仕事終わりの会食や休日のゴルフなど、取引先との接待が多い方もおられるでしょう。月に一度程度であれば、多い方は週に何度も接待することもあります。
そこで気になることが「接待は労働時間になるのか?」ということ。
接待が多い方は、接待だけで週に何10時間も使っていることもあります。それが労働時間になれば、残業代としても相当なものになりますね。
今回は、接待が労働時間になる条件や労働時間の考え方などについてご説明します。
接待は労働時間になる?
接待が労働時間になるかどうかはケースバイケースです。接待と言えば、飲食店での会食が主になりますが、それ以外にも休日のゴルフやスポーツ観戦などがあります。会食以外でも接待となるものは労働時間と判断される可能性があります。
それでは、どのようなケースで接待が労働時間になるのかを以下でご説明します。
接待が労働時間と認められるケース・ならないケース
こちらでは、接待が労働時間になるケースとならないケースについて分けてご説明します。
接待が労働時間と認められるケース
接待が労働時間と認められるには、強制参加であって業務と深い関わりがある接待の時のみです。
業務上必要な接待
接待では仕事の話をすることが大半でしょうが、その中でも特に業務上必要な話をする場合には労働時間と認められる可能性が高くなります。
例えば、接待の中で取引先と契約を結ぶ最終的な話をしたり、接待の前半は打ち合わせを行ったりした場合には、業務上必要な接待として労働時間になり得ます。
参加が義務付けられている・指示されている
会社から接待に強制的に出席するように命じられているようであれば、労働時間と判断されやすいです。
また、接待に参加するように直接命令や指示がされていなくても、接待に参加しないことで降格、減給などの不利益を受ける状況にあれば、黙示的な命令として労働時間と判断される可能性があります。
接待中に業務がある
上記の内容とも似ていますが、接待中に何かしらの業務を行う必要があれば、労働時間と判断される可能性が高くなります。
例えば、接待の準備段取りが必要であったり、司会進行を行ったり、参加者の送迎を行う場合です。
接待が労働時間にはならないケース
一方、参加は自由で取引先との交流が主な目的の接待の場合、労働時間と判断される可能性が低いです。
懇親がメインの接待
取引先との接待でも、親睦を深め合うことが主な接待では労働時間とは判断されにくいです。
取引先との接待ですので、結果的に仕事の話にはなるでしょうが、契約や打ち合わせなどの業務で必要な目的がなかったとすれば、労働時間にはなりにくいです。
自由参加である
自由参加の接待であれば労働時間になる可能性は低いです。そもそも参加を断れる状況で行きたくないのであれば、自身の意思で断れば良いだけですからね。
一方、上記でも触れましたが、参加を拒否することで不利益が生じるようなケースでは、黙示的に参加を強制されられているとも判断できます。
接待の労働時間も残業代請求の対象
接待は通常の労働時間以外に設けられていることがほとんどです。その場合、上記でご説明した『労働時間になるケース』に該当する接待は、残業をしていると考えることができますね。
接待の時間の残業代が貰えていない方は、未払い残業代請求ができる可能性があります。
ただ、多くの方が1ヶ月で接待に要する時間は10時間前後でしょう。接待だけの未払い残業代の額も1~3万円程度と、そこまで高額なものになるとは考えられません。
いきなり残業代請求から行うと、会社との関係性も悪くなることが考えられますので、まずは接待の時間に対する賃金の扱いについて会社と話し合うことから始めると良いでしょう。
一方、サービス残業などで他の未払い残業代も考えられる方は、残業代請求に踏み切ってみても良いです。お伝えしたように、『労働時間になり得る接待』に当てはまると考えられる方は、他の未払い残業代と一緒に請求できます。
いずれにしても、未払い残業代の計算は複雑になりますし、接待の労働時間にする判断も難しいところです。残業代請求を前向きに考えている方は、ぜひ弁護士に相談してみてください。
まとめ
今回は、接待と労働時間についてご説明しました。
労働時間になり得る | 労働時間にならない |
---|---|
業務上必要な接待 参加の強制や指示がされている 接待中に業務がある |
親睦がメインの接待 自由参加の接待 |
まとめると、上記のようにして労働時間になるか否かを分けることができます。ただ、実際にはケースバイケースで判断が難しい部分もありますので、弁護士に質問・相談してみるとより明確な回答をもらえるでしょう。
また、『労働時間になり得る接待』に該当している方は、接待中の未払い賃金があるとも考えられえます。いきなり残業代請求をすると会社との関係性も悪くなり得ますので、まずは接待中の賃金の在り方について話し合ってみることもおすすめです。
他にも未払い残業代があり得ると考えられ方や、長時間拘束される接待が月に何回もある方は、弁護士に相談の上、残業代請求を試みても良いでしょう。