交通事故 後遺障害 慰謝料
2020.08.24 2024.04.25

交通事故の後遺障害慰謝料の計算方法について知りたい!

交通事故の後遺障害慰謝料の計算方法について知りたい!

交通事故にて受傷し、残念ながら怪我が完治をせず、後遺障害として残ってしまった場合、後遺障害の慰謝料を請求することが可能です。

これは怪我をして、入院・通院をしたことにより請求が可能となる、「入通院慰謝料(傷害慰謝料)」とは別のものとなり、請求をするためには、後遺障害等級が認定されなければなりません。

ここでは、後遺障害慰謝料についてご説明をさせていただきます。

後遺障害慰謝料とは?

後遺障害等級認定

まず、後遺障害慰謝料についてご説明をする前に、後遺障害の等級認定がなされるまでのおおまかな流れについてご説明をさせていただきます。

①交通事故発生

交通事故にて受傷した部分の治療に入ります。医師の診察はできる限り早く受けるようにしましょう。

医師には治療時に必ず自身の症状についてしっかりと伝えるようにすることが大切です。

②治療開始~継続

医師に相談をしながら通院を継続しましょう。この時、通院期間が1ヶ月空いてしまうと交通事故が原因の怪我ではないと判断され、後遺障害の等級認定審査の際に不利に働く可能性が高くなります。

週2~3回程度、月10回を目安にして通うようにしましょう。

③治療終了(症状固定)

治療を続けても、残念ながらこれ以上良くも悪くもならない状態であると医師が判断したのであれば、症状固定となり、治療は終了となります。

④後遺障害診断書の作成

医師に後遺障害診断書を作成してもらいます。

この時、医師であれば誰でもいいわけではありません。症状固定と判断をした主治医に書いてもらうようにしてください。

⑤後遺障害診断書を含む関係書類を加害者の自賠責保険会社へ提出

後遺障害診断書の他、審査には受傷から症状固定までの治療記録など、さまざまな資料を提出しなければなりません。

なお、提出方法には、相手の任意保険を通じて行う「事前認定」と、被害者が直接自賠責保険会社へ提出をする「被害者請求」があります。

前者は、後遺障害診断書だけを用意すればいいので、手間は省けますが、手続きが不透明の為、あまりおすすめはできません。

⑥自賠責保険会社が提出書類を一式損害保険料率算出機構へ転送。

⑦損害保険料率算出機構の自賠責調査事務所による調査

この調査には、およそ1~2か月はかかります。重度の後遺障害の場合は半年以上かかるケースもあります。

⑧自賠責調査事務所より申請者に調査結果が通知

もしも事前認定を行った場合は、相手の保険会社に連絡が入り、保険会社より被害者に認定結果が通知されます。

⑨認定結果に納得いく場合は示談交渉、納得がいかない場合は異議申し立て

異議申し立ては一度出た結果を覆すことになるので、被害者本人で行うのは非常に難しいです。

もしも行うのであれば、弁護士に相談することをおすすめいたします。

後遺障害慰謝料の支払基準

後遺障害慰謝料の支払には3つの基準があります。

最も低い基準を【自賠責保険基準】、最も高い基準を【裁判所基準】といい、その間に【任意保険基準】があります。

いずれも後遺障害の等級に応じて、後遺障害慰謝料は決まっています。

裁判所基準は、自賠責保険基準や任意保険基準に比べて非常に高額です。

自賠責保険基準は、強制保険である自賠責保険で使用されている基準であり、公平にできる限り多くの被害者の方を迅速に救済するために、支払い限度額が明確に決まっています。

また、任意保険基準は任意保険が独自に過去のデータ等を基に定めている基準であり、自賠責保険基準よりも高額とされていますが、明確な計算方法は公開されていません。

自賠責保険基準よりも少し高い、もしくは自賠責保険基準と同じという結果が多いです。

裁判所基準は、弁護士基準とも呼ばれており、交通事故の過去の裁判例から算出されています。よってこの基準は「最も適正な損害賠償金を算出できる基準」とされており、「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準(通称赤い本)」に金額については記載がなされています。

後程ご説明をしますが、後遺障害の損害賠償金については、自賠責保険と裁判所基準では数百万円以上の差が出ることがあります。

つまり、どの算定基準を使用するかはとても重要となります。

なお、この裁判所基準は、弁護士に依頼をしなければ使えないことがほとんどです。法的拘束力がないため、被害者の方がたとえ知識があり、保険会社へ請求を行ったとしても、受け入れられることはないと考えたほうが良いでしょう。

弁護士に依頼することが、示談交渉段階で裁判所基準を使用する唯一の方法となります。

後遺障害慰謝料の計算方法

後遺障害の慰謝料の計算方法は、後遺障害等級表を見ると計算が可能です。

自賠責保険

後遺障害等級表とは、後遺障害によって自賠責保険から受けとることができる保険金と、後遺障害によって失われた労働能力がどの程度のものであるかの目安(労働能力喪失率)が一覧となっているものです。

(※どういった症状が該当するかも記載されている場合もあります)

下記は、裁判所基準も併せて記載した、後遺障害等級表です。

別表Ⅰ 後遺障害により介護が日常的に必要な場合の後遺障害に使用

後遺障害等級 自賠責保険基準

(慰謝料)

逸失利益との合計限度額 裁判所基準(慰謝料) 労働能力喪失率(%)
第1級 1600万円

※1650万円

4000万円 2800万円 100
第2級 1163万円

※1203万円

3000万円 2370万円 100

※令和2年4月1日以降の交通事故の場合

別表Ⅱ その他、日常的な介護が必要ない場合の後遺障害に使用

後遺障害等級 自賠責保険基準

(慰謝料)

逸失利益との合計限度額 裁判所基準

(慰謝料)

労働能力

喪失率(%)

第1級 1100万円

※1150万円

3000万円 2800万円 100
第2級 958万円

※998万円

2590万円 2370万円 100
第3級 829万円

※861万円

2219万円 1990万円 100
第4級 712万円

※737万円

1889万円 1670万円 92
第5級 599万円

※618万円

1574万円 1400万円 79
第6級 498万円

※512万円

1296万円 1180万円 67
第7級 409万円

※419万円

1051万円 1000万円 56
第8級 324万円

※331万円

819万円 830万円 45
第9級 245万円

※249万円

616万円 690万円 35
第10級 187万円

※190万円

461万円 550万円 27
第11級 135万円

※136万円

331万円 420万円 20
第12級 93万円

※94万円

224万円 290万円 14
第13級 57万円 139万円 180万円 9
第14級 32万円 75万円 110万円 5

※令和2年4月1日以降の交通事故の場合(13級、14級は変更なし)

例えば、12級の後遺障害が認定されたとします。

この場合、慰謝料と逸失利益を合わせて自賠責保険から受け取れるのは224万円となります。

なお、表に記載されている裁判所基準の定められている金額はあくまでも、慰謝料の金額です。

このように、表を見ていただくだけでもわかるように、自賠責保険基準の場合、逸失利益と慰謝料を合計した金額であっても、裁判所基準の慰謝料を大きく下回る場合があり、かなりの差額があることがお分かりいただけるかと思います。

弁護士が請求する際の、裁判所基準で計算される逸失利益は、被害者本人の基礎収入と労働能力喪失率、そして労働能力喪失期間をかけて算出されます。

そのため、自賠責保険基準より大幅に後遺障害の損害賠償金は増えます。

任意保険

任意保険の場合は、任意保険基準で計算されますが、先ほどもお伝えしたように、明確な計算方法は明らかになっていません。

過去の相談者様のお声を聞く限りになりますが、自賠責保険基準のまま被害者の方に提示しているケースが多いです。

相手の保険会社に対して、しっかりと適正な金額で請求するには、弁護士に依頼をして、「後遺障害慰謝料」と「後遺障害の逸失利益」を分けて計算をし、請求することを強くおすすめします。

後遺障害等級表の例外

後遺障害等級表に乗っていない場合

さて、後遺障害が残ったものの、後遺障害等級表に記載が無い障害であるということもあります。

そういった場合は、その障害の程度に応じて、後遺障害等級表に記載された障害に相当する等級が認定されることもあります。

これは「相当等級」と呼ばれます。

例えば、眼の傷害です。

眼の障害については、基本的に後遺障害として以下の内容で分けられて、等級表には基準として記載がされています。

1.視力に関するもの

2.調節機能に関するもの

3.眼球運動に関するもの

4.視野に関するもの

5.まぶたに関するもの

しかし、事故による眼の受傷の1つに、眼の瞳孔が開きすぎる障害「外傷性散瞳」というものがあります。

光をうまく調節できず、まぶしく感じすぎてしまうことから労働能力に影響があると考えられ、12級もしくは14級の相当等級として認定されることもあります。また、両目ともに外傷性散瞳になった場合は、11級もしくは12級の相当等級が認定されることもあります。

その他にも、「流涙」と呼ばれる、常時涙が溢れるようになってしまう障害があります。これは、片目だと14級、両目の場合は12級が相当等級として下りることがあります。

こちらでは代表例として眼についてご案内しましたが、他にも耳、鼻、口などにも相当等級があります。

「自分の後遺障害は表に載っていないからダメなのでは?」とお考えの方は一度主治医か、もしくは弁護士に聞いてみましょう。

複数の障害がある場合

交通事故にて後遺障害が2つ以上残る場合もあります。

後遺障害が2つ以上残ってしまった場合においては「併合」として認定が下ります。

後遺障害の数だけ、慰謝料や逸失利益が下りるわけではありませんのでご注意ください。

併合の場合はどのように等級が判断されるのでしょうか?

この場合、基本的には考え方は2通りとなります。

・重い等級を採用する

・重い方の等級を1~3等級繰り上げる

具体的には下記の内容となります。

①重い方の等級で認定される場合

14級と14級以上の障害がある場合、重い方の等級が認定されます。

例えば、14級と11級の後遺障害がある場合は、11級が採用され、「併合11級」となります。

②重い方の等級が繰り上げられる場合

・5級以上の後遺障害が複数ある場合、重い方の等級を3級繰り上げます。

例えば、5級の後遺障害、4級の後遺障害がある場合です。この場合は4級を3級分繰り上げることになりますので、「併合1級」となります。

・8級以上の後遺障害が複数ある場合、重い方の等級を2級繰り上げます。

例えば、8級の後遺障害、6級の後遺障害がある場合です。この場合は6級を2級分繰り上げることになりますので、「併合4級」となります。

・13級以上の後遺障害が複数ある場合、重い方の等級を1級繰り上げます。

例えば、13級の後遺障害、12級の後遺障害がある場合です。この場合は12級を1級分繰り上げることになりますので、「併合11級」となります。

③その他(障害の序列に従った例外)

併合による等級認定を行った結果、障害の序列が乱される場合は、障害の序列に従った認定がされることとなります。

例えば、右の手首から先からが欠損し、左腕は肘関節以上先を欠損した方がいたとします。この場合、等級は5級と4級が該当します。

先ほどの考え方からすると、4級を3等級分繰り上げるので併合1級となります。

しかし、1級6号には「両上肢を肘関節以上で失ったもの」とあります。

よって、右は手首から先しか失っていないにも関わらず、併合1級となると、1級6号に至っていないにも関わらず認定されるため、序列が乱れます。

こういった場合は、1級には達しないものとし、併合2級で調整されます。

後遺障害慰謝料を増額したい方は、大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイへ

後遺障害慰謝料についてご説明をさせていただきましたが、いかがでしたでしょうか?

後遺障害慰謝料は等級によって、また算定基準によって大きく差が出ます。

被害者の方が大きな損失に気づかないまま、適正な後遺障害慰謝料など、後遺障害の損害賠償金を受け取れないことはあってはなりません。

後遺障害慰謝料増額をしたい、といった後遺障害の損害賠償についてご希望のある方は、交通事故を多く取り扱う大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

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