2020.08.28 2022.10.01

個人民事再生手続における弁済計画

個人民事再生手続における弁済計画

抱えている借金の減額を可能とする個人民事再生手続、通称個人再生は自身の財産を残したまま借金による負担を軽減できるものです。

ここでは、個人再生における弁済計画をご紹介していきます。
どのような流れで個人再生が行われるのか気になる方は、ぜひ目を通してみてください。

個人再生手続には条件が必要

個人再生は、借金を抱えている全ての人が利用できるものではありません。
個人商店主や小規模の事業を営んでいる人を対象にした小規模個人再生手続では、以下の2つの条件を満たす必要があります。

  • ●借金などの総額(住宅ローンは含まれない)が5,000万円以下であること
  • ●今後も継続的に収入を得る見込みがあること

一方、サラリーマンを対象とした給与所得者等再生手続では、

  • ●借金などの総額(住宅ローンは含まれない)が5,000万円以下であること
  • ●今後も継続的に収入を得る見込みがあること
  • ●給与収入が安定していること(資産運用はNG)

これら3つの条件を満たさなければ手続きができないようになっています。

個人再生は弁済計画書が重要になってくる

個人再生では弁済計画書が大事になります。
弁済計画書とは債務整理を行い際の代理人が提案する返済計画のことを指します。
代理人には弁護士又は司法書士が携わるので安心です。
弁護士や司法書士というのは何度も個人再生で人を救ってきた人たちです。
法定利息で引き直し計算をするため、債務者にあった返済計画を立ててくれるのです。
利息のカットに元本の割引などを駆使して依頼者には3年程度で全額返済できるほどの借金計画に変えられるものになっています。
そして個人再生における計画弁済は、所定の最低弁済額以上のものでなければいけないという決まりがあります。
最低弁済額を上回る支払い計画を立てることで、きちんと個人再生ができる許可を得られるわけです。

個人再生の手続きは長い時間を要する

個人再生は、弁護士や司法書士が携わるとはいうものの、1ヶ月でスムーズに終了するようなものではありません。
個人再生は最低6ヶ月といわれているほど、そう簡単には個人再生を確約できるものではないのです。
そして手続きも個人で簡単に行えるものではありません。
弁護士や司法書士から協力を得るだけではなく、それらを介して貸金業者とのやり取りも必要になります。
そして、さらには裁判所の協力も必要で、手続きをする際にはいくつかの書類も集めなければいけません。
「自分はまだ僅かながら資金が残っている」といつまでも先送りしていると、気が付いた頃には生活に大きな影響を与えているかもしれません。
なるべく早めに個人再生の手続きをしておくべきだと言えます。

個人再生手続きの流れについて

それでは、個人再生手続きの流れを、順を追って説明していきます。
流れは全部で13段階あります。

①弁護士(司法書士)に依頼し取立てと返済をストップ

まずは、これ以上借金による負担をストップさせるためにも信頼できる弁護士に依頼しましょう。
依頼した当日や翌日には弁護士が介入したという受任通知を各貸金業者のもとへと発送します。
これにより、取立てと返済がストップし、借金地獄から一時退避できます。

②引き直し計算

受任通知を送ると今度は貸金業者から取引履歴を得ることができます。
これは受任から約1~3ヶ月ほどかかります。
取引履歴を見ながら法定金利に基づく引き直し計算を行い、借金がどれほどになっているかを確かめていきます。
この引き直し計算というのは、過払い金があるかどうかを確認するためにも行われているものです。
ここで過払い金が発覚すれば貸金業者に過払い金返還請求ができるようにもなっています。

③申立書類の作成と準備

依頼者は裁判所に提出すべき立書類の下書きや必要書類の収集を行う必要があります。
何を準備すればいいのか不安だと考えるでしょうが、そこは弁護士がいるので安心です。
集めるべき書類と書類の作成方法は全て弁護士のサポートが付くのでまったく知識がない人でも大丈夫となっています。
仕事をしている人であっても1ヶ月ほどで全ての書類を集めることができます。

④裁判所に個人再生を申し立てる

書類が全て集まったら、続いては弁護士が裁判所へと申立書類を提出し、個人再生の申立てを行います。
この際、依頼者は一緒についていく必要はありません。
また、この時に裁判所は個人再生委員と呼ばれるこの件の担当を選定していきます。

⑤個人再生委員との面接

申立て後は依頼者が弁護士と一緒に個人再生委員との面接を行います。
面接では、「どのような理由で借金を抱えているのか」「どうして返済が困難となっているのか」といった理由を聞かれ、返済の見込みについても質問を受けます。

⑥再生手続の開始決定

面接を経て無事に再生手続きが可能であると判断されると、再生手続きの開始決定に移行します。
これは個人再生の申立ての約1ヶ月後にはできるものとなっており、個人再生委員がやり取りした内容を聞いて裁判所は再生手続開始決定を出します。

⑦貸金業者が裁判所に債権届出を行う

再生手続開始決定となったら裁判所は、再生手続開始決定と債権届出書を各貸金業者に送付します。
そして各貸金業者がそれぞれ主張する借金額を裁判所に届け出る形で進んでいきます。

⑧債権認否一覧表を個人再生委員に提出

各貸金業者から届いた債権届出書には貸金業者側の希望する債権額が記載されています。
裁判所はその金額で良いかどうかを判断し、債権認否一覧表を個人再生委員に提出するのです。

⑨再生計画案の提出

続いて、弁護士が具体的な再建方法と弁済方法をまとめた書類を裁判所に提出します。
この書類は今後の借金返済の計画となる大事な書類で、再生計画案としてまとめられます。
この時、弁護士は再生計画案が法律上の要件を満たしているかどうかも確認します。

⑩決議

弁護士が提出した再生計画案は裁判所へと送られ、さらにそこから各貸金業者に再生計画案と議決書が郵送されます。
そして、書面決議が行われていく流れとなっています。
(※給与所得者等再生では貸金業者の議決はなく意見聴取が行われます。)

⑪再生計画認可決定

決議により債権者の2分の1以上が賛成、そして反対した債権者の債権額合計の数字が全債権額の2分の1を超えていないことが確認され、さらには裁判所が再生計画案に記載した返済計画案に沿って借金の一部が返済される見込みがあると判断できた場合、無事に裁判所から再生計画認可決定が出されます。
ただしこの時点ではまだ個人再生計画が確定したわけではありません。

⑫個人再生計画の確定

裁判所方再生計画案が決定されてから大体1ヶ月後には認可された再生計画案は確定となります。
これにて個人再生で借金の負担が減らせるのは確約されます。

⑬再生計画案通りに返済していく

手続きが終われば後は再生計画案通りに返済していくのみです。
再生計画認可決定が決まった月の翌月から貸金業者の指定する口座に入金していきます。

こんなにも多くの手続きを必要とするため最短でも6ヶ月という時間が必要なのです。
場合によっては1年以上もかかることも珍しくはありません。
早めに計画しておくことで、いち早く借金がもたらしている苦しい生活から少しは解放されることでしょう。

まとめ

財産を残したまま借金減額という恩恵を得られる個人再生は、国で定められているものであって誰でも受けられるものになっています。

手続きを行うには条件も必要ですが、手続きには弁護士や司法書士が介入し自身に負担のない形で進めてくれます。

しかし一方で、時間がかかったり必要書類が多かったりと、借金の減額までの道のりは長いものではあります。

悩んでいる方は早めに弁護士又は司法書士に依頼することをおすすめします。

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