破産はとても大変です。
破産する債務の金額が大きくなることが十分に考えられますし、従業員の解雇などの債務以外の問題にも対応する必要があります。
必ず弁護士に依頼して、法的知識がある人のアドバイスを受けながら最適な方法を取っていってください。