交通事故 交通事故基礎知識 損害賠償
2024.01.24 2024.01.24

事故相手がレンタカー!誰に損害賠償請求できる?運転者が保険に入っていなかった場合の対処法

事故相手がレンタカー!誰に損害賠償請求できる?運転者が保険に入っていなかった場合の対処法

旅行先などで使用することが多いレンタカー。

慣れない車で初めての場所を運転するため,交通事故が起こりがちです。

もしも交通事故の相手がレンタカーを使用していたら,誰に損害賠償請求すればよいのでしょうか。

レンタカーを運転していた本人や保険会社から示談金の支払いを受けることはできるのでしょうか。

当コラムでは,事故相手がレンタカーの場合の対応についてご説明いたします。

1 事故相手がレンタカーの場合、誰に損害賠償請求ができるか

(不法行為による損害賠償)

第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

(使用者等の責任)

第七百十五条 ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。

 使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。

 前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。

(自動車損害賠償責任)

第三条 自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によって他人の生命又は身体を害したときは、これによって生じた損害を賠償する責に任ずる。ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかったこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明したときは、この限りでない。

⑴事故相手

交通事故被害者は,不法行為を行った加害者に対して損害賠償請求することができます。

事故相手の運転している車がレンタカーであっても,相手方に対して当然に損害賠償請求することはできます。

⑵レンタカー会社

レンタカー会社は運行供用者責任を負います。

運行供用者責任とは,自動車損害賠償法3条に基づき,自動車を管理している者・自動車の運行によって利益を受けている者が負う責任のことです。

運行供用者とは,「自動車の使用についての支配権を有し、かつ、その使用により享受する利益が自己に帰属する者」です(最判昭和43年9月24日 判時539号40頁)。

例えば,車を貸した友人が事故を起こした場合の車の所有者や,従業員が社用車で事故を起こした場合の会社などが運行供用者にあたります。

裁判例によると,レンタカー業者も運行供用者にあたります(最判昭和46年11月9日 民集25巻8号1160頁,最判昭和50年5月29日 判時783号107頁)。

ただし,運行供用者責任を追及して支払を受けることができるのは,治療費,傷害慰謝料などの人身被害に対する補償に限られます。

⑶レンタカー会社が加入している保険会社

ほとんどのレンタカー会社は保険に加入しています。

そのため,交通事故の損害賠償金はレンタカー会社の加入している保険会社が支払うことがほとんどでしょう。

ただし,補償内容には限度額があることがあります。

保険適用の前提として,警察・レンタカー会社に交通事故を報告しなければいけません。

また,運転手として申請した者以外が運転していた際に起こった事故,道路交通法違反により起こった交通事故は補償の対象外です。

⑷加害者が加入している保険会社

加害者の加入している自車の任意保険に他車運転特約が付されていれば,任意保険から補償を受けることができます。

他車運転特約とは,他人の自動車を運転した際の事故を補償する特約です。

もっとも,任意保険加入者以外が運転していて事故を起こした場合には,他車運転特約は使用できません。

このように,損害賠償請求が可能な相手は多岐にわたりますが,レンタカー会社の加入している保険会社に請求することがほとんどです。

2 事故相手がレンタカーの場合の損害賠償請求方法

⑴通報・相手方の情報を確認する

(交通事故の場合の措置)

第七十二条 交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。同項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置(第七十五条の二十三第一項及び第三項において「交通事故発生日時等」という。)を報告しなければならない。

被害者であっても,警察に通報しなければ道路交通法上の報告義務違反となるおそれがあります。

また,警察に事故を届けなければ保険金を請求するために必要な交通事故証明書が発行されません。

110番通報をしたうえで,怪我人がいれば119番通報をしましょう。

また,事故相手の名前,連絡先,勤務先を確認してやり取りができるようにしましょう。

それに加えて,レンタカー会社の名前や支店,保険会社も確認しましょう。

加害者がレンタカー会社に連絡しなければ,その場で自分からレンタカー会社に連絡し,保険の有無を確認することが大事です。

レンタカー会社への連絡がなければ保険を使えないことがあるからです。

⑵治療を受ける

治療費や傷害慰謝料などの人身被害に対する補償を受けるために,治療を受けましょう。

事故と怪我の因果関係が疑われないよう,遅くとも事故後2~3日以内に病院を受診しましょう。

⑶(後遺障害が残った場合)後遺障害申請する

後遺障害に対する補償には,後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益があります。

これらの支払いを受けるには,後遺障害申請したうえで,後遺障害等級認定を受ける必要があります。

⑷損害賠償請求の相手と示談交渉する

レンタカー会社の加入している保険会社に損害賠償請求する場合,示談交渉やそれまでのやり取りは保険会社と行います。

示談交渉では,以下のポイントを意識しましょう。

①相場を確認する

一般に,保険会社は多額の保険金を支払いたくないので低い金額で示談しようとします。

特に,慰謝料については任意保険基準という低い基準で算定します。

自賠責基準など他の基準だと慰謝料額はどうなるかを計算しておきましょう。

②損害賠償項目に漏れがないか確認する

被害者が請求できるのは,治療費や慰謝料だけではありません。

装具・器具購入費や代車使用料なども賠償の対象となります。

③増額しやすい損害項目を把握しておく

慰謝料,休業損害には支払基準があるので,弁護士基準で算定すれば増額される可能性があります。

④証拠を用意しておく

示談金の増額をただ主張するだけでは保険会社を納得させることはできません。

被害者が損害を被った証拠とともに,示談金の増額を主張しましょう。

⑤冷静に対応する

保険会社の高圧的な態度に嫌気がさして,感情的になってはいけません。

情に訴えても保険会社は受け入れませんし,担当者は快く思わないでしょうから,被害者側に有利な条件で示談できる可能性が下がってしまいます。

なお,示談交渉の方法については当事務所の次のコラムでご紹介しているのでご覧ください。

交通事故で保険会社と示談交渉の正しい対応方法がわからない。

3 事故相手がレンタカーの保険に入っていなかった場合の対応方法

レンタカー業者は自賠責保険・任意保険への加入が義務付けられており,レンタカー代にはこれらの保険の保険料も含まれています。

そのため,レンタカーを借りる際は自動的に自動車保険に加入しているといえます。

ただ,運転手として申請しない人が運転して事故を起こした場合や,道路交通法違反をしていた場合には,保険金が支払われないことがあります。

このようにレンタカー会社の保険が利用できなければ,事故相手が加入している保険を利用できないか連絡してもらいましょう。

事故相手の加入している保険も利用できなければ,事故相手に直接損害賠償請求することになります。

4 困ったらすぐに弁護士にご相談を

レンタカー事故では,誰に損害賠償請求すればいいのか分かりにくいです。

仮に損害賠償請求先が分かっても,相手方が弁護士を立ててくれば,示談交渉において交渉力で上回ることは難しいです。

また,お互い譲り合わずに妥協点を見つけるには長期間かかり,その間に時効期間が経過してしまえば示談交渉のやり直しがききません。

早い段階で弁護士に相談すれば,請求先を判断し,万全の状態で示談交渉に臨むことができます。レンタカーの運転手と交通事故に遭い,悩まれている方は,弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

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