2020.01.07 2022.10.01

住宅ローンの代位弁済、競売が起こっていても個人再生の巻き戻しはできる?

住宅ローンの代位弁済、競売が起こっていても個人再生の巻き戻しはできる?

住宅ローンを長期間滞納していると、保証会社が「代位弁済」を行います。その後「競売」を申し立てられると、最終的に家が失われてしまいます。

代位弁済や競売が起こると「もう家は手放すしかない」と思ってしまう方が多いのですが、その段階からでも家を守れる可能性があります。

今回は代位弁済や競売が起こっても「個人再生」によって家を守る方法をご紹介します。

代位弁済とは

代位弁済とは、住宅ローンなどの債務を滞納したときに「保証会社」が代わりに残債を支払うことです。
住宅ローンの場合、3か月~半年程度滞納すると保証会社がそのときの残債や発生利息、遅延損害金を金融機関に一括払いします。その後は保証会社が債務者へ求償権を行使してくるので、債務者は保証会社へ残債や遅延損害金等を一括払いしなければなりません。
代位弁済が起こったら、それまでのように住宅ローンを分割払いすることはできなくなってしまいます。しかし一括払いに対応できる人は少ないので、多くの方が家を諦めておられます。

代位弁済が起こっても「住宅ローン特則」で家を守れる

住宅ローンを滞納して代位弁済が起こっても、個人再生を利用すると「代位弁済をなかったことにできる」ケースがあります。

2-1.個人再生の「巻き戻し」について

「住宅ローン特則(住宅資金特別条項)」つきの個人再生を申し立てると、代位弁済の効果を失わせて元のように金融機関へ住宅ローンの分割払いできる状態に戻るからです。
これを個人再生の「巻き戻し」といいます。巻き戻しが起こったら元のように金融機関へ住宅ローンを分割払いしている限り家が失われることはありません。「住宅ローン特則」を使って他の借金を減額し、借金問題を解決できます。

2-2.巻き戻しの期間は「代位弁済後6か月」

ただし代位弁済後に住宅ローンの巻き戻しができるのは「代位弁済後6か月以内」に限定されます。その期間を超えてから個人再生を申し立てても代位弁済の効果は失われず、家を守れません。
代位弁済が起こってしまったら、早急に準備を整えて住宅ローン特則つきの個人再生を申し立てる必要があります。

競売とは

住宅ローンを長期にわたって滞納していると、家が「競売」にかかります。
競売とは、抵当権者や債権者が裁判所を通じて不動産などの財産を売却する手続きです。売却金は債権の支払いに充てられます。
住宅ローンの場合、3か月~半年程度滞納して保証会社が代位弁済すると、ほどなくして保証会社が競売を申し立てるケースが多くなっています。
競売手続きが進むと入札が行われて買い受け人が決まり、家は落札者のものとなってしまいます。そうなったら債務者は家を出て行かざるを得ません。

競売が起こっても個人再生を申し立てれば家を守れる可能性がある

個人再生をすると、競売が起こっていても中止させて家を守れる可能性があります。

4-1.競売中止命令を申し立てる

競売を中止させるには、個人再生の申立後、個人再生の裁判所に「競売中止命令」を申し立てます。競売中止命令とは、「競売を中止するように」という裁判所からの命令です。個人再生の裁判所から競売中止命令が出たら、競売を行っている裁判所は競売を一定期間中止します。

競売中止命令が出た後、債務者が自分で競売の起こっている裁判所に競売中止命令の謄本を提出すると、競売を止めてもらえます。

ただし競売中止命令を申し立てても、必ず認められるとは限りません。「住宅ローン特則つきの個人再生で再生計画認可の見込みがある」ことが必要です。一定以上の収入があり、きちんと住宅ローンや減額された借金の支払いができる見込みのある方でないと、申立をしても中止命令を出してもらえません。また競売中止命令の際には競売を申し立てた保証会社にも意見照会されます。

4-2.競売中止命令で競売が中止される期間

競売中止命令によって中止される期間は、だいたい3~4か月程度です。期間が切れそうな場合、再度の申立が必要です。

個人再生の住宅ローン特則で家を守りましょう

個人再生の住宅ローン特則は、単に「住宅ローンをそのまま支払って借金を減額してもらえる」だけの手続きではありません。他にも家を守るためのさまざまな効果が認められています。原則的な支払い方法が厳しい場合、住宅ローン返済方法のリスケジュールも可能となっています。

ただ、代位弁済の巻き戻しや競売中止命令、リスケジュールなどは非常に複雑なので、法律の専門家である弁護士によるサポートが必要です。
借金を抱えているけれども家を失いたくない、代位弁済や競売が起こってしまった方は、お早めに弁護士までご相談下さい。

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