医師や薬剤者として働いている人たちは厳しい労働環境にあると言います。常に人材募集を行っているほど危機的状況である何とかして現状打破できないのかと悩む人が多くいます。
そしてその問題を唱える一部の間の人は専門業務型裁量労働制を基本にすべきだと言われています。
果たして専門業務型裁量労働制とはどんな制度なのでしょうか?
この記事では、専門業務型裁量労働制にフォーカスをあて、今後の医療や薬剤師の現場がどうなっていくのかを予想解説します。医療・薬剤の今後が気になる方はぜひご覧ください。
専門業務型裁量労働制とは?
そもそも専門業務型裁量労働制とは何なのか説明していきましょう。
専門業務型裁量労働制は、労働基準法第38条の3に基づく制度であります。
厚生労働省のホームページを見てみると専門業務型裁量労働制は以下のような説明が書かれています。
- 「業務の性質上、業務遂行の手段や方法、時間配分等を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある業務として厚生労働省令及び厚生労働大臣告示によって定められた業務の中から、対象となる業務を労使で定め、労働者を実際にその業務に就かせた場合、労使であらかじめ定めた時間働いたものとみなす制度です。
ただ、これだけでは少し分かりづらさを感じる人が多いことでしょう。専門業務型裁量労働制を簡単に説明すると、労働時間が長くても短くても、実際に働いた時間に左右されることなく契約した労働時間分を働いたことにする制度です。
例えば1日7時間の専門業務型裁量労働制の契約の下働いているスタッフが、実際に8時間働いた場合であっても5時間だけ働いた場合であっても、契約した7時間働いたことになるという制度です。
これは給与に反映されるものであり、契約以上に短い時間であっても契約分の給与がもらえます。
ただしこの制度は基本的には時間外労働という概念がないものになっています。
そのため専門業務型裁量労働制の契約を超えての労働があった場合でも、残業代が入らない可能性が高いのです。
医師や薬剤師は専門業務型裁量労働制が認められていない?
専門業務型裁量労働制というのは導入できる業務が決められています。
新商品若しくは新技術の研究開発又は人文科学若しくは自然科学に関する研究の業務
情報処理システム(電子計算機を使用して行う情報処理を目的として複数の要素が組み合わされた体系であってプログラムの設計の基本となるものをいう。)の分析又は設計の業務
新聞若しくは出版の事業における記事の取材若しくは編集の業務又は放送番組の制作のための取材若しくは編集の業務
といったような業務が対象になっており、全部で19の業務がその対象になります。
デザイン考案やディレクター業務、ソフトウェアの創作業務に、アナリスト業務など、様々な業務に対応はしていますが、残念ながら医師や薬剤師は専門業務型裁量労働制が認められていない業務になっているのです。
詳しく言えば大学病院の教授、助教授、講師のみは適用可能ですが、それ以外は適用不可のためほとんどの勤務医はこの制度を受けられません。
昼夜問わず働く医療従事者は激務だと言われています。
多くの病院が長時間労働をしなければいけない程の人手不足にも陥っており、専門業務型裁量労働制を導入したとしても果たして満足いく労働環境になるのかどうかが定かではないのです。
しかしながら、医療の世界にも他にも問題となっていることがたくさんあります。
医療の世界では残業代の不払いが問題視されている
病院で働く勤務医の多くは、給与に対して過重労働であるという声が挙がっています。
連続40時間勤務に、月の休みは3日ほどといったような労働環境になっており、多くの人が働きすぎています。
それに加えて宿直勤務として、とりあえず患者に何かあった時のためにと施設内に寝泊まりしている勤務医もいるほどです。
そしてその宿直勤務において睡眠を取らずに労働を行っているにも関わらず仮眠時間や休憩時間として扱われており、実際労働の対価を得られていないことが多く見受けられます。
本来であればその時間帯は深夜割増賃金によって法定割増率の1.25
の給与を貰えるはずですが、このような結果になってしまっていては医療の現場を離れる人が多いのも納得いくことでしょう。
残業も当たり前となっている病院では看護職員の約7割がサービス残業をしているという結果が出ており、そしてその中の2割の人は不払いとなっている残業代の請求も行っていない結果になっているのです。
このままの状態が続くのであれば医療の崩壊が続く一方でしょう。
専門業務型裁量労働制は基本にすべきと唱えた大学臨床系教員
2019年5月31日、全国医学部長病院長会議が開かれ、そこに参加した大学医学部・大学病院に勤務する臨床系教員は、専門業務型裁量労働制を基本とするべきだと述べました。
専門業務型裁量労働制を導入することで労働時間全体がみなし労働時間と大きく乖離しないように適切に把握し管理し、時間外の教育・臨床業務に対しては適正な処遇を行うこと、さらには格段の健康確保措置を行うことが必要であると提言しました。
専門業務型裁量労働制は、国立大学医学部・病院は30大学超、私立大学医学部・病院は2大学には採用されているものの、教授、助教授、講師のみが受けられる制度となっています。
そのため実際には医療の働き方改革を実現するのが難しく、ほとんどの勤務医が何の支援もないままこれまでと同じような労働を強いられています。
これからは専門業務型裁量労働制を基本とし医師の人材育成やキャリアパスを適切に考慮すべき時代だと提言しているのです。
これからは病院の再編・統合を含めた医療提供体制の見直しも視野に入れながら、医師の適正配置を検討すべきだとも発言する姿が見られました。
果たして臨床系教員らが唱える願いは国に認められるのでしょうか?
医師や薬剤師の世界の今後はどうなるのか?
医師は過酷な労働により退職、薬剤師は他の企業に委ねるM&Aを行うなど、どんどん人手不足が深刻となるこれらの2つの業務。
しかし、2020年現在新型コロナウイルスの影響によって、少しはその問題解決につながるのではないかと考えられています。
新型コロナウイルスに感染し重症と診断される人が多かった2020年春、多くの人が病院に運び込まれる事態となりました。その間病院で働く勤務医は一息つく暇もなく働き続け、一次は医療崩壊寸前にまで陥ったのです。
しかしながら緊急事態宣言の発令によって病院は多少落ちつきを見せ、重症患者の数は一気に減りました。ただ、今もなお病院はコロナとの脅威に戦い続けなければならない状況です。
新型コロナウイルスの影響は今後どう表れてくるのか予想がつきません。
コロナによって医療現場の厳しい状況をテレビやインターネットで取り上げられることは多いですが、実際にはやはり人手不足が否めない状況です。
今後はより多くの人材の確保のためとして、優れた労働環境にしなければいけないでしょう。医療を担う人物が居なくなってしまってはいけません。
コロナによって勤務医の働き方に注目が集まっている今、病院の労働環境が見直されるのではないかと囁かれています。
まとめ
専門業務型裁量労働制は、医師や薬剤師の世界にはまだまだ浸透しきっていません。
契約以下の時間でも契約同等の給与が得られるものとして素晴らしいメリットが得られるにも関わらず、病院や薬剤師に導入できない理由は決められた業務を行う企業のみにしか導入できない定めがあります。
そしてこれら2つの企業は厳しい残業や休日出勤などがあり、多くの人が退く世界となっています。
今はコロナウイルスの影響もあってその過酷な労働状況の現実知れる情報がたくさん出ているため、少しはこの状況を打破できるのはないかと囁かれています。
確実に厳しい常用を抜け出すためには医療に直接かかわっている人達の協力が必要です。
残業代に悩んでいるのであれば、積極的に残業代申請を行い、どんな人にもやりがいある仕事だと言うことを伝えなければいけないでしょう。