2020.01.24 2022.10.03

自己破産しても残ってしまう負債とは?

自己破産しても残ってしまう負債とは?

自己破産すると「すべての負債が免除(免責)される」と思われているケースが多いのですが、必ずしもそうとはいえません。自己破産をしても税金や罰金などの一部の負債は免責されないからです。

今回は自己破産をしても残ってしまう負債の種類をご紹介していきます。

自己破産によって免責される負債

自己破産をすると、以下のような負債はすべて免責されます。

  • 消費者金融からの借金
  • クレジットカードのショッピング、キャッシングの残債
  • 利息や遅延損害金、リボ払いの残高
  • 住宅ローン
  • 車のローン
  • 教育ローン
  • 公庫からの借入
  • 奨学金
  • 滞納家賃
  • 滞納光熱費
  • 滞納している上水道料金
  • 滞納通信費(スマホ料金やインターネット通信料金)
  • NHKの料金
  • リース料
  • 立替金
  • 手形・小切手の負債
  • 買掛金

上記以外でも、以下の「免責されない負債」に該当しないものは基本的にすべて免責対象です。

自己破産でも免責されない負債

自己破産をしても免責されない負債を「非免責債権」といいます。具体的には以下のようなものが該当します。

  • 税金、健康保険料
  • 故意や重過失によって加えた生命・身体に対する不法行為にもとづく損害賠償請求権
  • 悪意で加えた不法行為にもとづく損害賠償請求権
  • 養育費や婚姻費用、扶養料
  • 従業員の給料、預かり金など
  • 破産者があえて申告しなかった負債
  • 罰金

以下でくわしくみていきましょう。

税金、健康保険料など

所得税、住民税、相続税、固定資産税、健康保険料、年金保険料などの公的な債権は免責されません。公的な保育所の保育料、下水道料金も免責対象外です(上水道料金は免責されます)。
これらについては破産しても全額支払わねばならないので、一括払いが難しければ支払先の機関と話し合って分割支払いなどを検討する必要があります。

故意や重過失によって加えた生命・身体に対する不法行為にもとづく損害賠償請求権

故意や重過失により人を死なせてしまったり身体を傷つけてしまったりした場合、その損害賠償請求権は免責されません。たとえば人を殺した場合、殴って傷つけた場合の治療費や慰謝料などは破産しても全額払わねばなりません。
危険運転で人を死傷させた場合の損害賠償債務も残ると考えましょう。

悪意で加えた不法行為にもとづく損害賠償請求権

不法行為が生命や身体に向けられていない場合の損害賠償請求権は「悪意で加えた」場合に免責対象外となります。
悪意とは「相手を傷つけてやろう」という積極的な意図です。典型的には「犯罪行為」によって損害を発生させた場合などに「悪意」といえるでしょう。
たとえば詐欺や横領、窃盗などによって相手に財産的損害を発生させた場合、破産によっても免責されない可能性が高くなります。
一方、不倫による慰謝料請求件などは「悪意にもとづく」とはいいがたいので、通常免責対象です。

養育費や婚姻費用、扶養料

子どもの養育費、夫婦間の婚姻費用(生活費)分担義務、親族間の扶養義務などは破産によって免除されるものではありません。養育費を払えなくて滞納している方が破産しても、滞納分を含めて支払いをしなければなりません。
養育費や婚姻費用が高額過ぎて払えないなら、自己破産ではなく家庭裁判所の「養育費減額調停」「婚姻費用減額調停」を利用して解決する必要があります。

従業員の給料、預かり金など

個人事業者が従業員に対する給料を支払っていないケース、従業員からお金を「積立金」として預かっているケースなどでは、そういった負債は免責対象になりません。破産しても未払いの給料は支払う必要があります。
ただし法人が破産すると法人自体が消滅するので、給与の支払い義務も消滅します。

破産者があえて申告しなかった負債

破産者が債権者隠しをしてあえて裁判所に申告しなかった負債については免責されません。この場合その負債が免責されないだけなく「免責不許可事由」となって免責そのものを受けられなくなる可能性もあるので要注意です。

罰金

刑事罰による罰金、科料、追徴金や行政罰としても過料などの債権は自己破産によっても免責されません。一括払いが難しければ、支払先の機関と相談して分割払いを検討しましょう。

自己破産をしても非免責債権が残った場合、どうやって支払っていくかが問題となります。困ったときには弁護士がアドバイスをいたしますので、お気軽にご相談下さい。

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