2020.01.24 2022.12.20

残業時間60時間の実態と発生している残業代は?

残業時間60時間の実態と発生している残業代は?

今回は、残業時間60時間が一般的には長いのかどうか?違法になるのか否か?についてご説明します。

結論を言えば、残業60時間は平均よりも長く、毎月のように続くのであれば、働き方改革関連法で決められた残業時間の上限を超えていることも考えられます。

残業60時間が続く会社にお勤めで、一向に改善される兆しがない場合、労働基準監督署への通報などのしかるべき対応や転職も考えて良い段階です。
 

残業60時間は普通?平均残業時間と比較

まず、残業60時間が客観的に見てどれほど長いのかを、平均残業時間と比較しながらご説明します。

残業時間の平均は30~45時間程度

まず気になることが、60時間の残業が平均よりも長いのか否か。結論を言えば、十分に長いと言えます。

転職サービスとして認知されている『doda』が15,000名に行ったアンケートによると、平均残業時間は24.9時間となっていました。参考:「残業時間ランキング2019|doda」

他にも残業時間に関するアンケート調査はいくつもありましたが、どれを見てみてもおおむね平均残業時間は30~45時間程度となっています。

いずれにしても60時間の残業は平均よりも多いと言えます。

60時間残業は1日2~3時間の残業

残業60時間について、さらに詳しく見てみると、1ヶ月20~25日出勤すると想定すれば、1日2~3時間は残業していることとなります。

そうなれば、1日11時間は会社に居ることになります。さらに、休憩時間や通勤も考慮すれば、15時間程度は仕事に関する行動を取っており、睡眠や食事などの生活に必要最低限の行動に時間を引けば、1日のうち残りの1~2時間程度しか自由な時間は作れないこととなります。

残業60時間では、仕事がある日にはこのような毎日が繰り返されることとなります。仕事とプライベートのバランスが良いとは到底思えませんね。
 

残業60時間の計算方法と計算例

では、残業60時間をしていれば、どれくらいの残業代が支払われるべきなのでしょうか?こちらでは残業代の計算方法と計算例についてご説明します。

残業時間の計算方法

残業代の計算方法を簡潔にまとめると上記のようになります。
 

1時間当たりの賃金の求め方

1時間当たりの賃金は、就業規則等に載っている『基本賃金』÷『平均所定労働時間』で求めることができます。平均所定労働時間は一般的には160~170時間になることが多いです。

例として、『基本賃金【30万円】』『平均所定労働時間【150時間】』にすると、【2,000円】が1時間当たりの賃金となります。
 

残業代の割増率|60時間を超える残業では割増率も上がる
  • 60時間まで=1.25倍
  • 60時間超=1.5倍(中小企業は2023年3月末まで1.25倍)


残業の割増率に関しては上の通りです。60時間を超える残業に対しては、1.5倍が適用されます(現在、大企業のみ)。

60時間残業した場合の計算例

それでは、実際に数字を当てはめてみて残業代を計算してみましょう。

  • 残業時間=60時間
  • 1時間当たりの賃金=2,000円
  • 割増率=1.25

これを計算すると、15万円】が残業代となります。けっこう大きな金額ですね。

実際には就業規則の内容などで多少の違いはありますが、60時間も残業をしているようであれば、10万円以上の残業代が生じていることも十分に考えられます。

多く残業しているにもかかわらず、ほとんど残業代を貰えていないような方は、後述するように未払い残業代問題も考えられます。

就業規則等と照らし合わせることで、さらに詳しく具体的に実際の残業代を計算してくれる事務所もありますので、一度弁護士に相談することをおすすめします。
 

残業60時間が続くようならば違法も!

「60時間の残業は十分に長い」とお伝えしましたが、さらに言えば、60時間の残業が毎月続くような場合、働き方改革関連法で新たに決められた残業時間の上限を超えている可能性も考えられます。

残業時間の上限は原則的に月45時間以内です。繁忙期など特別な事情がある場合のみ45時間を超えても良いケースがありますが、それでも毎月60時間以上の残業が続くようであれば、労働基準法違反も考えられます。

タイムカードや就業規則などの長時間労働が行われている証拠を元に、労働基準監督署へ相談/通報することも検討しましょう。

残業代未払いも考えられる

また、長時間残業が蔓延している会社では同時に未払い残業代が生じているケースが多いと考えられます。上記の残業代計算でもお伝えしましたが、60時間の残業では残業代だけで10万円を超えていることも十分に考えられます。

しかし、会社側からすれば、10万円の残業代は人件費の圧迫となります。あの手この手を使って残業代を減らそうと試みる会社がありますが、結果的に違法に残業代を払っていないことも多いのです。

繰り返しますが、60時間も残業をしているのに対し、ほとんど残業代が支払われていないような方は、まずは弁護士に具体的な状況を相談されてください。

未払いとなっている残業代は取り返すことができますし、それが何ヶ月も続いているようであれば、金額も100万円を超えるような高額な未払い金になっていることも考えられます。
 

まとめ

60時間の残業は十分に長く、それが続くようであれば、会社の違法性も考えられます。さらには、未払い残業代が発生している可能性も考えられます。

長時間労働や未払い残業代でお困りの方は、一度弁護士や労働基準監督署へ相談するようにしましょう。

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