交通事故 加害者 損害賠償
2020.07.24 2023.08.25

交通事故で損害賠償請求されたらどうすればよいか?

交通事故で損害賠償請求されたらどうすればよいか?

交通事故において、誰しもが被害者になる可能性もあれば、加害者になる可能性もあります。加害者になった場合は、相手の被害者より損害賠償を請求されることが一般的です。もし、自分が加害者になってしまった場合、どうすればいいのでしょうか?

交通事故の損害賠償請求とは?

加害者側

交通事故において、被害者は損害を受けた場合、損害賠償金を加害者へ請求ができます。損害賠償とは「違法な行為により損害を受けた者(将来受けるはずだった利益を失った場合を含む)に対して、その原因を作った者が損害の埋め合わせをすること」とされています。交通事故においては、被害者本人が損害賠償金の請求者となりますが、もし被害者が事故によって死亡してしまった場合は、相続人(親、配偶者、子供)が請求者となり、加害者へ損害賠償を請求します。

れを受けた加害者は、加害者が加入している任意保険会社か、もしくは加入していなければ加害者自身が被害者に支払わなければいけないこととなります。

なお、損害賠償には大きく分けて4つの種類があります。

・積極損害

・消極損害

・慰謝料

・物的損害

この4つの損害を足した合計金額が、被害者が加害者へ請求する損害賠償金となります。

これらの詳しい内容については次でご説明をさせていただきます。

どういったものが損害賠償範囲なのか?

加害者が請求される損害賠償は以下の内容となります。

積極障害

交通事故により、被害者が実際に支払うこととなった損害をいいます。治療費や通院の交通費、怪我により必要となった装具(車椅子等)、家の改装代(階段を無くす等)がこれに該当します。また、被害者が亡くなった場合においては、葬儀関係費用も積極損害に分類されます。葬儀代だけでなく、墓碑建立費用や仏壇費用、また四十九日にかかった費用も含まれます。

消極障害

交通事故により、被害者が本来得るはずだった利益=収入を失ったことによる損害をいいます。休業損害がこれに該当します。休業損害は、交通事故が原因で、会社を欠勤、または遅刻・早退をしたことにより給与が減額となった際に請求されます。他にも欠勤、遅刻、早退による賞与減額についても、会社が証明書を発行すれば、請求をされることとなります。

本来得るはずだった利益として、後遺傷害による逸失利益と、死亡による逸失利益があります。後遺障害による逸失利益は、後遺傷害により労働能力が低下したため、将来にわたって発生する収入の減少分の損害をいいます。自賠責調査事務所にて審査され、自賠責保険会社にて認定された後遺障害の等級によって金額は大幅に変わります。死亡による逸失利益は、被害者が死亡しなければ、その後本来就労可能な期間において得るはずだったと認められる利益分の損害をいいます。死亡した時点での年齢や収入によって、大きく変わります。

慰謝料

慰謝料は精神的損害とも呼ばれ、財産権以外の損害賠償のことをいい、被害者の精神的苦痛、肉体的苦痛を金銭的に償うものとなります。慰謝料には3種類あります。

・入通院慰謝料…入通院に対する精神的な苦痛に対する慰謝料

・後遺障害慰謝料…後遺障害が残り、後遺障害等級が認定された場合に、後遺障害が残ったことによる精神的な苦痛に対する慰謝料

・死亡による慰謝料…被害者が死亡させられたことに対する慰謝料。遺族にも独自の慰謝料請求権があり。

物的損害

交通事故により、怪我だけでなく物が壊れた場合も、加害者は被害者へ損害賠償をしなければなりません。積極損害の性質を持つ代表的なものは、車両の修理代や代車費用の他、税金や廃車に関する費用、納車の手数料、車庫証明手続き費用といった登録関係手続き費用があります。また、それ以外にもレッカー代や車庫保管料といった雑費関係が該当します。

消極損害の性質をもつ物的損害には休車損害と評価損(格落ち損)があります。休車損害は、営業用車両の修理または買い替えに必要かつ相当な期間の損害とされています。営業用車両を使用できなかったことにより、本来得るはずだった利益分の損害ということです。また、車両を修理した場合、完全に修復をしたとしても事故歴が残ることで、売却価格が下がってしまいますが、この車両の市場価値の減少分を評価損といいます。

以上加害者が被害者より請求される損害賠償の内容となります。ただ、これはあくまで一部です。もし被害者が弁護士を入れて裁判を起こした際には、弁護士の費用も支払わなければなりません。

賠償責任保険とは?

内容

加害者本人が先に述べたような損害を支払うのは、非常に高額であるため、加害者本人が破産する恐れがあります。こういった時のために、賠償責任保険が無制限の任意保険に加入しておくことが大事です。

自動車を所有していても、任意保険に加入していない方は稀にいますが、自賠責保険だけでは被害者の損害を支払いし切れることの方が少なく、加害者本人が自腹で支払うことも多いです。また物損については、自賠責保険では補償の対象にはなりませんので、完全に加害者の自腹です。

車を運転するのであれば、いつ加害者になってもおかしくありません。必ず任意保険に入ることをおすすめします。

さて、任意保険会社にて、自動車保険を契約している場合、基本的には賠償責任保険がついています。【対人賠償責任保険】と【対物賠償責任保険】の2種類となります。

・対人賠償責任保険…自動車事故により、他人(歩行者や相手の車に搭乗者など)が死傷させ、法律上の損害賠償責任を負った場合、被害者の方1名ごとに、自賠責保険から支払われるべき額を超過した分の損害が補償されます。

・対物賠償責任保険…自動車事故により、他人の車や建物など、他人の財物に損害を与え、法律上の損害賠償責任を負担することにより、被る損害について補償されます。

この2つの保険は、万一の場合に備えて、補償は【保険金額無制限】としている保険会社がほとんどです。

保険料を押さえたいから無制限でなくてもいいという方も中にはいらっしゃるようですが、人身損害の場合、被害者が死亡した場合や、重度の後遺障害が残った際には、場合によっては億単位の損害賠償を請求されるケースもあります。物損も人身損害ほどではないにしても、数千万円の請求はありえます。

また、自動車ではなく、自転車にて事故を起こして、加害者になってしまう場合もあります。そういった可能性を考えて、【個人賠償責任保険】への加入もおすすめします。

個人賠償責任保険とは、自転車の走行や日常生活、住宅の使用・管理等に関して、第三者である他人の身体に怪我を負わせたり、他人の財物を壊したりして損害を与えてしまった時に、請求された損害賠償をカバーする保険です。

自動車保険の特約としてある場合が多いです。上限額は一般的には5,000万円~1億円が相場となりますが、保険料を高くすることでそれ以上の補償額にすることも可能です。

任意保険の特約とは?

特約の確認

加害者になってしまった場合、まずは保険会社に特約の内容を確認しましょう。対人賠償責任保険や対物賠償責任保険は必ずしも使用ができるとは限りません。

保険料が未払いの場合や損害賠償の相手が配偶者や両親、子供に対しての場合、また自然災害が事故の原因の場合は使用ができないことがあります。

なお、契約者の重大な過失によって生じた事故による損害は保険金が支払われます。飲酒運転や無免許運転、薬物を使用しての運転もこれに入ります。

これは、被害者保護の観点から支払われることとなります。

主なサービス内容

賠償責任保険の主なサービス内容は、損害賠償金を加害者に代わって支払ってくれるだけでなく、多くの保険会社では、示談代行サービスがあります。当事者同士では感情的になり、なかなか話が進まなかったり、被害者から過剰な請求をされたりすることもあるのが交通事故です。

任意保険に入っていれば、保険会社が基本的には示談まで対応をしてくれます。

なお、注意をしなければならないのは、示談代行サービスが使用できない場合があります。それは、損害賠償額が保険金額(対人賠償責任保険の場合は、対人賠償責任保険の保険金額と自賠責保険の支払額の合計)を明らかに超えるとわかっている場合です。例えば、対物賠償責任保険の保険金額を無制限ではなく、上限300万円で設定をしていたけれど、被害者の損害賠償額が1,000万円を超えてしまった場合です。

こういった事故の場合は、保険会社による示談交渉サービスは利用不可となります。保険金額を無制限にすることで、被害者への補償をしっかりできるだけでなく、示談交渉サービスも利用できるといった点は大きいです。

ただし、法的責任を保険会社が肩代わりするからといって、丸投げをしてしまってはいけません。被害者が加害者に対しての印象が悪い場合、保険会社が間に入ったとしても、示談が難航することもありますし、最悪の場合は示談後も被害者からの嫌がらせなどトラブルに巻き込まれることもありえます。

しっかりと真摯に対応することが大切です。

訴訟の場合は?

弁護士相談の流れ

任意保険会社に加入していない、もしくは加入していていたとしても示談交渉サービスがついていない場合は、被害者本人かないしは被害者が加入している保険会社と示談交渉をしなければならないことになります。そういった場合、相手から提示されている金額が妥当であるかを判断するためにも、弁護士に相談をすることをおすすめします。

なお、交通事故の示談交渉は、損害倍書の金額・内容以外にも、過失割合において双方の主張が決裂することもあり、裁判になることもあります。

また、被害者が死亡した場合や重度の障害を負った場合は、裁判になることも少なくはありません。そうなった際は加害者自身で対応するには限界があります。

訴訟となってしまった場合は、迷わず弁護士に相談をしましょう。費用が心配ということであれば、無料相談をしている法律事務所もありますので、まずは相談をしてみましょう。

まとめ

もし、交通事故の加害者になってしまったら、かつ任意保険にも入っていないとしたら、加害者は被害者に対して高額な損害賠償を支払わなければならなくなる可能性があります。

保険は事前に加入していることが大事です。今一度、ご自身の加入している保険の内容を確認することをおすすめします。

また、もし保険に加入しないまま、交通事故の加害者となってしまった場合は、大きなトラブルになる前に、弁護士に相談をすることをおすすめします。

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