任意整理とは、債権者との交渉によって債務を減額していく債務整理の方法です。実際にどのように債務を減額するのか気になる方も多いでしょう。
今回は、任意整理で債務が減額する仕組みや手順について解説します。
任意整理で債務が減額する仕組み
任意整理は、債権者との交渉で債務を減額していきますが、具体的には以下の3つの交渉を行い毎月の返済額を減らすようにしてもらいます。
- 返済期限の延長
- 利息カット
- 過払い金請求
ただ、あくまでも交渉となりますので、応じてくれるかどうかは債権者次第となります。
返済期限の延長
直接債務を減額するものではありませんが、返済期限を延長してもらい長期の分割で返済することで月々の返済負担を軽減してもらう交渉があります。
例えば、100万円の債務があって、残り10ヶ月で完済を迫られているようでしたら、毎月10万円ずつは返済しなくてはなりません。これを30ヶ月後まで延ばしてもらうことができれば、月々約3.3万円と返済負担も減りますね。
通常、3年(36ヶ月)程度の期限で交渉を行います。債権者が期限の延長に応じてくれれば、月々の負担も減るでしょう。
実際には合計の返済額が減るわけではないので、債権者も応じてくれやすい交渉内容だと言えます。ただ、これまでの返済で度々延滞があるようでしたら、あまり信用もされておらず、交渉が難航するケースも考えられます。
利息カット
利息カットは、元金意外に生じた(生じる)利息分を減額してもらう交渉です。
利息に関しては、これまで支払ってきた『経過利息<>/span』と今後支払う『将来利息』があります。このうち、将来利息のカットだけなら応じてくれる債権者は多いです。
例えば、年利15%で100万円借りていたとすれば、毎年15万円、毎月1.25万円が利息となります。この利息分が減るだけでも返済負担は減りますね。
さらに、過去分の『経過利息』を残った債務に充てることができれば、さらに債務を減額することができます。
このように、任意整理では、返済期限延長と利息カットの2つの内容で交渉することが主となります。後は、債務者のこれまでの返済実績や返済計画、債権者の対応次第になってきます。
過払い金請求
一部の方に限られますが、過去に利息制限法を超えたグレーゾーン金利で借り入れを行っていた場合、その債権者からは過払い金請求をすることが可能となります。

過払い金請求は、先ほどの利息カットとは違い、過去の判例でも認められていますので、請求すれば取り返すことが可能です。債務が残っている場合には、この過払い金を返済に充てて借金減額をしていきます。
任意整理の流れと弁護士に依頼するメリット
任意整理は、ご自身だけで行うことも不可能ではありませんが、やはり債務者本人が交渉をしてもなかなか応じてくれないことが現実です。
任意整理を行う際は、弁護士に依頼して代わりに行ってもらうことをおすすめします。こちらでは、任意整理の流れや弁護士に依頼するメリットをご紹介します。
任意整理の流れ

任意整理の主な流れは上記の通りです。
弁護士に依頼後は、引き直し計算を行い、過去に多く支払い過ぎた利息が無いかを調査します。引き直し計算後に残った債務の利息カットや返済期限の交渉を行います。
何度か交渉を重ね、成立すれば合意した内容で残りの債務を期限内に返済します。
交渉がうまくいかない場合は、特定調停という裁判所が仲裁に入った話し合いで解決を目指していきます。
任意整理を弁護士に依頼するメリット
任意整理を弁護士に依頼することで以下のメリットがあります。相談は無料の弁護士がほとんどですので、まずは相談だけでもしてみましょう。
交渉も上手くいきやすい
やはり弁護士であれば、交渉も慣れていますし知識も豊富なので、任意整理も成功しやすいです。大手の消費者金融であれば、どのような交渉材料があれば応じてくれやすいのかもある程度把握もしているでしょう。
いくら弁護士費用をかけたくないからと言って、自分で交渉して交渉不成立になれば元も子もありませんので、任意整理での弁護士依頼は必須とも言えるでしょう。
過去の過払い金を発見できる
任意整理で交渉に入る前に引き直し計算を行いますので、過去に過払い金があると分かれば、大幅な借金減額も期待できます。
専門知識と複雑な計算が必要になりますので、こちらも弁護士だからできることと言えます(ちなみに、条件はありますが司法書士にも依頼可能です)。
過払い金の調査だけなら無料で行っている弁護士事務所もありますので、長い間借り入れを続けている方は一度利用してみても良いかと思います。
成功報酬が主なので費用倒れはしにくい
後述しますが、任意整理の弁護士費用は成功報酬がメインになっていることがほとんどです。つまり、『減額した債務<弁護士費用』になることはまず無いでしょうから、安心して依頼することができます。
それでも心配だという方は、依頼前に費用面もきちんと相談するようにしましょう。
任意整理を弁護士に依頼した場合の費用相場
内容 | 金額相場 |
---|---|
着手金 | 1社あたり3万円前後 |
基本報酬金 | 1社あたり2万円程度 |
減額報酬金 | 減額の10%程度 |
その他日当や実費 | 弁護士事務所によって違う |
任意整理を弁護士に依頼すると、主に上のような費用がかかってきます。ただ、実際には弁護士事務所によって料金体系や価格帯も違います。具体的には直接依頼を検討している弁護士事務所に確認してみてください。
なお、分割払いに対応している弁護士事務所も多いです。借金返済と料金支払いの両方が実現できる弁護士に依頼するようにしましょう。
まとめ
任意整理は、『支払い期限の延長』『利息カット』を主に交渉し、債務を減額していきます。弁護士依頼後の引き直し計算で、過払い金が発覚すれば、過払い金を差し引いた債務を返済していくことになります。
債務者自ら交渉をしても上手くいかないことも多いです。相談や過払い金の調査までなら無料で行ってくれる弁護士が多くいますので、まずは相談だけでもされることをおすすめします。