2020.04.07 2022.12.20

残業代の深夜割増

残業代の深夜割増

残業をしたら割増賃金を支払うことは当然ですが、さらに深夜にも残業すれば、深夜割増も支払われることとなります。
深夜労働とは、22時から翌日5時までの時間での労働のことで、その時間帯は通常の賃金の1.25倍の割増賃金が発生します。
深夜時間での残業になれば、残業分の割増賃金も合わさり、1.5倍の割増賃金が発生します。
残業代は貰えていても、深夜割増まで貰えていないという労働者の方も多いですので、今回は、残業代の深夜割増についての決まりや計算方法についてご説明します。
 

残業代の深夜割増のルールと計算方法

早速ですが、残業代の深夜割増についての決まりと計算方法についてご説明します。
冒頭でもお伝えした内容をもう少し詳しく解説します。
 

深夜労働は何時から?

労働基準法では、22時から翌日5時までの間が深夜労働とされています。
たとえば法定労働時間での退勤時間が19時だった場合に23時に退勤した場合、4時間残業したことになりますが、そのうちの1時間は深夜残業となります。
 

 
深夜残業になることで、通常の残業代の割増賃金に深夜割増が追加されます。
ですので、22時を超えて働くことが多い方は、深夜割増もきちんと給与に含まれているのかを確認する必要があります。
 

割増賃金の一覧

残業時間(時間外労働) 1.25倍
深夜労働 1.25倍
休日労働 1.35倍
深夜残業 1.5倍
休日残業 1.6倍

割増賃金として通常の賃金よりも多くの貰えるものをまとめると上記のようになります。

残業時間と深夜労働の割増率はそれぞれ1.25倍となっていますので、残業と深夜労働を同時に行っている深夜残業では1.5倍となってくるわけです。
 

 
これを先ほどの例に当てはめると、上記のような割増賃金の違いが出てきます。
 

深夜残業をした場合の残業代計算例

それでは、実際に金額を当てはめてみて計算をしてみましょう。
分かりやすいように通常の賃金を1時間1,000円と想定します。
 

 
何度か例を挙げている上の1日の労働時間のケースで計算してみると、以下のように計算することができます。

法定労働時間 1,000円×8時間=8,000円
残業時間 1,250円×3時間=3,750円
深夜残業 1,500円×1時間=1,500円
合計 8,000円+3,750円+1,500円=13,250円

 
残業による割増賃金が3,750円、深夜残業の割増賃金が1,500円となりました。
 

深夜残業の悪影響|なるべく深夜残業は避けよう

好き好んで深夜残業をする方は少ないでしょうが、「割増賃金が貰えるなら…」と、多少の深夜残業を受け入れてしまう方がいるかもしれません。
たまの深夜残業であれば目をつぶることができますが、あまりにも深夜残業が続くようであれば、改善を図ったり場合によっては転職も考えるべきでしょう。
深夜残業には以下のようなリスクがあります。
 

長時間労働は過労死の危険性を高める

深夜残業が続く会社では、長時間労働も起こっていると考えられます。
1ヶ月80時間を超える残業は、『過労死ライン』とも呼ばれ、過労死と長時間労働の因果関係が深くなります。
仮にきちんと割増賃金を貰えていて、給与面で満足出来ていたとしても、あなた自身が身体を壊してしまえば元も子もありません。
若いうちは体力で乗り切れるかもしれませんが、長時間労働が長く続くうちに疲労も蓄積し、いつどのような影響が出るか分かりません。
 

終電を逃してしまうと悪循環へ…

公共機関を使って通勤している方も多いでしょうが、深夜残業をすれば電車やバスが動いていない時間帯に仕事が終わることもありますね。
そうなると、会社や近くのホテルやネットカフェなどで寝泊まりするような生活が始まります。
長時間労働での疲労に加えて睡眠の質も下がったとすれば、必ず翌日の仕事へと悪影響を及ぼすと言えます。
結果的に決まった時間内で仕事が終わらず、また残業して、また深夜まで働いて…と、悪循環が生まれます。
 

会社にとっても人件費が痛手

深夜残業は会社にとっても痛手です。
本来では支払う必要がない賃金でも、深夜残業をすることで1.5倍もの賃金を支払う必要が出てきます。
会社の観点から言えば、これは人件費として会社の経費を圧迫します。
真っ当な考えをする会社であれば、「いかにして残業を減らすか?」と考えるのですが、悪質な会社であれば「どうやって残業代を払わずに済むのか?」という考えをしてしまいます。
結果的に未払い残業代が発生してしまい、労働者が不利益を被ることとなるのです。
 

深夜残業を減らしてなるべく早く帰る方法

このように、深夜残業が続く状況には良いことはありません。
たまの深夜残業であったり、きちんと割増賃金が支払われているのであればまだ良いのですが、毎日続くようであったり、未払い賃金がある場合にはすぐにでも改善に動くべきでしょう。
こちらでは、少しでも深夜残業を減らす方法についてご説明します。
 

退勤後の予定を入れる

残業することが当たり前になっている方は、働く前から残業をするテイで働き始める方も多いと思います。
習い事に通ったり、見たいテレビ番組などを決めておくだけでも「何とかその時間には帰りたい」と、効率的に働く方法を考えてくれます。
特に人と会う約束であれば、いつまでも残業することで他人に迷惑をかけてしまい、より本気度が増すのでおすすめです。
まずは残業しないために仕事終わりの予定を作っていきましょう。
 

未払い残業代の請求を行う

お伝えの通り、深夜残業は会社にとって人件費を圧迫する要因の1つです。
もし残業代がきちんと支払われていないようであれば、未払い残業代の請求をしっかり行ってください。
残業代を払わなければならない状態になれば、会社側も無駄な残業は嫌いますので、結果的に残業も少なくなっていくでしょう。
ご自身だけでも残業代請求は可能ですが、第三者の介入があることで会社側も応じてくれやすくなります。
労働基準監督署への報告や弁護士への相談も検討してみてください。
 

転職も検討する

上記のような方法を取ってみても、業務や人員的に簡単には改善できない状況もあるでしょう。
そのような場合、思い切って転職することも考えましょう。
長時間労働が続けば、ご自身の時間は取れませんし、身体への負担も蓄積していきます。
あまりにも改善が難しいと分かった時には、少しでも早く今の環境から離れることも考えましょう。
 

まとめ

深夜労働は、22時から翌日5時までの時間での労働のことで、その時間帯は通常の賃金の1.25倍の割増賃金が発生します。
深夜時間での残業になれば、残業分の割増賃金も合わさり、1.5倍の割増賃金が発生します。
まずは、ご自身の給与にきちんと深夜割増まで計算された残業代が支払われているかを確認しましょう。
もし支払われていないようであれば、未払い残業代請求を検討してください。
仮にきちんと割増賃金が支払われていても、深夜残業が続く環境は良いとは言えません。
改善を図ったり、転職することも検討してみてください。

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