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パラリーガル求人に見る「正社員」と「契約社員」の違い|よくある誤解『試用期間=契約社員』の注意点
2025.11.26 パラリーガル・法律事務員向け 若手・第2新卒の方向け
パラリーガルの雇用形態には「正社員」と「契約社員」がある
パラリーガル求人を見ると、
最初から正社員として採用する事務所もあれば、
「まず契約社員から」という事務所もあります。
同じ事務職なのに雇用形態が分かれるのは、
法律事務所ごとの採用方針や働き方が大きく異なるからです。
特に、初めて法律業界に挑戦する方にとっては、
「どちらが安心できるのか?」
「契約社員って大丈夫なの?」
という点が気になるのではないでしょうか。
この記事では、求職者の視点から
“正社員”と “契約社員”の違いをわかりやすく整理します。
正社員と契約社員(有期雇用)の比較表
| 項目 | 正社員(無期雇用) | 契約社員(有期雇用) |
|---|---|---|
| 雇用期間 | 期間の定めなし(安定性が高い) | 契約ごとに期間が区切られる(更新あり/なし) |
| 雇用の安定性 | 高い。長期前提で育成される | 契約満了で終了する可能性がある |
| 会社側の主な目的 | 安定的に育成・戦力化 | 適性を見て、正社員にするか判断したい |
| 待遇・福利厚生 | 基本的にフル適用 | 事務所によって差が出る場合がある |
| 賞与・昇給 | 制度が適用されやすい | 契約社員期間中は対象外となることが多い |
| 教育体制 | 育成前提。OJTが手厚い | 試用的意味が強い |
| キャリア形成 | 長期的な成長プランが立てやすい | 先が読みにくく、昇給に不連続性が出やすい |
| 求職者のメリット | 安定・育成・将来設計がしやすい | 明確なメリットはほぼなし(唯一「合わなければ契約満了で辞めやすい」程度) |
| 向いている人 | 腰を据えて長期的に働き、専門性を身につけたい人 | 一旦働いてみたい人?? |
なぜパラリーガルを“契約社員スタート”にするのか?
契約社員は会社側が採用リスクを抑えるための仕組みです
契約社員の場合、例えば、半年や1年の契約にしておいてその期間を満了すれば、雇用契約を終了させることができます。
つまり、従業員に簡単に合法的に退職してもらうための制度です。
そのため、会社としては、従業員にまずは短期間、半年や1年間働いてもらって、業務についてこれなければ「契約を更新せずに退職してもらう」という選択肢を持ちたいわけです。
業務ができない従業員には早急に退職してもらいたいと会社が考えていたり、新人の育成に十分な時間を割けなかったり、多忙な時期が続いてフォローがしにくい環境だったりすると、
契約社員制度が使われることがあります。
契約社員であれば会社は更新せず退職してもらう判断ができる
契約社員制度の最大の特徴は、
事務所側が更新しないという判断をしやすい点です。
「実際に働いてもらって、ついてこられない場合は契約満了」
という運用が可能なため、
採用側のリスクを下げられる仕組みになっています。
つまり、契約社員制度は
求職者に有利な制度ではなく、あくまで事務所側の都合による制度
というのが実際のところです。
研修体制が十分でない事務所で使われることがある
新人を最初から育てる体制が整っていない事務所では、
「まずは契約社員として一通り経験してもらいたい」
という考え方になることがあります。
しかし、これも事務所側の事情であり、
求職者にとってメリットとは言えません。
契約社員スタートの求職者側のメリットはほぼない
契約社員制度を使う事務所もありますが、
求職者にとっての明確なメリットはほぼありません。
もし職場の雰囲気や業務内容が自分に合わないと感じた場合、
契約期間満了という自然な形で退職しやすいという点はあります。
しかし、これは
「長く働ける職場を探している人」にとってメリットではありません。
また、正社員として採用された場合でも、職場の雰囲気や業務内容が自分に合わないと感じた場合には、普通に退職すればよいだけの話ですから、パラリーガルを契約社員でスタートすることは、求職者にとっては何もメリットがありません。
契約社員スタートのデメリット
雇用が安定しない
更新されるかどうかは事務所次第で、将来の見通しがつきにくい仕組みです。
昇給・賞与・待遇が変わる可能性がある
正社員と制度が違うことが多く、収入の見通しがつきにくくなります。
正社員登用が約束されているわけではない
“登用制度あり”と記載があっても、実際の登用率が低い場合もあります。
また、どの程度業務ができれば更新されることになるのかは、正社員になれるかは会社の判断によるので不透明です。
「会社の基準に達しない」、「ついて来れない」なら更新しない運用が可能
これは求職者にとって不安が生まれやすいポイントです。
つまり、契約社員制度は
事務所側の自由度が高い分、求職者側の不安定さも増える仕組み
と言えます。
最初から“正社員採用”の事務所の傾向
安心して働ける環境を提供したいと考えている
最初から正社員として迎える事務所は、
「長く働いてほしい」という前提で採用します。
その分、雇用の安定性が高く、
働く側の安心感は大きくなります。
「育成前提」の採用をしている
正社員採用の事務所は、
- マニュアル
- OJT
- 教育体制
などが整っており、
新人をサポートする準備があるため、
契約社員制度を使う必要がそもそもありません。
キャリアの見通しが立ちやすい
正社員であれば、
昇給・賞与・待遇が明確に一貫して適用されるため、
長期的なキャリアプランを描きやすい環境です。
よくある誤解!「試用期間=契約社員」ではありません
法律事務所の求人票を見ていると、
「試用期間あり(3か月)」
「試用期間中は契約社員(6か月)」
といった表記を見ることがあります。
ここが非常にややこしいのですが、
“試用期間中=契約社員”という意味ではありません。
●「試用期間中は契約社員」と記載されている場合
これは 単純に雇用形態が最初から契約社員スタート という意味です。
- 試用期間だから契約社員
ではなく - 契約社員として採用し、その期間を「試用期間」と呼んでいるだけ
です。
そして契約社員は有期契約なので、
事務所は契約期間の満了時に“更新しない”という判断ができます。
つまり、事務所側が「事務所の求める基準に達しない」「業務についてきていない」「適性がない」と考えれば、更新しないことによって、退職させることができることになります。
そのため、一見すると、正社員求人のように見えても、「試用期間中は契約社員」と記載されている場合には、それは直ちに、正社員化を約束するものではない、ということです。
ここは、一つ目の大きな誤解ポイントです。
●正社員なのに「試用期間3か月」などを設けているケース
こちらは 無期雇用(正社員) が前提です。
正社員は雇用期間の定めがありませんので、
- 試用期間中であっても
- 試用期間が終わった後でも
事務所が自由に一方的に辞めさせることはできません。
ここも二つ目の大きな誤解ポイントです。
正社員における「試用期間」の本当の意味
正社員であっても、次のように待遇だけ変えるケースがあります。
- 試用期間中:月給20万円
- 試用期間後:月給21万円
つまり、待遇調整のための制度 であることがほとんどです。
●待遇が変わらない試用期間を設ける会社もあるが…
正社員なのに試用期間を定めている会社があるとすると、
求職者からは、
「じゃあ何の意味があるの?」
と疑問になりますよね。
ここは正直にいうと、
“入所当初だから頑張ってね”という心情的な意味
で設定している会社がほとんどです。
(中には、「試用期間は辞めさせやすい」
と誤解している会社もありますが、これは法律的に誤りです。)
ロイヤーズハイの方針
✦ 最初から正社員(無期雇用)として採用します
ロイヤーズハイでは、
契約社員スタートという制度をとっていません。
- 初日から正社員(無期雇用)
- 試用期間3か月あり(※待遇は変わらない)
という採用方式です。
●なぜ待遇を変えず試用期間を設けているのか?
理由はシンプルです。
「入所直後なので、頑張って仕事を覚えてほしい」
という意味づけのため。
“頑張ろう期間”として設定しているだけであり、
雇用の安定性とは全く関係ありません。
ロイヤーズハイは、次の通り、皆さんの長期安定雇用と皆さんの成長を願っています。
ロイヤーズハイが最初から正社員採用にこだわる4つの理由
スタッフの生活の安定を最優先に考えているから
ロイヤーズハイでは、
「まず契約社員で様子を見る」という考え方を取りません。
初めての業界で不安を抱えている中、
雇用形態まで不安定にする必要はないと考えています。
もちろん、スタッフの方も業務をこなしていく中で努力は必要ですが、安定した環境のもと、業務に励んでいただきたいと考えております。
育成体制が整っており、契約社員制度が不要だから
OJT・マニュアル・スキルマップなど、
新人を育成するための仕組みが充実しています。
そのため、
「合わなければ契約満了」という制度を使う必要がありません。
長く働けるキャリアを前提に採用しているから
評価制度やキャリアパスがあり、
長期的に成長できる仕組みが整っています。
最初から正社員としてお迎えする方が、
求職者にとっても、事務所にとってもベストだと考えています。
労働条件の透明性を大切にしているから
ロイヤーズハイでは、
固定残業代を使わず、残業代は1分単位で支給しています。
給与体系をわかりやすくするためにも、
最初から正社員採用の方針が適していると考えています。
求職者がパラリーガルに応募するときにチェックしておくべきポイント
雇用形態は正社員か契約社員か
上記の通り、働き方が大きく変わります。
契約期間・更新条件は明確か
曖昧な場合は必ず質問すべきです。
給与の内訳(基本給か、固定残業代込みか)
固定残業代がつくかどうかで、同じ月給でも全く意味が違います。
これを理解しておくかどうかで、実際の給与の意味が全く異なり、
求職者の方の誤解につながる大きなポイントの一つです。
この点、パラリーガルの固定残業代について詳しく説明した記事がありますので、こちらもご覧ください。
残業時間や業務量
事務所によって大きく違いますので、よく確認しましょう。
教育体制はあるか
新人が安心して働ける環境かどうかを左右します。
大阪で未経験からパラリーガル求人へ応募したい方へ
法律事務所ロイヤーズハイは、大阪難波に本社を構え、
大阪府内に4拠点を展開する 大阪発・大阪密着の法律事務所 です。
私たちは、未経験から法律事務に挑戦したい方が、
無理なく成長し、長期的にキャリアを築いていけるよう、
教育体制・業務マニュアル・OJT・フォロー体制を整えております。
パラリーガルは決して「経験者しかできない仕事」ではありません。
正しい育成環境があれば、未経験からでも十分に専門スキルを身につけ、
法律事務として長く活躍することができます。
法律事務の仕事に興味があり、
未経験から大阪でパラリーガルとして働きたい方
は、是非、こちらの求人ページからご応募くださいませ。
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