2020.01.15 2022.12.20

残業代請求されないための施策とは

残業代請求されないための施策とは

厳しい経営状態の中、サービス残業が常態化している企業もあるかもしれません。しかし、本来支払うべき残業代を支払わずにいると、後で残業代請求をめぐって従業員とトラブルになってしまうおそれがあります。
 

従業員から未払い残業代の請求は経営リスクになる

もし従業員から未払い残業代を請求された場合、それは経営上大きなリスクになりえます。
1人あたりの支払額が100万円単位になることも珍しくなく、しかも1人が請求すれば他の従業員も続々と請求を始める可能性があるからです。
特に、裁判で従業員側が勝訴したような場合では、本来支払われるべきだったはずの残業代に加え、遅延損害金の支払いも課せられるため、最終的な支払い額は莫大なものになります。
そうなれば、会社の財政的基盤が大きく揺らぎ、倒産という最悪の事態も見えてきます。
さらに、ブラック企業というレッテル貼りによる、企業イメージの低下も会社にとっては大きな痛手です。

 

残業代関連のトラブルを未然に防ぐための施策

残業代関連のトラブルを未然に防ぐためには、従業員に「違法な残業をさせない」ことがポイントです。
もし現在サービス残業が常態化しているのであれば、早急に社内の管理体制や賃金体系などを見直す必要があります。

 

労働時間管理を見直す

まず、従業員の労働時間管理を徹底することが大切です。
従業員の労働時間管理は会社側の義務です。
「従業員が何時間働いているのか」「どれくらい残業しているのか」という点を把握しておかないと、いざ裁判になったときに負けてしまいます。
タイムカードを導入するなど、裁判時に従業員の労働時間・残業時間を証明できるような客観的証拠を用意しておきましょう。

 

従業員の処遇を見直す

管理職となっている従業員がいる場合は、必要に応じてその処遇を見直す必要があるかもしれません。
会社としては管理職には残業代を支払う義務はありません。しかし、その従業員が本当に「管理職」といえるかどうかは、従業員の待遇などの点から実質的に判断されます。
いわゆる「名ばかり管理職」は管理職としては認められないので、注意しましょう。

 

事業場外みなし労働時間制を導入する

外回りの営業職がいるなど、労働時間の把握が難しい場合は、事業外みなし労働時間制を導入するという方法もあります。
これは、「会社以外の場所で働いた場合に、所定の時間労働したとみなす」という制度です。
事業場外みなし労働時間制を採用すると、従業員の労働時間管理が容易になります。
さらに、適切に運用すれば残業代請求の可能性を減らすことも可能です。

 

裁量労働制やフレックスタイム制を導入する

裁量労働制やフレックスタイム制を導入するといった対策も考えられます。
例えば、専門職(デザイナー、研究開発など)や、企画担当部署にいる従業員など、職種によっては裁量労働制(専門業務型裁量労働制・企画業務型裁量労働制)を採用できる場合があります。裁量労働制を導入すると、仕事の進め方など労働者側の大幅な裁量が認められる代わり、会社側が残業代を支払う義務もなくなります。
また、フレックスタイム制を導入した場合も残業代の計算ルールが変わるため、残業代請求リスクの軽減につながります。

 

賃金体系を見直す

残業代を含めた年俸で契約をしている、固定給に占めるみなし残業代の割合が高い、といった場合は、違法の疑いがあります。こうしたケースでは、賃金体系の見直しも必要です。

 

残業代請求対策は弁護士に

残業代請求リスクに備えるためには、ときに大きな社内制度改革が必要になります。
適法に、また適切な制度設計・運用を行うためにも、現在の制度を見直す際は一度弁護士にご相談ください。

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