交通事故 交通事故基礎知識
2020.06.22 2023.08.25

交通事故紛争処理センターとは?詳しく知りたい方へご案内。

公益財団法人

交通事故の損害賠償については一般的には被害者と加害者の保険会社間での示談にて解決をします。しかし、どうしても双方の主張が異なり示談が難しい場合は裁判所といったような第三者機関に判断を任せる場合もあります。ここでは裁判所とはまた別の、交通事故を解決していく「交通事故紛争処理センター」についてご案内を致します。

交通事故紛争処理センターとは?

a:特徴

交通事故紛争処理センターは自動車事故の損害賠償問題にての紛争を、中立公正な立場から「無料」で解決のお手伝いをする公益財団法人となります。これは示談交渉と裁判の中間位置にあり、裁判所基準並の損害賠償額を獲得できる可能性があり、かつ裁判に比べると比較的短時間で解決できるという、双方のいいところを取り入れたシステムとなります。

b:施設の概要

交通事故紛争処理センターには嘱託された弁護士が常時配置されており、被害者と加害者側の保険会社双方の話を聞き、和解あっせんを行います。被害者と保険会社のどちらか一方があっせん案に同意をしない場合においては、審査会がセンターには設置されておりますので、そこで「審査」が行われます。

c:全国の窓口

交通事故紛争処理センターは全国に11か所の窓口を設けています。東京本部の他、札幌支部、仙台支部、名古屋支部、大阪支部、広島支部、高松支部、さらにさいたま相談室、金沢相談室、静岡相談室です。どの相談窓口でも無料です。

d:探し方

被害者と加害者側の保険会社があらかじめ合意をしている場合を除き、被害者の住所地もしくは事故現場住所地のセンターに利用申し込みをします。下記が各センターと該当地域です。例えば被害者の居住地、事故場所が兵庫県の場合、大阪支部になります。ご参考になれば幸いです。

札幌支部:北海道
仙台支部:宮城県青森県岩手県秋田県山形県福島県
東京本部:東京都神奈川県千葉県山梨県茨城県
さいたま相談室:埼玉県群馬県栃木県長野県新潟県
名古屋支部:愛知県岐阜県三重県
静岡相談室:静岡県
金沢相談室:石川県富山県福井県
大阪支部:大阪府兵庫県京都府滋賀県奈良県和歌山県
広島支部:広島県岡山県山口県鳥取県島根県
高松支部:香川県愛媛県徳島県高知県
福岡支部:福岡県佐賀県長崎県熊本県大分県宮崎県鹿児島県沖縄県

交通事故紛争処理センターの具体的な業務内容は?

a:利用者について

交通事故紛争処理センターの業務内容は、交通事故の被害者からの示談に関する相談、和解あっせん、審査手続きの他、弁護士の紹介があります。審査手続きというのは、和解が困難であると判断されたときに、被害者ないしは加害者の申し立てにより審査会を開催することをいいます。審査会の構成は法律学者や裁判官経験者の他経験のある弁護士で構成されています。審査会は被害者と加害者の保険会社の双方から事情を聞き状況を整理し、過去の判例も参考にしながら、最も妥当と考えられる判断を下します。利用者についてですが、基本的には自動車事故の被害者と加害者側の保険会社となりますが、申し立ては被害者を前提に考えられています。被害者が損害賠償の知識がない場合や示談交渉に不慣れな場合にセンターに嘱託されている弁護士が中立公正な立場で適切な対応をして被害者の手助けをしてくれます。

b:利用のための費用

交通事故紛争処理センターの最大の特徴が利用のための費用が「無料」であることです。センターの弁護士による法律相談や和解のあっせん、審査手続きをすべて無料で行ってくれます。被害者側にかかる費用は、加害者側に通知書面を出すときの通信費やセンターまで相談に行くときの交通費、手続きに必要な各種証明書の料金などの最低限の費用のみで、利用自体には料金がかかりません。必要最低限の費用だけで和解のサポートを弁護士にしてもらえます。

利用の前に、知っておく大事なポイント。

a:メリット

交通事故紛争処理センターを利用する前に知っておくことは、利用におけるメリットデメリットです。最初にメリットに関してですが、先程の無料以外に上げるメリットとすると、まず、示談交渉が非常に進めやすくなります。当事者間の示談が上手くいかず、話が進まない時には交通事故紛争処理センターに対応してもらうことで、示談交渉が進む可能性が非常に上がります。また、納得が出来ない場合は審査会にてしっかりと協議をしてもらえます。この審査会が最終的に出した案は加害者の保険会社は尊重をしなければいけませんし、被害者側が納得できない場合は、交通事故紛争処理センターでの対応が終了となり、そのまま訴訟に移行することが可能です。そして、もう一つのメリットですが、センターは交通事故の関係者の利益の公正な保護を図ることを目的としておりますので、中立公正な機関としての判断なため安心して任せられますし、早期解決の姿勢が強いことから裁判に比べると早期の解決が期待できます。案件にもよりますが、裁判がおおよそ1年と考えると、紛争処理センターは3か月ほどで解決ができます。

b:デメリット

デメリットは大きく4つが想定されます。まずは利用の時期ですが、交通事故紛争処理センターは損害賠償額が確定できている状態でなければ利用ができません。つまり治療終了後、後遺障害がある場合は症状固定後の後遺障害等級認定の結果が出た後となります。よって、センターを利用することで治療の延長交渉等が可能なわけではありません。次に申請に必要な資料の収集を本人で行わなければいけません。裁判ほど資料はありませんが、とはいえ手間があることは覚えておいたほうがいいでしょう。3つめは被害者自身が法律相談、示談あっせんの場に出席しなければいけません。住む地域のよっては本部・支部・相談室に足を運ぶことが負担になる方もいらっしゃるかと思います。最後に、交通事故紛争処理センターが受けることができないケースがあります。具体的に上げると、自転車VS歩行者の交通事故、自転車同士の事故、被害者が契約している保険会社との紛争、後遺障害等級認定に関する紛争などがあげられます。

c:相談のタイミング

被害者が交通事故紛争処理センターに相談をするタイミングですが、デメリット部分でもご説明をしましたように時期が限られています。治療中や後遺障害の申請中には相談はできませんので、相手保険会社から示談案が提案され、示談交渉が始まった段階で可能となります。ただ、交渉内容が全く問題ないのであれば必要はありませんので、【示談交渉をして争点が明らかになり、交渉が難航したとき】に相談をしてみましょう。

d:利用の流れ

交通事故紛争処理センターを利用したい場合は、まずご自身のお住いの担当センターに電話をしましょう。予約の受付は月~金(祝日と年末年始12月29日~1月3日を除く)の午前9時~午後5時です(12時~午後1時までは休憩時間)。電話予約時に、初回の相談日時を決めます。その後センターより、利用規定や利用申込書の他、法律相談・和解あっせんに必要な書類等についての説明書面が送られてきます。その書面を確認し、相談日までに用意しなければならないもの、記入しなければならない書面を整えて相談に備えてください。相談日には窓口にて職員の方が受付を行ってくれますので、利用申込書と資料一式を提出します。資料は原則被害者に返却はしませんので、必ずコピーをとるようにしておきましょう。特に問題なければ担当弁護士との法律相談となります。法律相談の結果、被害者が和解あっせんを希望し、かつ担当弁護士も和解あっせんが事件解決に必要であると判断した場合、加害者側の保険会社にセンターへ来てもらいまして和解あっせんを行います。和解あっせんは担当弁護士が双方の主張を確認し、中立・公平に判断したうえで、和解のためのあっせん案を提示します。人身事故だとおおよそ3回ほど、5回までのあっせんでほぼほぼの案件の和解が成立します。物損事故の場合は2回で終了となることが一般的です。その後担当弁護士の立会いの下、示談書(もしくは免責証書)が作成されて双方が署名捺印をして終了となります。

利用に関する事例をご案内。

実際に交通事故紛争処理センターを利用した方の声はどういったものでしょうか?口コミを見てみると、弁護士が親切である、早い解決が実現した等の声が多くあります。ただ、保険会社寄りの考え方だ、資料の準備は手伝ってくれない等の声もあります。【絶対的に被害者の味方ではない】ということを念頭にして利用をすることがポイントでしょう。また交通事故紛争処理センターの弁護士は原則担当替えができませんのでご注意ください。

まとめ

交通事故紛争処理センターは示談交渉が難航した際に被害者にとっては非常に救いとなる機関です。保険会社からの示談提示に全く納得できない場合はメリット、デメリットを確認したうえで相談をしてみましょう。またすでに弁護士に依頼している被害者の方も利用は可能です。実際に弁護士と保険会社の示談交渉が難航し、裁判だと費用面が心配という場合、センターを利用される方も少なくはないです。この場合、センターに足を運ぶのは弁護士ですし、申請の書類も基本的には弁護士が用意します。もし示談内容に納得ができない場合は弁護士とも相談し、センターの利用を検討してみましょう。

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