Article
固定残業代(みなし残業)とは?計算方法と求人票の見方|パラリーガル求人の注意点
2025.11.26 (最終更新日:2026.08.13) パラリーガル・法律事務員向け 若手・第2新卒の方向け
1. 固定残業代(みなし残業)とは?パラリーガル求人での意味
固定残業代とは、あらかじめ「〇時間分の残業をしたものとみなして」給与に含める制度のことです。
求人票では「みなし残業」「みなし残業代」と書かれていることもありますが、固定残業代と同じ意味です。呼び方が違うだけで、仕組みも注意点も変わりません。
例えば、「月給22万5000円(固定残業代として3万円を含む。固定残業代は月20時間分)」
と記載されているような場合には、基本給は19万5000円で、残業を20時間した分が既に含まれていることになります。
つまり、皆さんがパラリーガルとして、その月に20時間残業したとしても、残業代が別途支払われることはありません。なぜなら、既に20時間分の残業代を含めた分を支払っていることになるからです。
1-1. 固定残業代の計算方法|時給単価を出してみる
また、皆さんにおかれては、時給単価を計算しておくことも非常に大切です。
ざっくりな話ではありますが、基本給部分を月の所定労働時間が160時間であることが多いので、この160時間で割ると時給単価が算出されます。
仮に先ほどの例で、算出すると、19万5000円÷160時間=時給1218円となります。
現在の大阪の最低賃金は時給1177円( 2025年10月16日~)ですから、最低賃金よりわずかに41円高い程度ということになります。
このように時給計算していただくこともとても大切です。そうすれば、最低賃金とどの程度差があるかについてはご理解いただけるはずです。
これは、皆さんがパラリーガルとして働くうえで、よく注意した方が良い項目となります。
1-2. 「職務手当」「業務手当」と書かれている場合
ところで、この固定残業代は、会社によって「職務手当」「業務手当」「職能手当」「役職手当」と表記されることもあります。
これらの「手当」は、固定残業代を意味する場合もあれば、そうではない場合もあります。
どのように区別をするかというと、固定残業代である場合には、「職務手当」は「月20時間分の固定残業代として支給する」というように記載がされています。
このような固定残業代があると、一見すると求人票の給与が高く見えることもあって、誤解を生んでしまうことがあります。
しかし、制度の仕組みを理解していないと、 “実際の働き方”や“自分の生活との相性”に大きなズレが生じる可能性があります。
ちなみに、ロイヤーズハイの以下のパラリーガル求人では、皆さんに分かりやすくするために固定残業代をつけておりません。
つまり、基本給部分が22万円となっておりますので、残業をすれば1分単位で別途残業代が付きますし、時給単価についても計算しておくと、22万円÷160時間=時給1375円となります。
1-3. 固定残業代が有効と認められる3つの要件
固定残業代は、どのような形でも有効になるわけではありません。裁判例では、おおむね次の3点が満たされているかどうかが問われています。
- ① 基本給の部分と固定残業代の部分が明確に区分されていること
- ② 何時間分の残業に対する金額なのかが示されていること
- ③ 固定残業時間を超えた分について、別途残業代が支払われること
求人票に「月給25万円(固定残業代含む)」とだけ書かれていて、金額の内訳も時間数も示されていない場合は、この要件を満たしていない可能性があります。応募前に内訳を確認してください。
給与の内訳と同じくらい重要なのが雇用形態の確認で、パラリーガル求人に見る「正社員」と「契約社員」の違いで求人票の見方を整理しています。
※有効性の判断は個別の事情によります。実際に問題があると感じられた場合は、労働基準監督署や弁護士にご相談ください。
1-4. 固定残業代を超えて残業した場合はどうなる?
固定残業時間を超えて働いた分については、別途残業代が支払われなければなりません。「固定残業代を払っているのだから、それ以上は出ない」という運用は認められません。
ただし実際には、超過分が支払われていなかったり、超えないように申告を控える空気になっている職場もあると聞きます。
面接では、「固定残業時間を超えた月に、超過分がどのように支給されているか」を確認しておくと、入所後の給与の見通しが立てやすくなります。
2. 固定残業代が設定されている求人を見るときの確認事項
最近のパラリーガル求人では、固定残業代込みの給与表示が設定されていることがあります。この場合、次の点を確認しておくと、複数の求人を正確に比較できます。
- 月給の内訳として、基本給がいくらで、固定残業代がいくらか
- 固定残業代が何時間分に相当するのか
- 実際の残業時間が、平均してどのくらいか
- 固定残業時間を超えた場合に、超過分が別途支給されるか
固定残業代を採用している=悪い、というわけではありません。
しかし、求職者側が制度を理解しないまま応募するとなると、ご自身の意図とはギャップが
生じる可能性がありますので、慎重に判断することをお勧めいたします。
なお、担当する分野そのものに期限がある案件もあります。分野ごとの将来性の見分け方は、B型肝炎の案件はパラリーガルとして長期キャリアは築けるのかで説明しています。
3. 固定残業代付き求人で必ず確認すべき5つのポイント
固定残業代は「仕組みを理解しているかどうか」で、 あなたの働き方の満足度が大きく変わります。以下は絶対に確認すべき項目です。
3-1. 基本給はいくらか?
固定残業代が含まれる場合、同じ月給でも基本給が低く設定されているケースが多く見受けられます。基本給は将来の昇給・賞与・産休・育休などにも影響するため、最も重要な指標です。
3-2. 何時間分の固定残業代なのか?
固定残業代は一般的に 月20〜40時間分 に設定されていることが多いです。 「40時間分込み」と書いてある場合、 実際に残業が40時間未満であっても、給与は変わりません。
3-3. 実際の残業時間は何時間なのか?
固定残業代は、実際の残業時間にかかわらず支払われる金額です。しかし、実態としては“その時間分は残業が発生する前提で業務量が設定されている”こともあります。そのため、実際の残業時間が平均的にどのくらいなのかを、面接などで確認しておくことが重要になるでしょう。
3-4. 昇給の際に、どの部分が上がるのか?
昇給の際に基本給と固定残業代のどちらが上がるのかは、事務所によって異なります。基本給が上がる設計になっているかを確認しておくと、将来の収入の見通しが立てやすくなります。
昇給が何を基準に決まるのかを知るうえでは、未経験から専門職へ|パラリーガルのキャリアロードマップ(0〜3年)で紹介している等級制度と成長段階も参考になります。
3-5. 実際の働き方は「仕事量と休息のバランス」が取れているか?
固定残業代の制度面だけでなく、 働く現場がどのように業務配分を管理しているかが最も重要です。
4. 働き方の実態を確認するときのポイント
ここからは、制度そのものではなく、実際の働き方をどのように確認するかという視点で整理します。
働き方は事務所ごとに大きく異なります。
そのため、ご自身が応募される事務所の「転職サイトの口コミ」などをよくご覧いただいたり、直接、応募される事務所の人事担当者や面接担当者に質問していただくのがよいとは思います。
4-1. 固定残業代がある求人で確認しておきたいこと
- 一人あたりが担当する案件数の目安(案件数を大量処理することで収益を出すモデルかどうか)
- 固定残業代が何時間分に設定されているか、実際の平均残業時間はどのくらいか(月20〜40時間の残業を前提として業務が組まれているかどうか)
- 繁忙期の残業時間と、その時期の業務の進め方(一人あたりの業務量が多く、スピード優先になっているかどうか)
- 業務量が特定の人に偏らないよう、どのように配分しているか(精神的負担が大きくなっていないかどうか)
4-2. 残業がほぼ発生しない職場の傾向
- 案件の受任数をコントロールし、品質を重視している
- パラリーガルの許容量を把握する仕組みがある
- 業務マニュアルや教育体制が整備されている
- 心に余裕を持って働けるため、ミスが少なくなる
- 結果として定着率が高くなり、安心して働ける
制度の違いではなく、事務所の業務管理の質が働き方を決めます。
5. ロイヤーズハイが固定残業代制度を採用していない理由
ここではあくまで「事務所の方針」として、透明性を持って説明できます。
5-1. パラリーガルの実残業が月20時間以内を目指しているから
当事務所では、パラリーガルの残業は月0〜20時間以内を目指しています。 そのため、残業を前提とした給与体系にする必要がありません。
残業をした場合には、1分単位で残業代をお支払いしております。
5-2. 給与体系の透明性を大切にしているから
当事務所では、 「基本給はいくら」「残業代は発生した分だけ」 というシンプルで分かりやすい制度を採用しています。
求職者の方に、出来る限り誤解を与えたくはないと考えております。
5-3. 残業を前提としない給与体系にしたいと考えているから
当事務所では、残業そのものを少なくすることを目指しています。そもそも、残業が少ない働き方を前提とするのであれば、あらかじめ一定時間分の残業代を給与に含めておく必要はないと考えています。
そのため、基本給と実際に発生した残業代とを明確に分け、残業した分は1分単位でお支払いする方法を採用しています。
5-4. 生活と心の安定を最優先に考えているから
固定残業代で高く見せるより、 “負担の少ない働き方×着実な昇給” の方が、 多くの方にとって長期的に幸せに働けると考えています。
目先の月給よりも、働きながら専門性を積み上げられるかどうかを重視したい方は、20代で「手に職」をつけるならパラリーガルもあわせてお読みください。
5-5. ごく一部、紹介エージェント経由の応募者に限り例外があります
経験者パラリーガルの方で、 その方が最低限確保したい年収がある場合があって、前職の年収を直ちに下げられない事情(例えば、生活レベルを直ちに下げられない等)がある場合に限り、エージェントから固定残業代について十分に説明をしていただいたうえで、固定残業代を設定することがあります。
これは、その経験パラリーガルの方が最低限確保したい年収を希望し、かつ「紹介エージェント」という人材に関するプロから、固定残業代に関する説明を十分受けているため、その方にとって不都合がないと考えられるためです。
とはいえ、これは極めて限定的な例外措置であり、 当事務所は「固定残業代そのものに慎重な姿勢」を貫いています。
その理由は、固定残業代という仕組み自体が、長時間残業を誘発させやすい制度だと考えているためです。
6. 求人票の見方|求人を比較するときのチェックリスト
この記事の最後に、読者がすぐ使えるチェックリストを掲載します。
- 基本給はいくら?
- 固定残業代は何時間分?
- 実際の残業時間は?
- 昇給は「基本給」が伸びる設計になっている?
- 業務量は適切にコントロールされている?
- 生活のリズムに無理がない働き方か?
この6つを確認すれば、 あなたに合った事務所を確実に選べます。
7. よくある質問(FAQ)
Q.みなし残業と固定残業代は違うものですか?
A.同じ意味です。求人票での書き方が違うだけで、仕組みは変わりません。
Q.固定残業代があると、必ず残業が多いのですか?
A.必ずではありません。ただし、残業がほとんど発生しない職場であれば、あらかじめ残業代を支払う仕組みを設ける必要がないのも事実です。
Q.固定残業代の時間分を働かなかった場合、給与は減りますか?
A.減りません。固定残業代は、実際の残業時間にかかわらず支払われる約束の金額です。
Q.基本給が低いと、何に影響しますか?
A.賞与、昇給、退職金、産休・育休中の給付など、基本給を基準に計算されるものすべてに影響します。同じ月給でも、基本給の額によって長期的な収入は変わります。
Q.求人票で最初に見るべきところはどこですか?
A.月給の内訳です。固定残業代が含まれているか、含まれている場合は何時間分なのか。この2点で条件の意味が大きく変わります。
8. 大阪でパラリーガルの求人を探している未経験の方へ
ロイヤーズハイは、大阪難波に本社を構え、 大阪府内に4拠点を展開する 大阪発・大阪密着の法律事務所 です。
私たちは、未経験の方が無理なく成長し、 長期的にキャリアを築いていけるように、 教育体制・業務マニュアル・OJT・フォロー制度を整えています。
パラリーガルは「経験者しかできない仕事」と誤解されがちですが、 実際には 正しい育成環境があれば未経験から十分に活躍できる専門職 です。
パラリーガルの業務内容や未経験からのキャリアの積み方は、パラリーガルの仕事とキャリアのすべて|総合ガイドにまとめています。
ロイヤーズハイでは、 透明性のある給与制度(固定残業代なし・残業は1分単位)、 業務量をコントロールするよう目指し、 安心して働ける労働環境づくりに力を入れています。
法律事務の仕事に興味があり、 未経験から大阪でパラリーガルとして働きたい方は、 是非、こちらの求人ページからご応募くださいませ。
Categoryカテゴリー
Entry
皆さんのご応募お待ちしております
エントリーフォームから職種ごとの募集要項をご確認いただけます。
皆様と共に成長しながら働ける日を楽しみにしております。