Article

Top Message代表メッセージ

ロイヤーズハイが目指すビジョンや大切にしている価値観を、代表の声と共にお届けします。

Must read当事務所の働き方と信条について

ロイヤーズハイが掲げる働き方のスタイルと、それを支える信条について詳しくお伝えします。

弁護士に向いている人とは?長く続けられる仕事にするための条件(代表弁護士 田中今日太)

2023.11.12 (最終更新日:2026.08.16) 弁護士・修習生向け

【弁護士・修習生の方向け】弁護士業務は、新たな出会いと別れの繰り返し

弁護士に向いているかどうか、8つのチェック

この記事の結論を先にお伝えします。弁護士の適性は、性格ではなく行動の習慣で決まります。まず、今のご自身に当てはまるものを確認してみてください。

  • 話が長くなったとき、区切って要点を確認できるほうだ
  • 相手にとって都合の悪いことでも、その場で伝えられるほうだ
  • 完璧に理解する前でも、とりあえず手を動かし始められる
  • 落ち込んでも、翌日には次のことに向かえるほうだ
  • 期限を守ること、報告を欠かさないことに、こだわりがある
  • 分からないことを人に聞くのは、苦ではない
  • 自分のミスを、隠さずに言えるほうだ
  • 記憶や印象だけで答えることに、抵抗がある

6つ以上当てはまった方
現時点の行動の傾向としては、弁護士の仕事と相性が良いと思います。ただし、これは適性の判定ではありません。本当に分かるのは、全力で取り組んでみてからです。

5つ以下だった方
心配は要りません。ここに挙げたのはすべて、性格ではなく習慣です。習慣は今日から変えられます。実際、私が見てきた弁護士も、最初からこれができていた人ばかりではありません。

そして、今すでに「弁護士の仕事がきつい」と感じている方へ
その原因は、あなたの適性ではなく、置かれている環境かもしれません。弁護士の仕事が「きつい」「メンタルがもたない」と言われる理由を先にお読みください。

一生、弁護士を続けるための4つの条件

さて、皆さま,こんにちは。

弁護士の田中です。

以前にも書きましたが,弁護士の仕事は一生かけてやる価値のある仕事,だと私は考えています。

では,一生,弁護士を続けるためには,どうすればよいのでしょうか?

これは,求人票にも記載している内容なのですが,せっかくなので,求人票よりも詳しく書きます。

その答えは,①仕事にやりがいを感じること②仕事とプライベートの時間を適切に取れること③人間関係が楽しいこと④適切な待遇・報酬が得られること,です。

①仕事にやりがいを感じること|鍵は業務の「性質」を理解すること

これは,前回の以前の記事にも詳しめに書いたので,そちらをご覧ください。

合わせて読みたい:【弁護士・修習生の方向け】弁護士のやりがいとは

もう少し補足すると,「全ての分野」に熟達するには,時間はいくらあっても足りない,ということです。

そもそも論として,すべての分野について熟達する必要があるのか?というか無理でしょ,と人によっては考えるかもしれません。

しかし,私は,人によっては,すべての分野のスペシャリストになっていただいて全然かまわないと思っています。

すべての分野のスペシャリストを目指す場合には,膨大な時間と努力が必要になりますから,あっという間に一生が終わると思います(笑)。

そういう高みを目指す方にとっては、仕事にやりがいを感じなくなるということはないでしょう。

他方で,そこまでの努力ができない,という方であっても,弁護士という業務の「性質」を理解していれば,十分にやりがいを感じていただけると思います。

この性質を理解していない,あるいは,理解してもそれを当たり前だと思えない人は,弁護士業務をしんどい,もうやってられない,一生やれる仕事ではない,と考えたりします。

では,弁護士という業務の性質について詳しく説明しておきます。

性質1|依頼者と相手方の板挟みに立つ仕事であること

まず,弁護士の業務には,関係者がいます。

一つは,依頼者,一つは,相手方,です。時に利害関係のある第三者も混じってくるケースがありますが,基本的には,依頼者と相手方です。

そして,弁護士は,依頼者の利益を最大化することを目指す存在です。裏を返すと,相手方の利益を最小化するとも言えます。

他方で,交渉で話をまとめようとする場合には,相手方も自身の利益が最小化することを防ぐため,反論をしてくることになります。

そこで,依頼者の利益を最大化することを考えつつも,依頼者に譲歩を求めて説得していく作業,また相手方に対しても譲歩を求めて説得していく作業が必要になります。

つまり,弁護士は,依頼者と相手方の板挟みに立たされていることになります。

しかし,弁護士が依頼者と強い信頼関係があれば,依頼者から弁護士へのプレッシャーは減少するので,相手方への対応に注力していけばよいということになります。

そして,弁護士としての力量や人間力が上がれば,依頼者との信頼関係は築きやすくなります。

ですから,弁護士の力量や人間力が上がれば上がるほど,相手方への対応に注力すればよいことになり,精神的に仕事がやりやすくなります。

しかし、残念ながら、新しく弁護士になった方や弁護士になっても年数や経験をあまり経ていない方は、依頼者との信頼関係が十分に築くことができていない結果,

板挟みの関係になって,精神的に追い詰められてしまうことがあります。

ですから、新しく弁護士になった方、あるいは年数や経験を経ていない弁護士の方は、まずここの「下積み期間」をしっかり忍耐して、頑張っていただく必要があります。

この下積み期間をどう走り出すかで後の伸び方も変わりますので、入所後のスタートダッシュが弁護士のキャリアを左右する理由もお読みいただければと思います。

依頼者と十分な信頼関係を築くだけの実力や能力、人間力が身につけば、後は相手とのやりとりだけですから、そこまでしんどくありません。

ただ、ときに、依頼者の方と対立して、言い合いになることもあります。しかし、そのような場合であっても、冷静さを保ち、最大限理解を得られるよう誠実に対応するのです。

結果、言い合いになった依頼者の方も理解してくれることも多いです。

(残念ながら理解を得られず、辞任又は解任になることもあります。

しかし、あなたが誠実を尽くした結果であれば、きっとあなた自身が納得できる結論のはずです。)

ですから、まずは、あなた自身に依頼者と十分な信頼関係を築くだけの実力や能力、人間力が身につけましょう。

そして、それは、一朝一夕でできることではなく、ある程度の年数をかけて身につけていくことであることも知りましょう。

一朝一夕で、依頼者と十分な信頼関係を構築できる実力、能力が身につけられるというのは大きな誤解です。

一朝一夕で出来ることは、大したことではありません。依頼者を口先だけ上手になって丸め込むなんてことを考えないでください。

しっかり、自身に実力、能力、人間力を身につけて、本当の意味で依頼者の信頼を勝ち取れるよう努力してください。

性質2|新たな事件を処理し続けなければならないこと

弁護士は、弁護士を続けている間、新たな事件を処理し続けなければなりません。

新たな事件を依頼いただけなければ,その弁護士は、いずれ生活に窮して経済的に破綻してしまいます。

新しい事件なので、自分がやったことのあるような事件類型であることもあれば、全くやったことのない事件類型もあります。

自分がやったことのない事件類型は、物理的にも精神的にも負担があります。いつも以上に頭を使わなければなりません。

新たな知識を得るために、文献や判例にあたりインプットをする必要があります。

そのうえで、書面を作成するためにすぐにアウトプットに移らなければなりません。

学んで終わり,という学生のようなことはできません。

すぐに成果物(それは往々にして「書面」であったり、依頼者への「報告」)が求められます。

さらに、新しい事件なので、当然ですが、依頼者も相手方も変わります。

あなたが、過去に事件処理をして信頼関係を築いた依頼者の方ではありません。また新たに信頼関係を築かなければなりません。

このように,弁護士は,弁護士である間は,一生,新たな出会いと別れを繰り返し,新たな知識をインプットしてアウトプットしつづけなければならないのです。

こう聞くとしんどく感じるでしょうか?

保険営業マンの仕事と似ている

実は,これと似た仕事があります。それは,保険営業マンです。

保険営業マンの仕事は,新たな顧客に保険の契約を続けてもらわなければなりません。

そのために,様々な営業手法を用いて,契約を得続けることになります。

既存顧客を満足させることで,新たな顧客を紹介してもらう,という紹介営業の手法を用いることもあります。

それは、弁護士が目の前の事件を一生懸命こなすことで,新たな顧客を紹介してもらう,ということと似ています。

しかし,紹介営業を用いる保険営業マンも,常に新たな出会いを求め続けています。

それは,紹介を待つだけでは足りない,ということを知っているからです。

保険営業マンは,初めて会う人であっても,コミュニケーション力によって徐々に信頼関係を築いていきます。

そして,それを繰り返し続けているのです。

また,優秀な保険営業マンは,常に情報をインプットすることを怠りません。

保険商品自体に関する勉強はもちろんのことですが,経営、政治経済、スポーツなどなど。

顧客が興味を持ちそうな事柄については,一通り勉強し続け,顧客の話題について行けるよう努力しています。

そうでなければ,いずれ話題が尽きて顧客から飽きられてしまいます。顧客から飽きられれば,いずれ必要とされなくなり,保険の相談や依頼も来なくなります。

このように保険営業マンと弁護士の仕事は似ていると私は考えています。

他にも新たなインプットとアウトプットをし続ける仕事はありますので弁護士特有の特徴だとは思いません。

特に、これからの時代はそういうことができる人が、どのような職業、職種にあっても必要とされていくことも忘れてはいけません。

そして、弁護士にあっても同じです。

顧客との出会いと別れを、一生繰り返す仕事

弁護士がやることは,顧客からの依頼を続け,信頼関係を築き,新たにインプットとアウトプットを繰り返して事件処理をこなし続ける

顧客との出会いと別れを繰り返す。

それを一生続ける。

そういう仕事だと理解してください。

当事務所が扱うような個人の方の事件では,一人の依頼者の方とずっと一緒に仕事を続ける,ということはあまりありません。

この弁護士の仕事の性質を知っていれば、一生頑張らなければならない仕事であると自覚することができ、忍耐して頑張ることもできます。

一生続ける仕事だからこそ、どこで働き続けるかも大切になりますので、弁護士は独立して当たり前?1つの事務所で長く働くという選択もあわせてご覧ください。

弁護士の仕事が「きつい」「メンタルがもたない」と言われる理由

ここまで読んで、弁護士の仕事は大変そうだ、と感じた方もいると思います。実際、「弁護士 きつい」「弁護士 メンタル」といった言葉で検索される方は少なくありません。

ただ、私が見てきた限り、弁護士が潰れるときの原因は、実は、業務の性質そのものではありません。

冒頭に挙げた4つの条件のうち、どれかが欠けていることに起因していると考えています。順に見ていきます。

原因1|人間関係(条件③が欠けている場合)

最も多いのが、これです。

メンタルを崩す弁護士の話を聞くと、依頼者との関係ではなく、職場の人間関係が原因であることが圧倒的に多いのです。

ボス弁と合わない。上長の弁護士が自分に合わない。

あるいは、ベテランの事務局スタッフと関係がうまくいかない。

考えてみれば当然です。依頼者との関係は、事件が終われば終わります。しかし職場の人間関係は、毎日続きます。逃げ場がありません。

そして厄介なのは、この状態にある人ほど、自分の適性の問題だと考えてしまうことです。

「自分が弁護士に向いていないからうまくいかない」と結論づけて、業界そのものから離れてしまう。

これは、適性の問題ではありません。相性と環境の問題です。

原因2|長時間労働とプライベートの喪失(条件②が欠けている場合)

次に多いのが、時間の問題です。

事件数が処理能力を超えていれば、当然、労働時間は延びます。休日にも書面を書くことになります。

問題は、それが本人のしんどさで終わらないことです。

家庭環境の不和につながります。家に帰らない、帰っても仕事をしている、休日も潰れる。この状態が続けば、家族との関係は確実に悪くなります。

そして、家庭が落ち着かなくなれば、仕事にも影響します。悪循環に入ります。

さらに言えば、こうして生活が荒れた状態のときに、周囲の環境に流されて身を持ち崩すケースもあります。

キャバクラや風俗など夜の街での付き合いが常態化している職場では、若手もその流れに引き込まれやすくなります。

仕事のストレスと家庭の不和が重なったときに、そこに逃げ場を求めてしまうのです。

一度そうなると、時間もお金も失い、家庭も失い、結果として弁護士としてのキャリアそのものを損なうことになります。

これも、本人の資質の問題である以上に、どういう環境に身を置いたかの問題です。

原因3|依頼者との板挟み(ただし、これは一時的なものです)

先に述べた板挟みの構造も、しんどさの原因にはなります。

ただし、これは未熟な間だけの話だと私は考えています。

経験を積み、依頼者と信頼関係を築く力がつけば、板挟みの負荷は自然に軽くなっていきます。

そして、もう一つ正直に申し上げると、板挟みで苦しんでいる場面の多くは、誠実な説明をしていないことに起因して、自分で自分を苦しめている状態です。

厳しい見通しを伝えていない。都合の悪い進捗を報告していない。依頼者の期待を、その場しのぎで放置している。

こうして先送りにしたものは、必ず後で返ってきます。そのときには、最初に伝えるよりもはるかに大きな衝突になります。そして本人は「依頼者と板挟みでつらい」と感じるのです。

しかし、その苦しさは、板挟みという構造が生んだものではなく、説明を避けたことが生んだものです。

だからこそ、誠実な説明を行うことが大切です。

原因4|やりがいと待遇(条件①④が欠けている場合)

残る2つにも触れておきます。

扱う事件がいつまでも同じで、成長している実感が持てない。あるいは、働いた量に対して報酬が見合わない。

この2つは、それ自体でメンタルを崩す原因になることは、上の2つほど多くありません。

しかし、人間関係や労働時間の問題が起きたときに、耐える理由がなくなるという形で効いてきます。

大変でも、やりがいがあり、待遇が見合っていれば、人は続けられます。

逆に、この2つが欠けていると、他の負荷がかかったときに折れてしまいます。

まとめ|「弁護士がきつい」のではなく、「条件が欠けているとどんな仕事もきつい」

こうして整理すると、見えてくることがあります。

弁護士という職業がキツイのではありません。

冒頭に挙げた4つの条件のどれかが欠けたときに、きつくなるのです。

そして、そのほとんどは、職業の性質ではなく、どこで働くかによって決まります。

ですから、もし今、弁護士の仕事がきついと感じている方、あるいはこれから弁護士になる方に申し上げたいのは、自分の適性を疑う前に、環境を確認してくださいということです。

  • 相談できる先輩がいるか
  • 事件の量が、自分の処理能力に見合っているか
  • 家庭や自分の時間を確保できているか
  • 成長している実感があるか
  • 働きに見合う待遇を得ているか

この5つを確認したうえで、それでもなお続けられないと感じるのであれば、そのときに初めて適性の話になります。

弁護士に向いているかどうかは、全力で取り組んで初めて分かる

また、逆に自分に向いているかどうかも自然と分かります。

しかし、自分に向いているかどうかも、「全力」で取り組んでみて分かるものです。

全力で取り組めば、自分がそれに向いているかどうかは分かります。

とはいえ、「弁護士に向いてる人ってどんな人ですか」と聞かれることも多いので、実際に実務をこなし、弁護士事務所を経営している私からみて、実際に長く続けている弁護士を見てきて感じる特徴を挙げておきます。

弁護士に向いている人の5つの特徴

1|話を区切って、要点を確認できる人

弁護士に向いている人として「人の話をじっくり聞ける人」が挙げられることがあります。

しかし、私が思うに、実務の感覚とは少しずれています。

もちろん、人の話を聞く力は大切です。

しかし、法律相談には時間の制約があります。その時間内に、事実関係を整理し、法的な見通しを示し、次に何をすべきかを伝えなければなりません。

相談者の方は、法的に整理された形で話してくれるわけではありません。時系列も前後しますし、感情も混じります。相手方への不満が話の大半を占めることも珍しくありません。

これを遮らずに聞き切っていると、時間だけが過ぎて、肝心の回答を渡せないまま終わります。相談者の方は話を聞いてもらえて満足したかもしれませんが、「法律相談」としては失敗です。

ですから、必要なのは、適切なところで話を区切る力です。

「ありがとうございます。内容を整理したいので、この点について、こちらからの質問にお答えいただいてもよろしいでしょうか」

こう伝えて、こちらが必要とする事実を順に確認していく。この切り替えができるかどうかで、相談の質は大きく変わります。

これは冷たい対応ではありません。むしろ、相談者の方が本当に必要としている答えを渡すための対応です。

区切ったうえで、なお伝えたいことがないかを最後に確認すれば、満足度も損なわれません。

もちろん、いきなり質問攻めにするのも違います。最初は相談者の方に自由に話していただき、全体像をつかむ。そのうえで区切って、こちらの質問に切り替える。この順序と、区切るタイミングの見極めが、実力の差が出るところです。

2|板挟みに立っても、逃げずに説明できる人

依頼者にとって不利な見通しを、正直に伝えられるかどうかです。

言いにくいことを先送りにする弁護士は、後で必ず苦しくなります。厳しい見通しであっても、根拠とともにきちんと説明できる人は、結果的に依頼者からの信頼を得ます。

3|知らないことを調べて、期限内に形にできる人

先に書いたとおり、弁護士はインプットとアウトプットを繰り返す仕事です。

知らないことに出会ったときに、面倒だと思うか、調べれば分かると思えるか。ここは適性が分かれるところです。

完璧に理解してから動く人よりも、8割の理解で書き始めて、書きながら詰めていける人のほうが向いています。

なお、私が思うに、弁護士になりたての初期段階で、インプットとアウトプットを繰り返すことの習慣を養うことができなかった方は、後からとても苦労しています。

というのも、インプットを怠ると、リサーチすることを怠るので不正確な回答をすることにもなりかねません。

アウトプットを怠ると、書面などの成果物の作成が遅れたり、不十分な書面を作成して、事件処理に支障が生じることにもなりかねないからです。

ですから、弁護士になりたての初期の段階で、インプットとアウトプットを繰り返す習慣を身体に叩き込んでおくことが大切です。

4|感情を引きずりすぎない人

依頼者から強い言葉を受けることもあれば、思わしくない結果になることもあります。

そのたびに深く落ち込んでいては、身が持ちません。

反省はするけれども、切り替えて翌日には次の事件に向かえる。この切り替えができる人は、メンタル面で長く続きます。

5|誠実である人

最後は、これに尽きます。

期限を守る、報告を怠らない、できないことをできると言わない。当たり前のことですが、これを続けられる人が、結局は依頼者からも紹介をいただき、長く弁護士を続けています。

「弁護士に向いていない」と思われがちだが、実は問題にならないこと

自分は弁護士に向いていないのではないか、という不安の中身を聞いてみると、実務ではさほど問題にならないことを気にしておられるケースが多くあります。代表的なものを挙げておきます。

【性格・キャラクターに関する誤解】

1|弁が立つこと、口が上手いこと

誤解:弁護士は言葉で相手をやり込める仕事だから、話術が必要だ。

実務では:必要ありません。むしろ、口先だけの説得は依頼者にも相手方にも見抜かれます。

交渉の場で相手方を動かすのは、話し方の巧みさではなく、主張の根拠です。この事案でこの金額になるのはなぜか、裁判になればどういう判断が予想されるか。それを資料と裁判例で示せば、話し方が平易であっても相手は動きます。

依頼者に対しても同じです。厳しい見通しを伝えるとき、言い回しでごまかそうとする弁護士より、根拠を示して率直に伝える弁護士のほうが信頼されます。

必要なのは、話術ではなく、分かりやすく順序立てて説明する力です。これは訓練で身につきます。

よって、口下手、話下手だからといって弁護士に向いていないと諦めるべきではありません。

2|人前で堂々と話せること

誤解:法廷で立て板に水のように弁論する場面を想像して、自分にはできないと感じる。

実務では:そうした場面は、実はほとんどありません。

民事事件の主張は、原則として書面で行います。期日でのやりとりは、書面の内容を前提とした短い確認であることが大半です。ドラマで見るような法廷弁論の場面は、日常の業務とはかなり違います。

刑事事件の法廷でも、尋問や弁論は事前に準備した内容が土台になります。緊張しやすい方であっても、準備の質でカバーできます。

むしろ、その場の思いつきで話してしまう人のほうが、失敗します。

何事も準備と訓練が大切です。

3|社交的であること、人付き合いが得意なこと

誤解:弁護士は人脈がものを言うから、社交的でないと仕事が来ない。

実務では:当事務所が扱うような個人の方の事件では、依頼のきっかけの多くは、広告か、過去の依頼者の方からのご紹介です。会合に顔を出す回数が仕事量を決めるわけではありません。

そして、紹介をいただけるかどうかを決めるのは、社交性ではなく、目の前の一件を丁寧に処理したかどうかです。

大人数の場が苦手でも、一対一で誠実に向き合える方は、十分にやっていけます。

ちなみに、私自身もパーティーや飲み会などにはほとんど参加しませんし、それで困ったこともありません。

目先の社交性や人付き合いに惑わされず、自分の人間性と実力を磨くことを心がけてください。

4|気が強いこと、争いごとが苦にならない性格であること

誤解:対立する仕事だから、気の強い人でないと務まらない。

実務では:必要なのは攻撃性ではなく、対立している状態に置かれても冷静に対処できることです。これは別の資質です。

相手方から強い言葉を受けたときに、同じ温度で言い返す弁護士は、事件を長引かせます。

また、感情的になれば、言わなくてもいい不利な言動をしてしまうことになり、依頼者の利益にならないばかりか、弁護士としての懲戒責任も生じかねません。

争うことが不要な場面では争わず、争うことが必要な場面ではきちんと引かない。

このメリハリが大切です。

【付き合い・素養に関する誤解】

5|ゴルフができること、お酒が飲めること

誤解:弁護士は会食やゴルフで人脈を作る仕事だから、ゴルフの一つもできないと、ワインの話の一つもできないと恥をかく。

実務では:当事務所が扱うような個人の方の事件では、全く関係ありません。

離婚を考えている方、交通事故に遭われた方、借金の返済に困っている方。

この方々が弁護士を選ぶときに、その弁護士がゴルフをするかどうかを気にすることはありません。気にされるのは、話を聞いてくれるか、見通しを示してくれるか、費用はいくらか、です。

会食やゴルフが仕事に結びつきやすいのは、経営者や企業の担当者を顧客とする分野ぐらいです。

それも、ゴルフができるから仕事が来るのではなく、「仕事がちゃんとできる」ということが大切であり、その上で、共通の趣味や教養があればなお良い、という順序であることが多いように思います。

お酒についても同じです。飲めないことで不利になる場面は、実務ではまず生じません。

弁護士になってから趣味としてゴルフを始める方はいます。

しかし、それはあくまでも、ゴルフが好きな方が趣味としてやっているというだけです。

なお、私はお酒も飲みませんし、ゴルフもしませんが、全く困っていません。

(お酒を飲むのも、ゴルフをするのも、皆さんの自由なので、やりたい方はやってもらって大丈夫です。)

6|経済的に余裕のある家庭の出身であること、コネがあること

誤解:弁護士は親も弁護士だったり、地元の名士とのつながりがあったりする人が有利だ。

実務では:個人の方の事件を扱う事務所では、依頼のきっかけは広告と紹介です。出身も家柄も関係ありません。

紹介をいただけるかどうかを決めるのは、これまでの一件一件の処理です。

ここには誰にも同じスタートラインが引かれていますし、誰にでもチャンスがあります。

7|難しい言葉を使えること、教養があること

誤解:弁護士は知的な職業だから、難解な法律用語を使いこなせないといけない。

実務では:逆です。依頼者の方に伝わらない言葉は、使わないほうがよいのです。

専門用語を並べても、依頼者の方には何も伝わりません。日常の言葉に置き換えて説明できるかどうかが、実力です。

書面についても、裁判官に読んでもらう文章ですから、分かりやすさが第一です。凝った表現は必要ありません。

【能力・経歴に関する誤解】

8|司法試験に上位で合格していること

誤解:成績が振るわなかったから、実務でも通用しないのではないか。

実務では:司法試験の成績と、実務での伸びは、必ずしも連動しません。

実務で問われるのは、限られた時間で事実関係を整理する力、依頼者に分かるように説明する力、期限までに書面を仕上げる力です。これらは試験では測られていません。

先に述べたとおり、8割の理解で書き始めて、書きながら詰めていける人のほうが、実務では早く伸びます。

完璧を期して手が止まる人は、成績が良くても苦労します。

9|記憶力が良いこと、条文を暗記していること

誤解:六法を頭に入れていないと弁護士は務まらない。

実務では:調べれば足ります。むしろ、記憶に頼らず必ず条文と裁判例に当たる習慣のある弁護士のほうが、間違えません。

必要なのは、暗記量ではなく、どこを調べればよいか見当がつくこと、そして、調べずに答えてはいけない場面を見分けられることです。

では、何が不安の正体なのか

こうして並べてみると、見えてくることがあります。

向いていないのではないかという不安の多くは、弁護士の仕事を実際より狭く、あるいはドラマなどのフィクションと現実との齟齬から来ています。

弁護士の仕事の実態は、依頼者の話を整理し、資料を集め、書面を作り、期限を守る。この繰り返しです。

派手さは必要ありません。

だからこそ、話術や社交性がなくても続けられます。

もし今、自分は向いていないと感じているなら、それが上に挙げたような誤解に基づくものではないか、一度確認してみてください。

弁護士に向いていない人の特徴

ここまで、向いている人の特徴と、向いていないと誤解されがちなことを書いてきました。

では逆に、実際に続かない人には、どういう特徴があるのか。私が見てきた範囲で挙げておきます。

ただし、先に断っておきたいことがあります。

これから挙げるのは、性格の話ではありません。

内向的だから、気が弱いから、口下手だから、といった生まれ持った性質の話ではないのです。そういうことが問題にならないのは、先ほど書いたとおりです。

問題になるのは、性格ではなく、日々の行動と習慣です。そして行動と習慣は、変えようと思えば今日から変えられます。

ですから、以下に心当たりがあったとしても、それは「向いていないから諦めろ」という話ではありません。そこを直さないと続かない、という話です。

1|報告を先送りにする人

これが一番です。

弁護士が本当に致命的な問題を起こすとき、その原因は能力不足ではありません。放置と、連絡が取れなくなることです。

流れはいつも同じです。

依頼者にとって都合の悪い進捗が出る。伝えにくい。そのうち説明しようと思って先送りにする。依頼者から連絡が来るが、まだ説明の準備ができていないので出られない。出られない状態が続くと、ますます出にくくなる。

そして気づいたときには、依頼者との関係は修復できないところまで来ています。

先に書いたとおり、板挟みで苦しんでいる場面の多くは、この先送りが生んだものです。悪い報告ほど早く伝えたほうが、傷は浅くて済みます。

逆に言えば、悪い報告を最初にする習慣さえ身につければ、この問題は起きません。

2|期限を軽く見る人

弁護士の仕事は、期限の連続です。

裁判所に提出する書面の期限、時効、控訴期間、依頼者に回答すると約束した日。守れなかったときに取り返しがつかないものが、いくつも含まれています。

ここで言いたいのは、「締切ぎりぎりになる人は駄目だ」ということではありません。仕事量によっては、ぎりぎりになることもあります。

問題なのは、期限に間に合わないと分かった時点で、何も動かない人です。

間に合わないなら、早めに裁判所に連絡する、依頼者に事情を伝えて日程を組み直す、周囲に助けを求める。打つ手はあります。

それをせず、当日になって「できませんでした」となる。これを繰り返す人は、事件を任せられません。

3|一人で抱え込んで、相談できない人

先ほど、メンタルを崩す原因として職場の人間関係を挙げました。相談できる先輩がいるかどうかは、事務所側が用意すべき環境です。

ただし、環境が整っていても、自分から相談に行けない人がいます。

分からないことを分からないと言えない。手が止まっていることを言い出せない。自分で何とかしようとして、時間だけが過ぎていく。

気持ちは分かります。特に、若いうちは「こんなことも分からないのか」と思われたくないものです。

しかし、事件は動いています。あなたが一人で悩んでいる間も、期限は近づき、依頼者は待っています。

分からないことを早く聞ける人は、伸びます。同じことを二度聞かないように記録を残しておけば、それで十分です。

この点は、事務所の側にも責任があります。聞きやすい空気をつくることは、私たちの仕事です。ただ、最後の一歩を踏み出すのは、ご本人です。

4|調べずに答えてしまう人

先ほど、条文を暗記している必要はない、調べれば足りる、と書きました。

その裏返しです。調べれば足りるのに、調べない人は危険です。

相談の場で、記憶と印象だけで即答してしまう。後で確認すると要件が違っていた、法改正が入っていた、そういうことが起こります。

依頼者の方は、弁護士が言ったことをそのまま信じます。だからこそ、その場で確信が持てないことは、「確認してご連絡します」と言えるかどうかが分かれ目になります。

即答できることが優秀さだと勘違いしないでください。調べるべき場面を見分けられることのほうが、はるかに重要です。

5|自分の非を認められない人

ミスは誰でもします。

問題は、その後です。

ミスを隠す。事務局のせいにする。依頼者の説明が悪かったことにする。裁判所の判断がおかしいと言う。

こうしていると、何が起きるか。同じミスを繰り返します。原因を自分の外に置いている限り、直すべきものが見つからないからです。

そして、周囲もいずれ気づきます。この人には言っても仕方がない、と思われた時点で、指導もフォローも入らなくなります。

逆に、ミスをすぐ報告して、原因を自分で説明できる人には、周りが自然と手を貸します。長い目で見て伸びるのは、こちらです。

5つに共通していること

並べてみると、共通点が見えてくると思います。

報告を先送りにする。期限が危ないのに動かない。相談に行けない。確認せずに答える。非を認めない。

すべて、「言いにくいことを、言わない」という一点に集約されます。

先に「誠実であること」を最後の特徴として挙げましたが、その具体的な中身は、まさにこれです。誠実さとは、人柄の良さのことではありません。言いにくいことを、適切なタイミングで、きちんと言えることです。

そして、これは性格ではなく、習慣です。

今日、先送りにしている報告が一つあるなら、今日それを済ませる。そこからしか始まりません。

適性を判断するのは、最初の1〜2年ではありません

新しく弁護士になった方から、「自分は弁護士に向いていないかもしれない」という不安の声を聞くことがあります。

ただ、その時期の不安のほとんどは、適性の問題ではなく、経験不足の問題です。

先に書いたとおり、経験の浅いうちは板挟みの負荷を一番強く受けます。まだ扱ったことのない事件類型ばかりですから、インプットの負担も最大です。

一番しんどい時期に、一番判断材料が少ない状態で、自分の適性を判定してしまうのは、あまりに早すぎます。

先ほど挙げた5つの確認事項を見直したうえで、なお続けられないと感じるかどうか。そこまで待ってから判断していただきたいと思います。

目安としては、3年です。3年、全力で取り組んでみてください。

まずは「基本業務」に全力で取り組んでほしい

私は、まずは弁護士になったなら、とりあえず弁護士としての「基本業務」に全力で取り組んでみることを勧めています。

当事務所の基本業務とは、離婚・不倫の慰謝料・子の親権などの家事事件,むちうちや後遺障害の申請も含む交通事故案件,示談活動を含む刑事事件,破産・個人再生などの債務整理案件などです。

ここからスタートしてどんどん専門性を磨いていっていただくことが成長にとって良いと考えています。

街の法律事務所で弁護士がどのように経験を積み、専門性を広げていくのかは、弁護士(マチベン)の仕事とキャリアのすべてで整理しています。

そして、全力で取り組めば、上記に書いた大変そうに見える弁護士の仕事が、一定ラインを超えれば、案外そうでもないと感じることもできます。

私も、弁護士を始めて数年は不安でした

私も、弁護士を始めて数年は不安でした。

お客さんに依頼をしてもらえるのか、信頼して仕事を任せてもらえるのか、それをずっと継続することができるのか。

そうした不安は私もありました。

しかし、全力で取り組み続けた結果、今後も継続して行けるとの自信を持つに至っています。

ですから、全力で取り組み続ければ、自分が自信がないとか、不安だと思っていることも、乗り越えていくことができると信じています。

皆さんもどうか、焦らず、じっくりと、そして全力を尽くして、自分の実力を伸ばすことを心がけてください。

当事務所の弁護士は、皆、そのように弁護士として成長を続けるつもりです。

その成長を支えるために当事務所が用意している仕組みは、弁護士向けの研修制度のページにまとめています。

Categoryカテゴリー

Pickupピックアップ記事

Movie動画で見るロイハイ

SocialNetworkSNS

Entry

皆さんのご応募お待ちしております

エントリーフォームから職種ごとの募集要項をご確認いただけます。
皆様と共に成長しながら働ける日を楽しみにしております。

エントリーフォームはこちら