自己破産
2020.01.17 2025.06.25

自己破産の際にやってはいけないこと

自己破産の際にやってはいけないこと

自己破産の際「財産を失いたくない」と考えてついつい財産を隠してしまう方がいます。また「保証人に迷惑をかけたくない」などと考えて保証人つきの債権者を裁判所に報告せずにこっそり払ってしまう方もいます。
しかしこのようなことをすると「免責」を受けられなくなって借金がそのまま残ってしまう可能性があり、絶対にしてはいけません。

今回は自己破産の際にやってはいけないことをご紹介していきます。今後自己破産を検討している方は参考にしてみてください。

現金を隠すなどの財産隠し

自己破産をすると、生活に必要とされる最低限度を超える財産が失われます。おおむね99万円分を超える財産を手元に残すことはできません。自宅などの不動産もなくなります。
すると「どうにかして財産を残せないだろうか?」と考えて財産隠しをする方がいます。
たとえば以下のような行為です。

  • 破産の直前に自宅を妻名義に変更する
  • 破産の直前に不動産を売却して現金化し、現金を隠す
  • 家族などに財産を贈与したことにして名義のみ移転する
  • 妻と偽装離婚して虚偽の財産分与を行い、財産を隠す
  • 妻と偽装離婚して「慰謝料」として支払ったことにして財産を移転する

しかし自己破産では上記のような財産隠し行為は認められません。
たとえば不動産を処分したら「不動産を売却したお金はどこへやったのか」と聞かれます。不合理な答えしかできなかったら財産隠ししたとみなされるでしょう。
売却や贈与を偽装した場合や偽装離婚して財産分与や慰謝料として支払った場合などには破産管財人が「否認権」を行使してそれらの行為が「なかったこと」にされてしまいます。
すると破産管財人のもとに財産が戻ってきて換価と配当の対象になります。

また財産隠しをすると「免責不許可事由」に該当し、破産者にとってもっとも重要な「免責」を受けられなくなる可能性があります。免責されないと負債がそのまま全額残ってしまうので、破産する意味がなくなります。

そればかりか、悪質な場合には「詐欺破産罪」という犯罪が成立する可能性もあります。詐欺破産罪の刑罰は「10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金刑」となっており重罪です。

財産隠しは絶対にしてはなりません。

債権者隠し

自己破産の際「保証人に迷惑をかけたくないから保証人つきの借金は秘密にしよう」などと考えて弁護士や裁判所に報告しない方がおられます。しかし債権者隠しも免責不許可事由の1種なので、悪質な場合には免責されなくなる可能性があります。
自己破産できちんと借金をなくしたければ、債権者を隠してはなりません。

特定の債権者のみ一括返済

「家を追い出されたら困るから滞納家賃をまとめ払いしたい」「スマホを利用できないのは困るから、滞納したスマホの代金だけ一括払いしよう」などと考えて、破産直前に特定の債権者に一括払いするのも危険です。破産手続きでは「すべての債権者に平等に支払わねばならない」という「債権者平等の原則」が適用されるからです。
直前に一部の債権者にのみ支払いをすると、やはり「免責不許可事由」となって免責を受けられなくなるおそれがあります。
支払いをして良いか迷ったら、自己判断で支払ってしまう前に弁護士にご相談下さい。

破産管財人や裁判所に協力しない

自己破産の手続き中は、破産管財人や裁判所からいろいろな指示を受けたり説明や資料提出を求められたりするものです。破産管財人の事務所に呼び出されることもあるでしょう。
そのとき、破産管財人や裁判所の要請に協力しない人がいますが、それも非常にまずい対応です。
破産管財人や裁判所に協力しないことも「免責不許可事由」に該当するので、破産管財人や裁判所の指示には必ず誠実に従いましょう。

申立代理人からの連絡を無視する

自己破産を申し立てる際には弁護士に依頼するものです。しかし依頼した後弁護士からの連絡に対応しなくなる方がおられます。弁護士に依頼すると債権者からの督促が止まるので安心してしまうのかもしれません。
しかし弁護士に依頼して督促が止まるのは一時的なものであり、借金はそのまま残っている状態です。きちんと連絡を取って自己破産の申立をしないと、いずれ弁護士が辞任してまた債権者から矢のような督促を受けることとなってしまいます。
申立代理人からの連絡を無視すると自己破産には失敗するので、そういったことのないようにしましょう。

きちんと対応していれば自己破産による免責を受けられるので、不安を感じることはありません。破産によって借金をなくしたい方は、まずはお気軽に弁護士までご相談下さい。

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