2020.02.10 2022.12.20

介護職の残業代請求

介護職の残業代請求

今後も続く高齢化社会で介護職の方の需要は高まっていますが、『人手不足』『低賃金』『過酷な仕事』など、介護職のイメージはあまり良いとは言えないことも多いです。

実際に介護職として働かれている方は、上記のような問題を抱えている職場に勤めている方も多いでしょう。

今回は、介護職の方の残業代請求にフォーカスを当てて、残業事情や残業代請求の方法についてお伝えします。
 

介護職の残業事情

まずは介護職の残業事情についてまとめました。
 

介護職はサービス残業が多い

介護職の平均残業に関する調査結果は見当たりませんでしたが、全労連介護・ヘルパーネットが行った、介護施設で働く方7,000名対象の調査によると、6割以上の方が1ヶ月で1度はサービス残業があったと答えています。

多くの職場でサービス残業が横行しており、さも当たり前のようになっているのです。先にお伝えしておきますと、「介護職だからサービス残業も許される」などといったことは一切ありません。

参考:「介護職員の6割が無給で残業!みんなの介護」「介護職の半数、残業「正確に申告せず」|朝日新聞」

介護職の残業が長くなる原因

では、なぜ介護の現場では残業時間が増えてしまうのでしょうか?
 

人手不足

最初の理由として、人手不足が挙げられます。

『過酷で低賃金の職場』→『離職』→『人手不足』の悪循環で人員が足りていない会社も多いと考えられ、さらには、高齢化によって利用者が増えていることも介護職の人手不足に拍車をかけます。

結果的に1人の職員の負担が大きくなり、「なかなか休めない」「仕事が終わらない」という事態に陥ります。
 

現場以外の業務が残っている

介護の仕事と言えば現場での仕事ですが、もちろんそれだけではありません。現場での仕事以外にも、記録や報告書作成などのデスクワークが残っています。

介護業界では、これらデスクワークが軽んじられ、通常の労働時間外に設けられていることも多いです。結果的に長時間労働やサービス残業の要因となっています。
 

緊急事態で変動があることが多い

介護の現場は人が相手で24時間対応のお仕事ですから、緊急事態も多くあります。特に相手は介護が必要な方ですから、体調不良や事故などのトラブルも起きやすくなります。

上記の人手不足も相まって、対応できる職員が少なく、結果的に1人に長時間労働やサービス残業などのしわ寄せが及びます。
 

介護職で未払い残業代が発生しやすい理由

上記で6割以上の方がサービス残業をしているとお伝えしましたが、なぜ介護職にはサービス残業が横行しているのでしょうか?
 

介護業界で当たり前のようになっている

多くの方がサービス残業をしていることが悪い方向に働いて、サービス残業が当たり前という風潮が出来上がっていると言えます。

本来は残業代が発生している状況でも、「介護職では当たり前」と、残業代の支払いが見逃されていることも多いです。
 

準備や報告書作成の仕事が労働時間として換算されない

介護職では、現場での仕事以外が軽んじられ、そこでの作業時間が労働時間と考えられないことがあります。

報告書作成や準備、送迎、待機時間など、本来では労働時間である部分が労働時間と考えられていないケースが考えられます。
 

報酬や名ばかりの役職を与えて残業代未払いの理由にしている

介護職では、介護報酬や主任報酬などの報酬によって残業代の代わりとされているケースがあります。

しかし、実際は未払い残業代の隠れ蓑に過ぎず、正しく残業代が支払われていないことも多いです。
 

介護職の方が残業代請求をする方法

上記のようなケースに当てはまる方は、残業代が未払いになっている可能性が考えられます。雇用契約書やタイムカードなど、具体的な状況が分かる資料を持って、一度弁護士に相談することをおすすめします。

高額な未払い残業代が生じていることもあるでしょう。こちらでは、残業代請求の方法をご紹介します。
 

証拠をしっかり集めておく

残業代請求を行うにあたって、証拠の存在は重要です。根拠を持って請求しなければ、会社も応じてはくれませんし、仮に訴訟などの裁判所が介する手続きを取っても認められる可能性が下がります。

証拠の種類 証拠の例
労働契約の内容が分かる物 雇用契約書
就業規則
実際の残業が分かる物 タイムカード
出退勤時間が分かる物
残業の経緯が分かる物 指示書
上司からのメール
実際の支払われた金額が分かるもの 給与明細
源泉徴収票

残業代請求をするには、できるだけ多く上記のような証拠を揃えておきましょう。
 

交渉や内容証明郵便での請求

まずは、裁判所を介さずに直接会社に請求をする方法があります。会社が応じてくれれば、手っ取り早く残業代請求を済ませることができます。

ご自身だけでの請求も可能ですが、本人だけで請求しても会社が応じてくれることは少ないので、必要に応じて弁護士に依頼することも検討しましょう。
 

労働基準監督署への報告

今の職場は離れずに、残業代をきちんと払ってもらうために改善したい場合は、労働基準監督署への報告も有効です。

ただし、主な流れとしては、『労基署への報告』→『労基署の調査』→『労基署から会社へ指導』→『改善』となりますので、改善まである程度の時間がかかりますし、しっかりした証拠がなければ労基署もあまり動いてはくれません。
 

裁判所を介して請求

交渉や内容証明郵便での請求で会社が応じてくれない場合、労働審判や訴訟など、裁判所を介した残業代請求もできます。

第三者である裁判所が関わってきますので、証拠の存在がより重要になります。
 

まとめ

介護職は長時間労働や未払い残業代も多いと考えられる職業です。業界でサービス残業が多いという理由は通用せず、発生した残業代はしっかり支払われるべきです。

未払い残業代が少しでも考えられる方は、弁護士に相談し、実際の未払い残業代や請求についてアドバイスをもらいましょう。

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