2020.03.24 2022.12.20

36協定とは

36協定とは

許される残業・許されない残業とは?

使用者は、法定労働時間を超えてまたは法定休日に労働させることができないのが原則です。しかし、法律では、その例外として、①災害・公務による臨時の必要がある場合、および、②労使協定が締結されている場合には、法定労働時間を超える労働(時間外労働)や法定休日における労働(休日労働)をさせることができると定められています。
②の労使協定については、労働基準法36条1項に定められていることから、36協定(さぶろくきょうてい)と呼ばれます。今回は、この36協定について解説していきます。
 

36協定の概要

労働基準法では、労働時間は原則として、1日8時間・週40時間以内とされています。これを法定労働時間といいます。
使用者は、事業場の過半数代表と労使契約を締結して、これを行政官庁に届け出た場合、その定めに従って、法定労働時間を超えて時間外・休日労働をさせることができます(36協定)。もっとも、この労使協定自体は、労働基準法上の規制を解除する効力を有するにすぎません。そのため、使用者が個々の労働者に時間外労働・休日残業を命じるためには、労働契約上、時間外・休日労働義務を設定しておくことが必要となります。
 

36協定で定める事項

36協定には、①時間外・休日労働の具体的事由、②業務の種類、③労働者の数、④1日および1日を超える一定の期間についての延長時間の限度(休日労働の場合は労働させることのできる休日)、⑤有効期間を記載し、定められた書式によってこれを行政官庁に届け出なければなりません。
 

時間外労働に上限はある?

2018(平成30)年6月に労働基準法が改正され、36協定で定める時間外労働に罰則付きの上限が設けられることとなりました。この改正法は、2019年4月からの施行です。ただし、中小企業への適用は、2020年4月からです。
時間外労働の上限(「限度時間」)は、月45時間・年360時間となり、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることができません。
臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、年720時間、複数月平均80時間以内(休日労働含む)、月100時間未満(休日労働を含む)を超えることはできません。また、月45時間を超えることができるのは、年間6か月までです。
 

使用者側として留意すべき事項

使用者として、労働者にさせる時間外労働・休日労働は必要最小限にとどめなければなりません。
使用者は、36協定の範囲内であっても労働者に対する安全配慮義務を負います。また、労働時間が長くなるほど過労死との関連性が強まることに留意する必要があります。
1週間当たり40時間を超える労働時間が月45時間を超えて長くなるほど、業務と脳・心臓疾患の発症との関連が徐々に強まるとされていること・1週間当たり40時間を超える労働時間が月100時間または2~6か月平均で80時間を超える場合には、業務と脳・心臓疾患の発症との関連性が強いとされていることに留意しなければなりません。
 

おわりに

休日・時間外労働規制については、近年話題の過労死等の痛ましい事件を受けて、一層厳格に規制がされることとなりました。使用者は、労働者の人生について、責任を負ってはくれません。自身の労働時間については、自身でのきちんと管理し、上記の規制を超える労働を強制される場合には、労働基準局や弁護士に相談しましょう。

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