2019.10.02 2022.12.20

セクハラに該当する行為とは?その解決策と相談先

セクハラに該当する行為とは?その解決策と相談先

女性の社会進出が進む中、労働関係のトラブルにおいて「セクハラ」は常に大きな割合を占めています。都道府県労働局には、毎年1万件前後の相談が寄せられているのが現状です。また、セクハラという言葉は1980年に誕生しており、ハラスメント行為の中でも長い歴史を持っています。つまり、時代を超えて労働の場に存在する大きな問題といえるでしょう。では、現代社会においてセクハラに該当する行為とはどういったものなのでしょうか。セクハラ被害の対応なども含めて解説します。

セクハラ(セクシュアルハラスメント)の定義

セクハラの定義については、まず男女雇用機会均等法(正式名称:雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律)の第11条を確認しておきましょう。

“第11条(職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置)
事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。”

この条文から、セクハラの定義は以下2点だと確認できます。

  • ・性的な言動によって不利益を受けること
  • ・性的な言動によって就業環境が害されること

ちなみに第11条にある「職場」とは、会社内(オフィス内)だけでなく、顧客の自宅や接待の席、その他業務が行われる場所全てが対象になります。

「性的な言動」に該当する行為

セクハラを理解する上で重要なキーワードである「性的な言動」についても、厚生労働省で次のように定義を公開しています。

・性的な内容の発言
性的な事実関係を尋ねること、性的な内容の情報(噂)を流布すること、性的な冗談やからかい、食事やデートへの執拗な誘い、個人的な性的体験談を話すことなど

・性的な行動
性的な関係を強要すること、必要なく身体へ接触すること、わいせつ図画を配布・掲示すること、強制わいせつ行為、強姦など

こうしてみると、「性的な内容の発言」については、親しい異性の間で行われがちなことが含まれています。しかし、「相手が望んでいない状態」「プライベートではなくオフィシャルな場所」という2つの点で親しい異性同士の付き合いとは異なります。また、「性的な言動」については、性行為の強制が含まれているため、明らかに違法です。

セクハラの2類型

また、厚生労働省では、セクハラを「対価型セクシュアルハラスメント」「環境型セクシュアルハラスメント」の2つに分類し、それぞれ具体的な例を挙げています。

対価型セクシュアルハラスメント

職場において、労働者の意に反する性的な言動が行われ、それを拒否したことで解雇、降格、減給などの不利益を受けること

  • ・上司からの食事やデートの誘いを断ったところ、日常的に無視されたり、突然それまでの職務から外されたりした
  • ・派遣先で社員からの性的な誘い拒否したのち、契約更新が行われず失職した

 

環境型セクシュアルハラスメント

性的な言動が行われることで職場の環境が不快なものとなったため、労働者の能力の発揮に大きな悪影響が生じること

  • ・事実無根の噂(恋愛関係や不倫関係など)を職場で広められた
  • ・常に自分の目が届く場所に、意図的に性的な画像・写真などが置かれている
  • ・背後やすれ違いざまに体をさわられる、髪をなでられる

 

判断が難しいセクハラ問題

このようにセクハラは、定義自体はしっかりと存在しています。しかし、実際のセクハラ問題は判断が難しいケースが多々あることも事実です。ちなみに、セクハラの被害を解決するための一般的な対策としては、次のようなものが挙げられます。

  • ・社内の通報窓口を使う
  • ・上司や経営幹部に相談し、セクハラ加害者へのヒアリングを実施してもらう
  • ・男女雇用機会均等法第11条を根拠として、会社側に再発防止措置を講じてもらう

すれちがいざまに身体を触られた、むりやり抱きすくめられた、体を固定されてキスされそうになった、などの具体的な行為であれば明らかにセクハラです。一方、いわゆる「ジョークや軽口の延長」のような流れの発言であり、セクハラに該当するのかよくわからない…という方も少なくありません。しかし、相手はジョークや軽口だったとしても、それを自分が望んでおらず、なおかつ仕事を進めるうえでストレスになっていれば、セクハラに該当する可能性は高いわけです。

また、性的行為や関係の強要を拒否した結果、解雇や減給にいたった場合でも、相手方(上司や雇用主、顧客)が「能力や適性の不足が原因」と押し切ってしまうこともあります。このようなケースでは、被害者本人による解決は難しいといえるでしょう。ひとりで悩まず、外部の専門機関(都道府県労働局雇用均等室)を積極的に活用してみてください。

セクハラによってうけた身体的・精神的な被害については、慰謝料の請求や労災認定も可能です。これら最終的な解決を見据えるならば、労働・人権問題に強い弁護士への相談がおすすめです。

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