2020.08.11 2022.12.20

残業代請求の有効な証拠収集方法

残業代請求の有効な証拠収集方法

残業をしたにも関わらず残業代が未払いだった場合、多くの人が残業代を請求するでしょう。

しかし残業代を請求する上で、証拠収集が必要になることやどのような証拠を収集する必要があるのかなど詳しく知らない方も多いはずです。

また残業代を請求するにあたって、証拠がなくても残業代を請求できるのか気になる方も多いでしょう。

そこで今回は、残業を請求する時の有効な証拠収集方法やもし証拠がない場合の対処法などをご紹介しますのでぜひ参考にしてみてください。

 

残業代請求をする上での注意点

残業代を請求する際には、証拠の有無が非常に重要になってきます。残業代を請求しても、証拠がなくては裁判所ではなかなか認められないのです。

そのため請求する側が証拠を揃えて提出することで、初めて残業代を請求できます。しかし残業代請求をする上で、いくつか注意点があります。

まずは、残業代請求の注意点を見ていきましょう。
 

立証責任は残業代請求者にある

立証責任とは「残業していた事実を示す責任が誰にあるのか」を意味するものです。未払い残業代の証拠立てをする責任は、残業請求者であるあなたにあります。

会社はあなたに証拠を開示する義務はないので、残業代を請求するあなたが会社の力を借りずに自分で証拠を集めなければいけません。

証拠が会社に保管されている状態というのは、自分の手元に証拠がないことになります。
会社を相手取って裁判を起こすことになるので、証拠は自ら集めましょう。
 

残業代の請求期限は過去2年分

残業代の請求権は2年間が有効になっているため、過去2年分以上を遡って請求できません。

しかし2年分が揃っていなくとも過去半年分が揃っていればその証拠を4倍にし、2年分と類推して請求できる可能性もあります。しかし、過去1ヶ月分しか立証できる証拠がないとなると話は別です。過去1ヶ月分しか証拠がない場合は、1ヶ月分の未払い残業代しか請求できなくなる可能性があるからです。

そのため、なるべく長い期間の証拠を集める必要があります。

時効

第百十五条 この法律の規定による賃金(退職手当を除く。)、災害補償その他の請求権は二年間、この法律の規定による退職手当の請求権は五年間行わない場合においては、時効によつて消滅する。
引用元:労働基準法第115条

証拠は質よりも量を優先

職種や業務内容などの置かれている状況によって、有効になる証拠があるかもしれません。
どのような証拠が有効なのかの判断は一般的には判断できないため、法律の専門家である弁護士などに任せる必要があります。

今残業代が未払いの状態で、何かの役に立つかもしれない証拠が手に入った時は必ず保管しておきましょう。

保管した小さな証拠が弁護士によって大きな証拠となり、未払いの残業代を請求できるかもしれないからです。そのため、証拠は質よりも量を優先しておくと良いでしょう。

 

残業代を請求する時の有効な証拠を収集する方法とは?

残業代を請求する時には、必ず証拠が必要になります。しかし有効な証拠をどのように収集すればいいのか分からないという方も多いでしょう。

ここでは、残業代を請求する時に有効な証拠を収集する方法をご紹介します。
 

タイムカードをコピーしておく

勤務時間をタイムカードで管理している場合は、タイムカードをコピーするか写真に収めておく必要があります。
タイムカードでの出退勤記録は、大きな証拠になり得るため必ず証拠として押さえておきましょう。

また勤務先でタイムカードがない場合、業務日誌や日報などを付けていることが多いです。
その際は日誌や日報などをコピーもしくは写真に収めておき、出退勤記録を証拠として押さえておきましょう。

しかし中には、日誌や日報などもないという方もいるかもしれません。その場合は、会社のメールやFAXの送信時間も残業している証拠になります。

勤怠記録がなくても、メールを送信・開封した履歴が残っていると働いていたという証拠になるのです。上司から指示されたメモやメールなどは、特に残しておいた方が安心でしょう。

場合によってはパソコンのログインやログアウトの時間の記録や、日記を付けていた場合は記録も証拠になる可能性があります。

家族や友人とのメールなどのやり取りも証拠になる可能性が高いので、保存しておくと良いでしょう。
 

就業規則や雇用契約書などをコピーしておく

就業規則には所定の労働時間や休日、時間外手当の内容など、残業代計算における重要な要素を特定するための証拠になります。

また雇用契約書や労働条件通知書には、時間外手当に関する決まりが記載されている可能性が高いです。そのため、時間外労働に関する合意の内容を立証するためにも重要な証拠になります。

就業規則や雇用契約書には、就業時間についての決まりが書かれている場合も多いので、このような書類は写真に収めるかコピーしておくと良いでしょう。
 

給与明細書や源泉徴収票をコピーしておく

給与明細書や源泉徴収票は、実際にいくら支給されたのかという証拠になり、請求する未払い分がいくらになるかを計算するための基本になります。

未払い残業代がいくらになるのかを計算するために、源泉徴収票や給与明細は必要な証拠です。
給与明細書や源泉徴収票を貰ったら捨てずにそのまま持っておくか、コピーをして取っておくと良いでしょう。

 

明確な証拠がなくても残業代を請求することはできる?

基本的には自分自身で証拠を集めて提示しなければなりませんが、明確な証拠がなくても残業代を請求することはできるのでしょうか?

最後は残業代の証拠がなくても請求できるのか、その疑問について解説していきます。
 

残業代の証拠がなくても請求は可能

残業代の証拠を集められなかった場合は、自分が勤めている会社から証拠を出してもらうことが可能です。

残業の証拠となる書類を、弁護士を通じて見せてもらうように開示請求を行えば残業代の証拠を獲得できます。

ただし、残業代の支払いは会社にとって都合が悪いものです。
そのため、何らかの事情で見せられない場合や持っていないなどと供述して開示を拒否する場合もあります。

会社が証拠を隠し通そうとする場合は、証拠保全手続きをすると良いでしょう。
 

証拠保全手続きをして証拠を守る

証拠保全手続きとは証拠を確保するための手続きで、弁護士ではなく裁判所からの書面通知や裁判所書記官などが直接出向いて行います。

裁判所が動くため残業の請求者が開示請求を行うよりも強い影響力を持っており、証拠保全手続きによって「証拠がない」という問題を解決します。

証拠保全手続きは裁判所で行うため弁護士に依頼する必要はありませんが、有力となる証拠を押さえ損ねると残業代請求が不利になってしまうので注意してください。

法的に有力な証拠は弁護士が熟知しているので、残業代を取り戻すためにも弁護士のサポートを受けると安心です。
 

証拠保全手続きの流れとは

証拠保全手続きを行うには、証拠保全申立書を地方裁判所に提出します。手続きに関しては弁護士を代理人として立て、行うこともできます。

証拠保全手続きが認められるためには、証拠保全の必要性を裁判所に説明しなければなりませんが一般的には難しいでしょう。

そのため、最初から弁護士を代理人に立てておくと安心です。証拠保全の申し立てが認められれば、証拠保全の実施が行われます。

証拠保全手続きによって得られた証拠は、裁判を起こす際には示談交渉をする際にも使えるので、弁護士に預けておくと良いかもしれません。
 

まとめ

残業代を請求するためには、立証責任が伴うため証拠が必要になります。裁判所は証拠がないと事実として認められず、未払い残業代の支払いを命じられません。

有効な証拠を集めるためには様々な手段がありますが、一番は勤怠管理をきちんとコピーしておく、もしくは写真に収めておくことが重要です。

また給与明細書も同じように保管しておくと、賃金が支払われているか否かの判断ができます。しかし残業代請求の証拠を集めるのは個人だけでは大変難しいです。

なぜなら、会社にバレてしまい証拠を隠滅される可能性があるからです。それを防ぐためにも、弁護士に相談し証拠保全手続きや開示請求を行うなどの行為を視野に入れておくと良いでしょう。

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