交通事故 示談
2020.07.03 2022.11.15

交通事故後の示談交渉を弁護士に依頼した場合の費用はどうなる?

交通事故後の示談交渉を弁護士に依頼した場合の費用はどうなる?

交通事故後、被害者は加害者と損害賠償の金額を決めるために、話し合いを行います。この話し合いを重ねて、合意によって紛争を解決することを示談交渉といいます。ここでは、基本的な示談交渉についての説明と弁護士に依頼をした場合の費用についてご説明をいたします。

交通事故後の示談交渉をするにあたって…

a.開始のタイミング

交通事故後、示談交渉を開始するまでには、事故の態様によって流れや時期が大きく異なります。共通して言えることは【すべての損害が確定した時】となります。事故の種類別に、およその示談交渉の開始時期をご説明します。

・物損事故の場合…交通事故発生の約1か月後から開始されることが多いです。理由としては、自動車事故の場合は修理が終わり、双方にかかった修理額が確定する時期が約1か月後だからです。よって、例えば自転車同士の事故だった場合は、もう少し開始時期が早い場合もあります。一方で、事故に遭った車がトラック等営業車の場合は、修理に出すと営業ができないと言った理由で、修理に出すことが遅れることがあります。そうなると示談交渉の開始が遅れることがあります。

・人身事故(傷害)の場合…開始のタイミングは、交通事故の発生からは各々の怪我の内容で異なります。怪我の場合は、損害が確定をする時期は、被害者の怪我が完治したとき、もしくは症状固定という、これ以上治療をしても改善が見込まれないと医師が判断した時となります。完治の場合は、完治してから約1か月後が開始の目安です。保険会社から病院への治療費の支払いが終了する時期が、おおよそ完治の1か月後という事情があります。症状固定の場合は、そのまま示談に進むのであれば、完治と同じ示談交渉の開始タイミングとなりますが、後遺障害の等級認定申請を行う場合は、申請から結果が出るまでには、2~3か月以上かかりますので、開始のタイミングはさらに後になります。後遺障害の等級結果が出て、示談交渉開始となります。

・死亡事故の場合…被害者の方が即死の場合であれば交通事故発生の日から約2か月後、時間が経過してからの死亡であれば、亡くなった日から約2か月後が開始の目安時期となります。先ほど、損害が確定してからと述べましたが、死亡事故の場合は、おおよその損害について確定することが早いです。しかし、被害者遺族の心情を考えてすぐには行いません。葬式関係費用が発生する、四十九日の費用の確定をして、しばらくしてから開始することが多いので、約2か月後が示談交渉の開始のタイミングとなります。

b.交渉の流れ

被害者と加害者の加入している保険会社で示談交渉を行う場合、損害が確定した段階で、保険会社より、賠償額の提案が被害者の元に届きます。その内容に問題がなければ、多くの場合同封がされている、示談書(免責証書という場合もあります)に被害者がサインをして送り返すことで示談が成立となり、1~2週間ほど、遅くとも1か月以内に被害者が指定をした口座へ損害賠償金が振り込まれ、手続きが終了となります。
もし送られてきた内容に対して不服がある場合は、保険会社に対して交渉をし、金額を上げてもらうよう交渉をし、納得のいく金額が提示されたら、示談書を送ってもらうという流れになります。なお、ごく稀に、書面など一切送ってこず、口頭だけで金額を説明し、示談をしようとする保険会社がいます。その場合は、必ず計算根拠等の記載された書面を送ってもらうようにしましょう。項目漏れや不当な計算でないかを確認するためです。
以上が交渉の流れです。事故の内容等にもよりますが、死亡事故以外は、特に争いがなければ1か月ほどで本来は終わります。しかし、被害者の加害者への怒りや、保険会社への対応の不信感から長引くことは少なくないです。また、死亡事故の場合は、被害者本人ではなく、相続人らが加害者ないしは保険会社と対応するので、さらに感情の面から交渉が難しくなること、相続人全員の同意を得る必要があることから、早くても1~2か月程、長引く場合は半年以上かかることも想定されます。

まずは、弁護士に相談をしましょう。

a.無料相談の利用

被害者と保険会社で示談交渉をする場合、難航して長期化することが多いです。また、保険会社の高圧的な態度に精神的に疲れて、内容に納得がいかないまま示談をしてしまう被害者も少なくはありません。そうなる前に、弁護士に相談をしましょう。
弁護士に相談するにあたって、心配となるのは【費用】ですが、最近は「無料相談」を実施している法律事務所は多数あります。法律事務所のホームページに無料相談の案内がありましたら、まずはそちらに問い合わせをしてみましょう。他にも法テラスや自治体で無料相談を行っていますので、そちらを利用するのも良いでしょう。

b.弁護士に依頼するメリット

弁護士に依頼するにあたってのメリットは大きく3つあります。

①あらゆる手続きを弁護士が被害者の代わりに行ってくれる。
②被害者の精神的負担の軽減がある。
③損害賠償金が増額する可能性が大幅に上がる。

①については、弁護士が入ることで相手との示談交渉はもちろん、本来被害者が行う手続き関係も弁護士が代わりに行います。例えば、後遺障害の等級申請を行うことや、等級の結果に納得がいかない場合の異議申し立てなども弁護士が行います。また、保険会社ではなく、加害者本人と交渉をしなければならない時も、弁護士が被害者の代わりに交渉をし、手続きをします。

②については、交通事故後からの保険会社の対応は、被害者にとって非常に精神的にストレスを与えます。被害者は交通事故の対応、示談交渉において初心者です。対する保険会社は、日々交通事故の案件に携わる交通事故問題のプロです。また、保険会社は会社が支払う金額を減らすことが役目となるので、被害者の過失を不当な内容で押し付けたり、示談金額も低い金額を提示したりします。結果、被害者は、まるで自分が悪者扱いをされている、保険会社と話したくないとなり、酷いときはうつ状態になることもあります。弁護士が入れば、保険会社と直接話すことがなくなりますので、交通事故のおける連絡は味方である弁護士しか入りませんので、精神的負担が軽減され、安心もできます。

③については、損害賠償金の計算基準は、低い順番から自賠責保険基準、任意保険基準、裁判所基準となります。自賠責保険基準は交通事故の被害者に最低限の救済をすることを目的としているので、3つの基準の中で一番低い基準となります。次に、任意保険基準ですが、これは明確な計算方法は明らかになっていません。各保険会社が、過去の実例などを元にして独自の基準を使用しています。ただ、実際は自賠責保険基準と同じか、もしくは少々高い程度の基準となります。保険会社は、被害者本人が交渉相手の場合、この2つの基準を用いて、基本的には提示をします。一方で、弁護士が入れば、弁護士は裁判所基準という3つの中で一番高く、法的根拠をもった正当な基準で、被害者の損害を計算し、保険会社へ提示をし、示談交渉を進めます。保険会社も、弁護士が入った段階で、裁判所基準で提示があることは覚悟していますので、高い金額からの交渉がスタートとなります。つまり、増額の可能性が被害者で示談するよりも、大幅に上がるということです。実際、保険会社の提示額にもよりますが、場合によっては保険会社からの最初の提示額から数十万円以上、大幅に上がることもあります。

弁護士費用はどれくらいかかるのでしょうか?

a.内訳

先ほど、無料相談について述べましたが、「結局、弁護士費用にはどういったものがあり、どれくらいかかるのでしょうか?」と疑問に思われる方は少なくありません。ここからは、実際どういった費用はあるのかをご紹介します。
弁護士の費用は、主立って以下の内容があります。

・法律相談料…弁護士から相談内容に応じて、解説・アドバイスをすることで発生します。なお、初回無料相談としている法律事務所が多いです。
・着手金…弁護士に正式に依頼をするとなった場合の費用です。前払い金の性質があり、たとえ、依頼者のご希望に添えない内容で示談をしたり、途中で弁護士を解任したりした場合であっても、これは基本的には返金はありません。
・報酬金…示談が成立した際に支払う金額です。成功報酬というとわかりやすいかと思います。交通事故の場合は、示談金の〇%分という形で計算されることが多いです。
・実費…郵便物の送付代や資料を取り付けるための費用など、実務上必要となる費用です。弁護士が裁判所や医師に意見を聞くためにかかった交通費もここに含まれます。先に一定額を依頼者から預かるか、いったん弁護士で立て替えるかの2通りです。

・日当…弁護士が事務所から離れている間の費用をいいます。弁護士の時間を拘束することとなりますので、時間に応じて費用を支払います。例えば、交通事故の場合、被害者が入院していた病院へ行き、被害者の怪我について医師面談をする時等の移動時間、面談時間がこれにあたります。

実費や日当については、着手金に含んでいたり、発生する度に支払いがあったりなど、事務所によって様々です。
また、時間制報酬方式=タイムチャージ形式という、護士の拘束時間1時間ごとに費用が発生する場合もあります。依頼者は必ず、費用については依頼する前に、弁護士に確認することをおすすめします。

b.相場

では、各費用の金額はどれくらいが相場となるのでしょうか?多くの事務所が案件の難易度等に応じて費用を設定していますが、おおよその目安は決まっています。

・相談料…1時間5,000円~10,000円程度。初回30分無料などをしている法律事務所もあります。
・着手金…0~30万円程度。請求する金額で変動するため、先に10万円だけ支払い、残りは請求額が確定した段階で支払うというケースもあります。また、着手金が0円の替わりに、報酬金を高めに設定している場合もあります。
・報酬金…0~20万円程度+示談金の10%後となることが多いです。示談額によって変動することが多いです。

なお、実費や日当は事故の案件によって大きく変動します。

c.事故別の総額の目安

では、人身事故と物損事故では弁護士の費用はどのくらいかかるのでしょうか?と疑問に思われる方もいらっしゃると思いますが、実は、物損事故のみの場合は、弁護士に依頼をしても被害者が経済的に損をしてしまう可能性が高いという観点から【物損だけの事故に関する依頼は受けない】としている法律事務所は珍しくありません。弁護士に依頼することで得られる損害賠償金の増額分よりも弁護士費用のほうが高いからです。
上記で相場を説明させて頂きましたが、示談交渉の結果で変動する報酬金を除いたとしても、弁護士費用は最低でも10~20万円程度はかかるとお考えください。それに対して、物損事故で弁護士費用を損害賠償金が上回るケースは、高級車の修理ないしは買い替えについての事故で、かつ過失割合が大幅に変わる可能性のある場合という、かなり限られたケースとなります。
人身事故は、相場から考えても最低でも30万円程度はかかるでしょう。費用が心配な方は、法律事務所によっては、最終的な損害賠償金の中から、弁護士の報酬を差し引くという成功報酬型にしているところもありますので、そちらに相談することも一つです。

弁護士費用特約はどうやって使用するのでしょうか?

a.意味

では「物損事故だけでも、弁護士に入ってもらうにはどうすればいいのでしょうか?」と悩まれている方は、ご自身の保険に、【弁護士費用特約】がついていないかを確認しましょう。
弁護士費用特約とは、簡単にいうと、弁護士の費用を被害者が加入している保険会社がかわりに支払ってくれるというものです。これを使用すれば、物損事故の場合でも、損害賠償金がどれくらい増えるのかを気にする必要はありません。車の評価損(修理をすることで事故車扱いとなり、車両価値が下がること)や代車費用、過失割合など、弁護士費用を気にせず、弁護士に依頼が可能です。
なお、多くの保険会社が、法律相談料は10万円、弁護士依頼関係費用は300万円としています。これは1事故1人につきとなります。上記では物損事故に悩まれている方と述べましたが、人身事故でももちろん使用はできますのでご安心ください。

b.利用方法

弁護士費用特約の利用方法ですが、まず、ご自身の保険会社に連絡をして、事故の内容を説明し、使用できるかどうか確認しましょう。基本的に弁護士費用特約は被害者が使用することを想定されていますので、加害者であったり、被害者に重大な過失があったりするケースでは使用はできない可能性が高いです。また、過失があると使えないと思っていらっしゃる方も少なくはないですが、弁護士費用特約は被害者に過失があっても使用できますので、まずは保険会社に連絡をしましょう。
保険会社に連絡し、使用可能がわかった段階で弁護士へ相談をしましょう。正式に依頼となれば、保険会社と弁護士で費用については打ち合わせをしますので、被害者=依頼者の方は保険会社に弁護士費用使用に関する書類の提出を求められた時に提出する以外は、特段費用については何もしなくても問題ありません。
なお、弁護士費用特約は、保険契約者だけでなく、その配偶者、同居の親族・子、別居の未婚の子、など使える対象者が広いです。もしご自身が自動車保険に加入していなかったとしても、ご家族がつけていれば、用意できる可能性がありますので、必ず確認をしましょう。自動車保険以外にも火災保険やクレジットカードの保険についていることもありますので、ありとあらゆる保険を一度探してみることをおすすめします。

まとめ

弁護士に依頼をした時の費用関係を中心にご紹介させて頂きましたがいかがでしたか?示談交渉は被害者本人で行うには極めて難しく、非常に負担が大きいものとなります。こんな小さな事故で相談してもいいものだろうかと、相談を行くことを悩まれる方もいらっしゃいますが、まずは弁護士の無料相談を受けてみましょう。少しでも適正な賠償金を受け取り、かつ精神的負担の軽減、早期解決の可能性が上がります。相談の際は費用の面も併せて、弁護士に聞いてみることをおすすめします。
なお、当事務所は弁護士費用について、被害者の方が弁護士費用特約に加入しているか、加入していないか等、おひとりおひとりの事情に併せて臨機応変にご対応させて頂いておりますのでご安心ください。

弁護士への依頼をご検討されている方は、是非一度、交通事故問題を多く取り扱う、大阪市・難波(なんば)・堺市の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

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