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弁護士(マチベン)の仕事とキャリアのすべて|修習生が“失敗しない”ための総合ガイド
2025.12.07 弁護士・修習生向け
はじめに
弁護士にも、いくつかの種類があります。
弁護士には、大別して➀マチベン(町弁・街弁)②企業法務弁護士③企業内弁護士(インハウス)があります。
皆さんが、どのような弁護士を目指せばよいのかについては中々イメージが湧かないかもしれません。
ロイヤーズハイは、①のマチベンに大別される事務所ですので、②・③については概括に留めて➀を中心にマチベンとしてどのようなキャリアを積み、何を得るのかについてお話をしたいと思います。
「自分はどの弁護士像を目指せばよいのか?」
「どのキャリアが、自分の価値観・働き方に合っているのか?」
司法修習を控える皆さんや、就職活動中の修習生の方から、よくいただく質問の一つです。
これは、以下の記事にもつながる“総合ガイド”としてまとめています。
マチベンの仕事とは何か──依頼者の「人生」と向き合う仕事
マチベンの仕事は、
個人の人生に深く関わり、依頼者の人生の転機に寄り添う仕事です。
離婚、慰謝料、刑事事件、債務整理、交通事故…。
いずれも、依頼者が“人生で一番苦しい瞬間”に向き合う必要があり、法律知識に加えて「人間力」「安心感」「迅速さ」が強く求められます。
ロイヤーズハイでも、まさに 「人生のそばに、法律の力を」 を掲げており、弁護士は単なる法的サービス提供者にとどまらず、リーガルライフパートナーとして依頼者に寄り添う姿勢が求められます。
マチベンの特徴を深く知りたい方は、以下の記事もご覧いただけます。
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マチベンのキャリア──「経験値の積み方」がすべてを変える
マチベンは“事件を経験するスピード”が早く、
若手時代の成長カーブが非常に大きいという特徴があります。
同じ3年目でも、
- 起案の量
- 依頼者対応の量
- 裁判経験の量
- 交渉経験の量
が、企業法務やインハウスと比べて圧倒的に多いケースがあります。
そのため、
「どこで働くか」=「どれだけの経験値が得られるか」
につながり、キャリア初期の選択が未来に大きな差をつけます。
関連コラム:【求職者の方向け】何事もスタートダッシュをスムーズに決めれた者が有利であること
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マチベンか企業法務・インハウスか──“失敗しない選択”のために
修習生の方が迷う最大のポイントはここです。
▼企業法務弁護士
- 高度な商事法務
- 長時間労働の傾向
- 専門性の深さ(他方で特定の企業法務分野に偏りやすい)
- 組織で動くプロジェクト型の仕事(大企業・上場企業がクライアントに多い)
- 会社の担当者とやりとりすることが多い(社長とのやりとりは多くない)
▼インハウス(企業内)
- 企業の景気に左右される
- 法務+総務系の業務に広がる
- 法的専門性より会社員としての“総合力”が求められる
- 会社員であるため、その会社の意向に従って働く
- 大企業・上場企業が多い(中小企業の場合でもインハウスを採用する企業体力のあるところが多い)
これら2つと比較すると、
▼マチベンは
事務所によって大きく違いはありますが、
- 専門性の幅が広い
- 個人顧客が多い
- 企業法務は中小企業法務が中心(社長個人や重役とのやりとりが多い)
- 経験の量と種類が多い
- 独立もできる(実務の基礎が身につく)
という特徴があります。
マチベンのキャリアルート(ロイヤーズハイの場合)──“10年後の姿”を描けるか
①若手期(1~3年目)
- 事件の数をこなす
- 依頼者対応の経験を積む
- 各基本分野の基礎を固める
→ 成長速度が最も早い時期 - 応用分野も一部扱い始める
- 若手でもチャレンジできる弁護士キャリアポジションへの任命
②中堅期(4~6年目)
- 応用分野に積極的に取り組んでもらう
- 得意分野・やりたい専門分野が見えてくる
- 弁護士や事務局・後輩の育成が始まる
- 自分自身のノウハウが形成される
- 中期の弁護士が担うべき弁護士キャリアポジションへの任命
③ベテラン期(7年目以降)
- ブランド・口コミの獲得
- リピート・紹介が増える
- 基本分野について極める
- 専門分野を確立する
- 統括弁護士・マネジメント弁護士、その他重要度の高い弁護士キャリアポジションを担う
ロイヤーズハイは特に、
精鋭型×成長重視×地域密着という“成長できるマチベンモデル”のため、キャリアの幅が広がりやすいのが特徴です。また、成長に貪欲な方は、上記のキャリアルートを早めることも可能です。
修習生が“失敗しないために”知っておくべきこと
- 自分に合う“事務所カラー”を知る
- 若手時代は「事件処理の数と種類」が最大の資産
- 人間関係・組織風土が継続の鍵
- 労働条件だけで選ぶとキャリアが詰まりやすい
総括すると、
修習生のキャリアは“最初の3年”がすべてを決めます。
そして、その3年間をどこで過ごすかは、
「弁護士としての未来」だけでなく、「人間としての成長速度」にも直結します。
関連コラム:【弁護士・修習生向け】弁護士は一匹狼?群れを好まない?1つの事務所でずっと働きたいとは思わない?
マチベンのキャリアの失敗例・転職例
マチベンキャリアにおいて、失敗例・転職例としてよく聞くのが以下の通りです。
依頼者対応が苦手で悩む若手
→これは依頼者との関りが少ないとか、ほぼボス弁や先輩弁護士が依頼者対応をしている場合、若手の成長期間である3年間の間に十分に依頼者対応の経験を積むことができずに生じます。結果として、「依頼者対応が怖い」「苦手意識が抜けない」という悩みにつながります。
事件が少ない事務所を選んでしまった
→マチベンの場合は、集客力が事務所によってまちまちです。そのため、事件数が少なくて十分に事件処理を経験することができない、ということがあります。「起案の数」「裁判の経験」「交渉の経験」が十分に積めず、数年たっても実務に自信が持てない、というケースがあります。
職場環境・人間関係が合わず1~2年で転職
→マチベンの場合には、閉鎖的空間であることから、人間関係が合わないことにより退職リスクが大きいです。また、人数の多い事務所でも、勤務する支店単位で見たときに人間関係が合わないとストレスが大きくなり、短期間での転職につながることがあります。
質問したいときに質問できずに事件処理が進められない
→ボス弁・先輩弁護士が話しかけづらい雰囲気だったり、業務が忙しすぎて相談の時間を取れない事務所の場合、若手が一人で事件を抱え込んでしまい、事件処理が進まないことへの不安やプレッシャーから、大きなストレスを感じるようになります。
仕事内容に偏りがあって数年たっても事件内容が変わらない
→仕事内容が特定分野しか扱っていないことで、その分野しか経験できずにキャリアの幅が狭まります。その状態が何年も続くと新しい事件に挑戦しようとする気概が失われてしまいます。
集客や依頼を受任することに注力するあまり、事件処理が二の次になってしまう
→集客や依頼を受任することは大切なことですが、一方で同じような事件ばかりを繰り返しているだけで成長を感じられないことがあります。また、依頼を受任する弁護士と事件処理をする弁護士が別であることから、一貫した依頼者対応ができないために、やりがいや成長を感じられない、ということがあります。
ほとんどが電話相談で、依頼者と顔を合わす機会が少なく事件処理のやりがいを感じられない
→法律相談の方法としては、来所相談と電話相談があります。もっとも電話相談ばかりだと、依頼者と顔を合わす機会が少ないため、「この人の人生に本当に寄り添っている」という実感が得にくくなります。また、依頼者の方への安心感の作り方や距離感の取り方など直接対話スキルが育ちにくいことに加えて、相談対応や事件処理が“作業化”しやすく、やりがいや成長実感が薄れやすいという側面があります。
弁護士が集客オペレーター化してしまう
→弁護士自身がLINEなどの即時的な方法による問い合わせ対応や法律相談を大量にこなしたり、夜遅くまで交代制で相談対応を行う体制では、弁護士としての専門性を深めるというよりも、弁護士がいわば「集客のためのオペレーター」と化してしまうことがあります。弁護士は本来、知的専門職として、依頼者の人生や事業に深く向き合う存在であるはずです。その本質から離れた働き方が続くと、やりがいや成長を感じにくくなってしまいます。
事件処理の大半をパラリーガルに丸投げして弁護士が成長しない
→弁護士と事務局との役割分担を行うことは大切な視点ですが、ほぼすべてを事務局が担う結果、弁護士が依頼を受任することがメイン業務となってしまい、弁護士としての実務能力を身につけにくいことがあります。
事務所の理念や価値観が曖昧で、働き方の軸が定まらない
→ 代表弁護士の価値観や事務所として大切にしていることが言語化されていない場合、評価の軸や働き方が場当たり的になり、若手が「自分は何を大切に働けばいいのか」を見失いやすくなります。理念とのミスマッチは、労働条件以上に早期離職の原因となることが多いため、就職活動の段階で事務所の理念や人事方針をよく確認しておくことが大切です。
事務所とのミスマッチチェックリスト
ミスマッチによる短期の離職を避けるために、就職活動の際は次のポイントを確認してみてください。
- 依頼者対応の機会はどの程度あるか
- 若手が担当する事件数・分野の幅
- 先輩や上長弁護士・事務局への質問・相談のしやすさ
- 法律相談の方法は来所相談か電話相談か、割合はどうか
- 法律相談弁護士と事件処理弁護士の役割分担があるか・一貫対応か
- 弁護士が事務局にほぼ処理を委ねていないかどうか・弁護士に実務能力が身につくか
- LINE相談などの運用体制・法律相談の交代制の内容は
- 事務所の理念や価値観はどのようなものか、何を大切にして働くのか明確か
弁護士の勤務条件などの違いによる注意点
弁護士や修習生志望者の“最大の落とし穴”がここです。
「雇用契約」と「業務委託契約」の違い
雇用契約と業務委託契約の一番の違いは、雇用契約の場合、正社員の場合は、雇用期間の定めがないので、法的な観点から長期的な働き方が可能であるのに対し、業務委託契約は、期間が定められているので、延長されない限りは期間満了により退職もありうる、ということです。
また、雇用契約の場合、本人の同意がない限り賃金を下げられないのに対し、業務委託契約は、期間満了時に賃金を含めた契約内容を変更することが可能です。
詳しい条件の違いについては、以下のコラムをご覧ください。
関連コラム:【修習生の方必見!】雇用契約と業務委託契約(委任契約)の待遇の差について
つまり、働き方の安定性が大きく異なります。
ロイヤーズハイでは、安定的に長期的に働いていただくため、雇用契約を選択しています。
支店赴任による事実上の勤務地拘束リスクー弁護士の「勤務場所」・「転勤」の有無について
法律事務所によっては、勤務場所が固定されておらず、支店赴任による全国転勤がありうるところもあります。
そのため、特定の地域やエリアで継続的に勤務したい場合には、転勤のない法律事務所を選んでいただく必要があります。
一度、ご自身と全く無関係な場所へ転勤が決まった場合には、そこから別の場所や希望した場所への異動は困難であることがあります。
例えば、全国展開をしている法律事務所では、支店赴任=転勤と同時に、新たに支店を開設するということがあります。そして、支店では、弁護士が1人しかいない「弁護士1人支店」となっていることが多いです。
そして、支店に赴任するとともに、その支店の支店長になった場合には、「役員」となります。
弁護士法上、支店設立のためには、その支店に常駐して業務を行うという「常駐性」の要件を満たす必要があります。
例えば、皆さんが、その支店に赴任したり、新たに支店を開設して、その支店の支店長になった場合には、その支店で継続的に勤務していただく必要があります。
仮に、皆さんが他の支店に異動したいと思ったとしても、他にあなたの替わりとなる弁護士がその支店に赴任してくれないとなれば、常駐性の要件を満たさなくなります。
仮に、他に代わりがいないのに、あなたがその支店から別の支店に異動しようと思えば、その支店は閉鎖せざるを得なくなります。
ですから、事務所側としては替わりがいない状態で、あなたをその支店から異動させることは難しいと考えることになるので、あなたがその支店から異動することが事実上困難となります。
すなわち、一度、どこかのオフィスの支店長になったら、そのオフィスから離れて別の場所に行きたいと考えた場合には、そのオフィスに行ってくれる替わりの人員が入ってくるまで待ち続けるか、それとも退職するかの2択しかないことになります。
特に、地方の支店の支店長になる場合には、替わりの人員は確保しにくくなるため、そのエリアから離れたいと思えば、最終的には退職せざるを得なくなることがあります。
また、その地方で支店長をしていて退職する場合に独立をしたいと思っても、行きたいと思っていたエリアでは、一から人間関係を作らなければならないし、分野によっては裁判所の運用が変わるので、非常に苦労します。
したがって、こうした支店赴任のリスクについてはよく理解しておきましょう。
専門分野ごとの将来性の有無-B型肝炎・債務整理・交通事故・男女トラブルなど
弁護士が扱う専門分野の中には、債務整理、交通事故、男女トラブル、相続事件、一般民事、刑事事件、労働事件、企業法務などがあります。
これらは昔から存在する基本分野となります。
これらの分野は基本的になくなることがないと考えられています。
AIが発達したとしても、相手方との交渉が必要になるため、相当程度残ると考えられています。
他方で、B型肝炎・アスベストなど「時限立法」によって成り立っている分野もあります。
時限立法の場合、請求可能な時期が法律によって定められているため、その時期を迎えると請求できなくなるため、その分野ごと消滅してしまうリスクがあり、キャリア断絶のリスクがあります。
また、仮に、時限立法の法分野の取り扱いが、その法律事務所の売上や利益の中心であったり相当程度の割合を占める場合、その分野が消滅した後も同じように事務所の売上や利益を維持できるのか、という事務所の将来性の考慮も必要です。
なお、ロイヤーズハイでは、基本的に時限立法により成り立つ法分野に関しては、弁護士・事務局の長期キャリア形成の観点から取り扱いについて消極的です。
関連コラム:B型肝炎の案件はパラリーガルとして長期キャリアは築けるのか? ― 時限立法の“落とし穴”をわかりやすく解説
大量採用の事務所は離職率の裏返しの場合も
「毎月募集」「大量募集」は、
案件の偏り・業務負荷・人の入れ替わりの激しさを示すサインであることがあります。
ロイヤーズハイではどんな働き方ができるか?
ロイヤーズハイでは、弁護士及び人としての成長を目指し、「一生弁護士」の道を歩んでいくつもりです。そのための体制を以下の通り整えており、随時、ブラッシュアップさせています。
教育体制
ロイヤーズハイの教育は、“現場で使える実践力”にこだわっています。
・OJT
・マニュアル
・新人研修
・先輩弁護士との共同受任
事件を一人で抱えこませず、
「質問・相談しやすい」 チーム体制を重視しつつも、個の弁護士としての自立性が備わる文化です。
ジェネラリスト&スペシャリスト
ロイヤーズハイは、
「基礎を固めながら、専門性も磨ける」という
弁護士として理想的な成長ルートを用意しています。
・基本分野(男女トラブル・刑事事件・債務整理・交通事故など)からの取り組み
・応用分野(労働事件・相続事件・企業法務・その他一般民事など)への取り組み
段階を踏みながら、
“広さ”と“深さ”の両方を身につけられるキャリア構造を採用しています。
各分野に経験豊富な弁護士が在籍しているため、
実務・人生の両面で学べる点も特徴です。
やりがいを追求
ロイヤーズハイは、“地域の人生に寄り添うマチベン事務所”です。
- 地域のお客様に喜んでいただく
- ひとつひとつの事件に丁寧に向き合う
- 日々の研鑽で、弁護士としての厚みが増す
こうした 本質的なやりがいを追求できる環境を整えています。
代表弁護士である田中も経営をしながらも、いまだ弁護士実務に積極的に取り組んでおります。
関連コラム:【【弁護士・修習生の方向け】弁護士のやりがいとは】
関連コラム:【弁護士向け】弁護士は、売上では評価できない経験も積みましょう
人間力評価
ロイヤーズハイの成長軸の中心は「人間力」です。
- 対話形式による自己評価
- 代表弁護士・上長からのフィードバック
- 成果・スキルの“土台”となる人間力育成
「人間力」を体系化し、
長期的に弁護士キャリアを継続するための核心部分を磨いていきます。
弁護士キャリアポジション制度
一人の弁護士としてだけでなく、
ロイヤーズハイという組織をつくる“中心メンバー”としても活躍できます。
- マーケティング
- マネジメント
- 採用
- 教育
- サービス品質向上
など様々なポジションを用意し、
成長を止めないキャリアパスを広げています。
働きやすさ
ロイヤーズハイでは、
“長期的・安定的に働ける環境づくり”を大切にしています。
- 残業は固定残業時間内で安定
- 長期就労しやすい環境整備
- 経験豊富なパラリーガルと相互尊重の文化
- 高い口コミ評価(信頼される地域密着の実績)
- 難波本社の広々としたカフェスペース・コミュニケーションエリア
弁護士一人の力のみならず、
チームで成長し、依頼者に貢献する文化が根づいています。
弁護士・修習生の方でロイヤーズハイへ応募したい方へ
法律事務所ロイヤーズハイは、大阪難波に本社を構え、
大阪府内に4拠点を展開する 大阪発・大阪密着の法律事務所 です。
業績好調により、神戸オフィスや東京オフィスも随時拡大中です。
私たちは、弁護士として成長したいか、一生弁護士としてやっていくこと目指したい方が、
長期的にキャリアを築いていけるよう、様々な体制を整えています。
もちろん、大阪以外の神戸エリアや東京エリアで働きたい方も歓迎しております。
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皆様と共に成長しながら働ける日を楽しみにしております。