交通事故 交通事故基礎知識 弁護士相談
2020.07.22 2024.05.16

飲酒による交通事故の件数について。

飲酒による交通事故の件数について。

年末年始や歓送迎会の時期になると、比較的に増えてくる事故が「飲酒運転」です。【飲むなら乗るな、乗るなら飲むな】という言葉が世間に浸透し、件数は大幅に減ってきてはいるものの、まだまだ飲酒運転があることは事実です。ここでは飲酒による交通事故についてご説明をさせていただきます。

1 飲酒による交通事故の現状

飲酒が原因の事故数

飲酒が原因の事故は近年減少傾向にはありますが、撲滅までには至っておりません。平成20年の6,129件から10年間で約半数までは減り、平成30年は3,355件と警視庁より発表されています。この減少の一因は、飲酒運転による痛ましい事故が相次いで起こり、飲酒運転の厳罰化が進んでいることと考えられます。

交通事故全体に見る飲酒事故件数

平成30年の交通事故全体の件数は、43万601件となっており、内飲酒運転は先ほど述べた通り3,355件となっており、一定の割合はありつつも、全体の中では少ない割合ではあります。

問題とされるのは、飲酒運転により死亡事故率の高さです。飲酒運転による死亡事故は年間200件~250件を横ばいで推移しています。

また、警視庁によると、飲酒運転の死亡事故率は5%であり、飲酒なしの死亡事故率に比べると約8倍と非常に危険性が高いことがわかっています。

2 飲酒度合による違い。

飲酒運転には【酒気帯び運転】と【酒酔い運転】の2種類があります。

酒気帯び運転とは

酒気帯び運転は、呼気(吐き出す息)1リットル中のアルコール濃度が0.15㎎以上検出された状態をいいます。

酒酔い運転とは

酒酔い運転は、呼気1リットル中のアルコール濃度は関係なく、アルコールが原因で正常な判断、運転ができないと第三者が判断することができる状態をいいます。具体例でいうと、まっすぐ歩けない、呂律が回らずまともな会話ができない、といった検査するまでもない場合です。なお、アルコール濃度に関係はありませんので、お酒に弱い人が、上記のような状態で、呼気1リットル中のアルコール濃度0.15㎎未満であっても、酒酔い運転としてみなされて罰則を受けることもあります。

3 自動車保険の使用は可能?

飲酒の場合の保険適用可否

通常の交通事故の場合、自動車保険の人身傷害保険や搭乗者傷害保険、また無保険車傷害保険等に加入していると、加害者であっても、自身の怪我に対して保険金を受け取ることが可能です。しかし、飲酒運転の場合には、加害者は以上の保険金を受け取ることはできません。飲酒運転は免責事由にあたるからです。自損事故保険、車両保険についても、保険金は受け取れません。

免責事由

免責事由とは【これに該当する場合は保険金を支払わない】という契約の条項です。飲酒運転はその1つにあたります。他にも薬物の使用や無免許運転なども免責事由となります。なお、加害者本人には保険は支払われませんが、被害者に対しての、対人賠償保険と対物賠償保険は使用ができます。これは、保険の【被害者救済の観点】から、被害者の損害に対しては有効であるとされています。

4 飲酒運転の罰則はどういったものか?

先ほど、飲酒運転は【酒気帯び運転】と【酒酔い運転】の2種類があるとお伝えしましたが、この2種類では、刑事罰や行政罰の内容が異なります。

罰金等の刑事罰

飲酒運転の場合は【人の命を奪う危険性があるにも関わらず、運転を行った】という悪質性があることから、刑事罰の対象となります。仮に事故を起こしていなくても、飲酒をして運転をした場合は、必ず罰せられます。刑事罰は以下の内容です。

酒気帯び運転3年以下の懲役または50万円以下の罰金
酒酔い運転5年以下の懲役または100万円以下の罰金

違反点数(行政処分)

行政罰は、行政上の処分のことをいい、免許点数が加算されます。日本の運転免許は、持ち点0点から始まり、違反により点数がつけられ、一定の点数となると免許の停止、また取り消しとなります。

では、飲酒運転の場合の違反点数はどうなるでしょうか?

①酒気帯び運転

呼気1リットル中のアルコール濃度が0.15㎎以上0.25㎎未満の場合は13点、0.25㎎以上の場合は25点が加点されます。

②酒酔い運転

先ほども述べたように、酒酔い運転は呼気1リットル中のアルコール濃度は関係ありませんので、酒酔い運転と判断された段階で、35点が違反点数として加点されます。これは1回の違反点数では最大値となります。

どちらの場合でも、1回行うことで、免許取り消しもしくは、免許停止となります。なお、前歴によって、免許停止なのかもしくは取り消しなのかは変わりますし、免許取り消しの期間年数も変わります。

【0.15㎎以上.0.25㎎未満の場合】13点加点前歴なし:免許停止90日間
前歴1~2回:免許取り消し1年
前歴3回以上:免許取り消し2年
【0.25㎎以上の場合】25点加点前歴なし~前歴1回:免許取り消し2年
前歴2回:免許取り消し3年
前歴3回以上:免許取り消し4年
【酒酔い運転】35点加点前歴なし:免許取り消し3年
前歴1回:免許取り消し4年
前歴2回:免許取り消し5年
前歴3回以上:免許取り消し6年

酒酔い運転は、前歴なしであっても1回で免許取り消しとなります。なお、これはあくまでも飲酒運転による罰則ですので、もし飲酒運転をしながら他の違反もしている場合は、その違反についても通常よりも重い違反点数となります。

5 飲酒運転の被害に遭われた方は、大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイへご相談ください

飲酒による交通事故を中心に、飲酒運転についてご説明をいたしましたがいかがでしたでしょうか?

飲酒運転は非常に危険であり、決して許されることではありません。「1杯だけなら大丈夫だろう」という気持ちが、取り返しのつかない事態を引き起こします。罰則があるから飲酒運転をしない、ではなく、自分や家族、そして他人の人生を守るためにも、運転をする場合はアルコール摂取をしないようにしましょう。

もし万が一、飲酒運転の被害者になってしまった場合、弁護士に一度相談をしましょう。相手の悪質性を根拠に慰謝料増額を交渉できる可能性もあります。

飲酒運転の被害に遭われたら、交通事故を多く取り扱う大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにまずはご相談ください。

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