未払いの残業代が発生している場合、労働者には企業に支払いを求める権利があります。このとき、もらえる金額について相場といえるものはあるのでしょうか。
ここでは、残業代請求時にもらえる金額の決まり方、和解した場合の金額相場などについて紹介します。
企業には残業代を支払う義務がある
企業は従業員を時間外労働させた場合、通常より多めに賃金を支払う義務があります。
このとき支払うべき金額は、1時間あたりの基礎賃金を25~50%割増したものです。
- ・時間外労働…25%(60時間を超えた分については50%)
- ・休日労働…35%
- ・深夜労働…25%
たとえば、深夜に残業した場合。深夜残業分については通常の1.75倍の賃金を受け取ることができます。
一方、本来払うべき残業代を支払わずに従業員を残業させる「サービス残業」は違法です。
こうしたサービス残業を強いられている場合、従業員側には未払いの残業代を請求する権利が発生します。
遅延損害金や付加金を請求できるケースも
未払いの残業代がある場合は、本来の支払い期日から遅れた日数に応じた遅延損害金を請求することができます。
また、裁判になった場合には、裁判所が企業へのペナルティとして、未払い残業代や遅延損害金に加え、付加金の支払いを命じることがあります。
未払いの残業代を請求した場合にもらえる金額の相場
残業代の金額は、その人がもともともらっている基礎賃金の金額や残業時間によって変わってきます。
したがって、具体的な相場の金額を示すことは困難です。
実際の裁判例においても、10万円~1000万円超と請求が認められた金額は各ケースによって大きく異なります。
自分が具体的にいくらもらえるのかを知るためにも、まずは未払いとなっている残業代の合計金額を計算してみましょう。
和解した場合にもらえる金額の相場
未払いの残業代の支払いを会社に請求した場合、訴訟ではなく、労働審判で解決を図ることがあります。
労働審判では、労働審判委員会(裁判官1名、労働審判員2名)の仲裁のもと、当事者が話し合いによる解決を目指すことになります。
この場合、会社側から労働者側に和解金を支払うことで事件が決着するケースが多いです。
和解金の金額については、特に決まった相場はありません。もっとも、諸般の事情を考慮した結果、裁判官から「月給の○ヶ月分」といったように具体的な金額を提案されることはありえます。
なお、訴訟や労働審判の前に、労働者側と使用者側で話し合い、任意で和解をする、という解決方法もあります。その場合、和解金の具体的な金額は両者の交渉によって決まります。
未払い残業代の請求相談は弁護士に
もし現在、未払いの残業代が発生している場合は、弁護士にご相談ください。
弁護士は法的なアドバイスを行うほか、会社との和解交渉なども行います。なかには訴訟を検討するべきケースもありますが、依頼者の希望によっては裁判によらない解決を目指すことも可能です。
残業代には請求期限がありますので、早めにご相談されることをおすすめします。