2020.09.08 2022.12.20

医師の宿直勤務と休日出勤の実際

医師の宿直勤務と休日出勤の実際

日々患者のために医師として立ち続けなければいけない病院では、過労と呼べるほど働く人たちが多くいます。

この記事では病院で働く勤務医に多く見られる問題、残業代について触れていきます。
宿直勤務や休日出勤の実態を取り上げていくので気になる方はぜひご覧ください。

 

残業代の不払い問題が多く取り上げられる病院

病院の勤務医として働く多くの人は給与に対して過重労働であると唱えています。

医療従事者は特殊専門職にあたるため残業代は出ないと言われていますが、実際は、残業代を出さなければいけないのです。

しかしながら以前よりずっと人手を要する病院では残業代は出ないのが当たり前だと考える人も少なくありません。

本来であれば病院勤務のスタッフも労働者です。労働基準法が適用されるため残業代を受け取る権利はあります。

それにも関わらず残業の不払いが当たり前になっている現実に疲弊している医師も多いです。以前日本医療労働組合連合会が行った調査では看護職員7割がサービス残業をしているという結果が出ており、医療関係者の2割は不払い残業代の請求を行っていないという結果も出ています。

不払い残業代の請求すらもできない医療の世界はいったいどのような厳しさがあるのでしょうか?

 

病院は宿直勤務で連続40時間も働く世界

病院では宿直勤務と呼ばれるものがあります。
宿直勤務とは夜間に勤務先に泊まることを前提とした勤務です。

病院は夜間でも人手が必要ですが、万一患者に緊急事態が起きた時のことを想定すると人手が少ないままでは素早い対応ができないことから、看護師が病院に泊まり待機をしながら責任者に電話連絡などを行います。

ただ、職場によっては宿直であっても定期的に巡回をするといった軽い労働を行う所もあります。睡眠時間が確保されていることは多いですが、それでもいつどんなことが起きるのは分からない世界です。

油断はできず、深夜の仕事であっても宿直者であるためじっくり休むことはできません。
そして宿直の割り当てというのは週に1回までと決められていますが、実際にはその決まりを守れている病院は少ないです。

また、夜勤に当たる業務では通常深夜割増賃金がつくものです。
法定割増率の25%を加算する必要があるのですが、職場によっては宿直が仮眠や休憩時間として扱われているところもあります。

完全に勤務から離れて仮眠が取れる環境であれば問題はありませんが、宿直でありながらも毎回働かせられているのであればアウトといえるでしょう。

それは労働時間としてカウントされるべきもので、本来は深夜割増賃金によって多くの労働対価を貰えるはずが、得られていないということになります。

 

病院には休日出勤の問題も

病院では休日出勤についても問題視されています。医師の労働条件は過酷であり、深夜に働きながらも休日出勤させられるといった過重労働により医療の現場を離れる人がたくさんいます。

また、医師や看護師の中には病気になってしまったという人もいるほどです。

最近は特に過労死の問題が取り上げられています。
勤務医を対象に行った調査ではここ1ヶ月の休日が4日以下であったという人は全体の約45%という酷い結果が出ています。

中には休日がゼロだったという人が9%にも及んでおり、多くの人が満足できない労働環境となっているのです。

建前上では週休1日か2日とはなっているものの、ほとんどの病院勤務の方がほぼ毎日病院に拘束されてしまっていることが現状です。

翌日が休みであったとしても、当日になったらいつ呼び出しの電話がくるか分かりません。
医療従事者が減っている世の中においてその問題はなおさら加速しており、昨今はさらなる問題で休日が得られないというケースが増えているのです。

 

新型コロナウイルスの影響でますます休日出勤や残業が増える時代に

人生の質や生活の質といったQOL(クオリティ オブ ライフ)の追求ができない世界である医療ですが、感染の拡大を続ける新型コロナウイルスの未知なる脅威にも悩まされていることから、より一層厳しい世界となりました。

そんな問題にフォーカスを当てて医療従事者の厳しい労働環境を取り上げているテレビ番組がたくさんありますが、実際にはこうなる以前から厳しい環境であったことが伝わらずに悔しさを感じている方は多くいることでしょう。

しかし、こうした世間に公表することで、残業代に関する問題を取り上げるメディアも増えました。
これにより以前とは風潮が変わったと言えるでしょう。

医療の現場は昔から残業や休日出勤が多かったからと言って、誰も労働基準法に違反しているという状態を声に挙げてきませんでした。

それ故に残業代請求が可能であったにも関わらず、請求をしないというケースが増えており、働き損となっている人が多くなっています。
この問題は新人であればあるほどなかなか声に出せないものです。

既に医療従事者として長らく務めているのであれば今一度月間の勤務時間や給与明細書を見直してみましょう。

異常があれば上に言う必要がありますし、自身が問題を定義することでその下で働く勤務医も問題に声を挙げやすい職場環境になっていくでしょう。

 

医師が残業代や割増賃金を得られる条件とは?

それでは最後に残業代や割増賃金の問題が発生する条件を見ていきましょう。
これを理解しておくことで、病院で働く一人の医療従事者として本来できる正しい働き方を知ることができます。
 

法定労働時間を超えて働いていた

労働基準法というのは基準となる法定労働時間が定められており、基本的に1日8時間、1週間に40時間という基準があります。

ただしこれは病院のように変形労働時間制となっている場合は月単位や年単位で計算され、年俸制であると一定までの残業代が年俸に含まれるようになります。

変形労働時間制であっても法律で決められた時間よりも長く働いていたようであれば残業代の請求が可能で、年俸制であっても年俸に入っている分以上の労働を行えば残業代が発生するので請求を検討してみましょう。
 

所定労働時間を超えて働いていた

病院と行った契約以上の所定労働時間になっている場合、それが法定労働時間の範囲内であっても残業代の請求ができるようになっています。
今一度所定労働時間を確認してみましょう。
 

休日出勤をしていた

労働基準法では労働者には週に1回以上の法定休日が与えられ、休日出勤があれば通常の賃金に加えて割増賃金を請求できるのが普通です。

割増賃金は1.35倍以上です。
残業代の請求をするのとしないのでは大違いなのが分かるでしょう。
 

深夜労働をしていた

病院勤務では当たり前のようにある深夜労働も残業代を請求できるケースです。
深夜の割増賃金が適用されるので休日出勤同様に多くの請求ができます。

休日の深夜労働となれば休日出勤の35%割り増しと、深夜の割り増し25%どちらも加算され、1.6倍もの割増賃金率となります。

これらの残業代請求を行うには労働条件や支払われた給与の内容がわかる資料が必要です。
労働契約書や雇用条件通知書、就業規則のコピーに加え給与明細書が残業代請求の証拠となります。
残業時間の証拠として役立つものにはシフト表やタイムカード、勤怠記録、業務日報などがあるので、1円でも多くの残業代を得るためにはこれらも用意しましょう。
 

まとめ

多くの病院で見られる残業代の問題は宿直勤務や休日出勤などといった様々な厳しい業務から来ています。

忙しさのあまり残業代の請求すらもしない、もしくは請求することでより一層過酷な労働環境になってしまうと恐れ、残業代の請求を自らできない人が多いです。
困っているようであれば弁護士に相談するのも一つの手です。

法的な話しを用いて進めてくれるため、安心して残業代を請求できるようになっています。
残業代が手に入らなかった悔しい思いでいっぱいになる前にやっておきましょう。

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