2020.01.28 2022.12.20

残業代請求に失敗するケースとは

残業代請求に失敗するケースとは

2019年4月に働き方改革関連法が施行され、働き方に対する考え方も変わりつつあります。

その中に、本来は発生していた残業代を取り返す『残業代請求』があります。何ヶ月も正しく支払われていない残業代がある方は、残業代請求によって数十万円、時には100万円を超える残業代を取り返すこともできます。

しかし、残業代請求が必ず上手くいくとは限らず、失敗に終わってしまうケースもあります。

今回は、どのようなケースで残業代請求が失敗に終わるのか?どういう準備をしておくことで失敗を防ぐことができるのか?についてご説明していきます。
 

残業代請求の失敗例でよくあるパターン

まずは、どういったケースで残業代請求が失敗になってしまうのかから知っておきましょう。

会社に言いくるめられる/脅される

個人で残業代請求を行っても、会社が素直に応じてくれず言いくるめられたり、場合によっては「残業代請求に対して訴える」などの脅しを受ける場合があります。

会社側も何の理由もなく残業代を未払いにしていることは少なく、何かしらの言い分として少し変わった労働契約を結んでいるケースが多いです。

《残業未払いの理由とされる契約例》
  • 固定残業代
  • 名ばかり管理職
  • 裁量労働制など

会社側の残業代未払いの言い分として多いものが、上記の理由です。例えば、「固定残業代として予め給与に残業代を含んでいる」という言い分は多い理由の1つです。

このケースでは、適切に運用されていれば固定残業代としてしっかり残業代を払っていることになりますが、多くは未払いになっていることが考えられます。

しかし、結果的に労働者側に知識が無いせいで言いくるめられてしまうことが多いです。後述するように、労働者自らが労働基準法などの残業に関する知識を身に付けたり、弁護士にしっかり相談することで残業代未払いの有無を判断できるようになります。

そもそも残業代が発生していなかった

上記でご紹介したような少し変わった労働契約で、実際には残業代に相当する賃金が支払われていたり、残業代が発生しない正当な理由があって残業代請求が失敗に終わるケースもあります。

こちらも上記と同様に、労働者が正しい知識を持つことである程度の判断ができるようになります。

証拠不十分で認められない

一方的に残業代請求を行っても会社が簡単には応じてくれないことも多いですし、仮に訴訟に移った場合にも第三者である裁判官に事実を知ってもらうための証拠が必要になります。

実際に残業していた証拠が足りず、交渉や裁判で認められず残業代請求が失敗に終わるケースもあります。

時効が成立している

残業代請求には2年という時効があります。「長年働いた会社を退職する時に残業代請求しよう」とお考えの方は、想定していた数年分の残業代全てを受け取れず、直近2年分の残業代しか支払われないことがあります。ある意味失敗と言えます。

長らく残業代が支払われていない方は、「退職時に…」と先延ばしするのではなく、少しでも早く行動することをおすすめします。
 

残業代請求で失敗しないためにできること

ここまでお伝えした、残業代請求の失敗にならないためにできることについてこちらでご紹介します。

会社の言い分を鵜呑みにしない

会社から「こういう理由で残業代は出ていない」「残業代請求しても無駄」などと言われると、つい真に受けて泣き寝入りしてしまう方も多いと思います。

まずは、「本当にそうなのか?」と疑いから入ることで次に進展することがあります。後は後述するように、ご自身で知識を身に付けたり、法律の専門家である弁護士に相談することでしっかり判断ができるようになります。

ある程度の知識を身に付けておく

繰り返しますが、ご自身で残業代に関する知識をある程度付けておくことで、「これはおかしい」と会社の言い分に抵抗するきっかけが生まれます。

著者も以前、長時間労働が横行するブラック企業に勤めており、「固定残業代として残業代は払っている」という会社の言い分を真に受けて残業代請求をしなかった経緯があります。無知ゆえに何もできませんでした。

しかし、残業代に関する知識が身に付いた今、当時はあきらかに残業代が支払われていなかったのだと分かります。後から気付いても、時効などで請求が難しくなります。「おかしい」と思っている今のうちからご自身でも知識を身に付けておきましょう。

弁護士に相談/依頼する

とは言え、残業代に関する法律は複雑で、一朝一夕で身に付くものでもありません。そこで、手っ取り早い方法として、法律の専門家である弁護士に相談しに行く方法があります。

残業代請求に力を入れている弁護士は多く、初回であれば無料で相談できる弁護士も多いです。まずは、就業規則などの労働契約や実際の残業時間が分かるものを持って弁護士に相談してみることがおすすめです。

証拠はしっかり集めておく

弁護士への相談の際もそうですが、実際に残業代請求をする時にも証拠の存在は重要です。

証拠の種類 証拠の例
労働契約の内容が分かる物 ・雇用契約書
・就業規則
実際の残業が分かる物 ・タイムカード
・出退勤時間が分かる物
残業の経緯が分かる物 ・指示書ド
・上司からのメール
実際の支払われた金額が分かるもの ・給与明細ド
・源泉徴収票

 
残業代請求の証拠としては、残業時間が分かるタイムカードなどの出退勤記録だけではなく、労働契約が分かる物、実際の支給額が分かる物など、上記の4種類の証拠をそれぞれ準備しておくと万全です。

在職中でないと入手が困難な物も出てきますので、早い段階から準備を進めるようにしておきましょう。
 

まとめ

残業代請求が必ず成功するとは限りません。ご自身で法律の知識を身に付けたり、弁護士に相談することで少しでも失敗の原因を減らすことはできるでしょう。

無料ができる弁護士が多くいますので、まずは相談だけでもしてみることをおすすめします。

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