2020.01.10 2022.12.20

残業代請求で集めるべき証拠

残業代請求で集めるべき証拠
  • 勤務先からきちんと残業代が払われていない…
  • 残業代請求をしたいけれど、手持ちの証拠が不足しているのでは?
  • 残業代請求にはどんな証拠が必要なのか?集め方は?

未払い残業代を請求するには証拠が必要です。ただし日報やタイムカードなどの記録が揃っていなくても残業代を計算・請求できる可能性があります。

今回は残業代請求でどのような証拠を集めたら良いのか、解説します。
 

1.残業代請求で証拠が必要な理由

未払いの残業代を請求する際、証拠がなかったらどんな問題が発生するのでしょうか?

1-1.計算の根拠を明らかにできない

未払い残業代を請求したら、企業側は根拠を示すよう要求するものです。「なぜそのような金額になるのか」「そもそも残業代が発生しているのか?」聞かれるでしょう。
証拠がなかったら残業代が発生していることを証明できませんし、金額の根拠も示せません。企業側は支払いに応じないでしょうし、拒絶されたときにそれ以上追及できなくなってしまいます。

1-2.労働審判や訴訟をしても負けてしまう

企業側が未払い残業代の支払を拒絶するなら、労働審判や訴訟を起こして請求する必要があります。しかし証拠がないことは裁判所も認めてくれません。支払い命令が出ないので残業代を払ってもらえなくなってしまいます。
このように、証拠がないと未払い残業代を払ってもらえず「泣き寝入り」になってしまう可能性が高くなるので、証拠を揃えてから請求に臨む必要があります。
 

2.残業代請求で集めるべき証拠

残業代請求の際には、以下のような証拠を集めましょう。

2-1.給与額を証明する証拠

まず、あなたにどの程度の給与が支払われるべきなのか、実際に支払われたのはいくらだったのかを明らかにする必要があります。そのため以下の資料を集めましょう。

  • 労働条件通知書
  • 雇用契約書
  • 就業規則、賃金規定のコピー
  • 給与明細書

就業規則や賃金規定については会社に備え付けられているので、コピーをとりましょう。

2-2.残業時間を証明する証拠

残業時間を証明する証拠も必要です。以下のようなものを集めましょう。

タイムカード

労働時間が記録されるので有力な残業代の証拠になります。ただし早めにタイムカードを押してその後に残業させられる場合などもあるので、注意が必要です。
 

シフト表

シフト表通りに仕事をしたとは限りませんが、労働時間を示す資料になります。
 

営業日報、業務日誌

上司による承認印のあるもの、承認記録のあるものを集めましょう。
 

業務上のパソコンのログイン、ログオフ記録

仕事を始めた時間と終了した時間がわかるので、残業時間の証明になります。
 

上司からの残業の指示書、指示メール

その日残業をした事実の証明になります。
 

残業中にあなたが送信した業務上のメール

メールには送信時刻が記録されるので「その時間には残業をしていた」証明になります。
 

オフィスビルの入退館記録

退館時刻まで残業していたことの証明になります。
 

交通ICカードの記録

SuicaやPASMOなどのカードには、帰宅する際に電車を利用した時間が記録されるので残業時間の証明につながります。
 

タクシー代の領収証

残業が終わって帰宅するときに利用したタクシーの領収証です。捨てずに取っておきましょう。
 

スケジュール帳、手帳の記録

スケジュール帳や手帳に関しては、できるだけ1日のスケジュールが詳細に記載されている必要があります。また1日だけの記載ではなく毎日連続して記載されていると証拠力が高まります。

上記のすべてが常に必要なわけではありません。タイムカードやシフト表、営業日報などの記録がなくても残業代請求できる可能性はあります。はっきりと残業時間を「証明」できなくても推定計算できるケースなどもあります。

ただ、残業代請求を有利に進めるには「なるべく多くの証拠」が必要です。ケースや業種によっても集めるべき証拠が異なる場合があるので、迷ったときには弁護士までご相談下さい。
 

3.残業代の証拠保全について

3-1.証拠保全で会社の手持ち証拠を集められる

残業代請求を行うとき、自分で未払い残業代の証拠を集めるのが難しくなるケースが多々あります。タイムカードやシフト表、業務日誌、就業規則など「会社側が保管しているもの」が多いからです。特に退職したら、こういったものを自分で収集に行くのは困難です。
その場合、弁護士が「証拠保全」という方法で会社側が所持している証拠を収集できます。
証拠保全は裁判所を通じて行う手続きです。きちんと保全されればその後に会社が破棄隠匿するおそれもなくなります。

3-2.証拠保全を行うタイミング

証拠保全は会社に残業代請求の通知を送る前にしなければなりません。請求をしてしまったら、隠蔽や改ざんが行われる可能性が高くなるからです。
残業代請求をしたいときには、自分で会社側に請求する前に弁護士に相談してください。

未払い残業代を請求するとき、証拠集めの段階から弁護士に相談していると有利に進められる可能性が高まります。お悩みの方がおられましたらお気軽にご相談下さい。

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