交通事故 慰謝料
2020.10.08 2024.04.25

交通事故で受け取れる慰謝料の計算方法を知りたい!

交通事故で受け取れる慰謝料の計算方法を知りたい!

交通事故の被害者の方が受け取る損害の1つに慰謝料があります。

慰謝料については仕組みを知っていなければ、被害者の方は大きく損をする可能性があります。

交通事故の慰謝料には、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料の全部で3種類あります。

そしてこの慰謝料を計算する基準も、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準の3種類があります。

この3つの基準については、『交通事故の慰謝料について相談したい』の記事をご覧いただければ幸いです。

ここでは、それぞれの慰謝料を各算定基準でどのように計算がなされるのかをご説明します。

入通院慰謝料の計算方法

交通事故が原因で、被害者の方が怪我を負い、治療のために入院、通院をしなければならなくなった際に受けた精神的苦痛に対する慰謝料を「入通院慰謝料」もしくは「傷害慰謝料」といいます。

自賠責基準

まずは、一番低い基準である自賠責基準の算定方法をご紹介します。

自賠責保険では、入通院1日あたりを4,300円としており、以下の式で求めることができます。

※2020年4月1日以前の事故の場合は1日あたり4,200円

 

4,300円×対象日数

 

対象日数は以下で求めることができます。

①実際の入院期間と通院をした実日数を合計し2倍

②治療期間

 

この2つの計算方法で求め、少ない方の金額が自賠責基準で算出されるための対象日数となります。

 

(例)

【入院期間30日、通院実日数90日、治療期間が210日の場合】

①(30日+90日)×2=240日

②210日

 

この場合、対象日数は①の210日となり、被害者の方が受け取れる入通院慰謝料は、4,300円×210日=903,000円となります。

任意保険基準

任意保険基準は、現在、各保険会社が独自で定めています。過去のデータや実績で算定していると考えられますが、明確な計算方法は明らかになっていません。

ここでは、過去に保険会社が用いており、現在も算出する際に使用をしている保険会社が多い、「旧任意保険基準」をご紹介します。

 

万円

(単位)

入院 1ヶ月

 

2ヶ月 3ヶ月 4ヶ月 5ヶ月 6ヶ月
通院   25.2

 

50.4 75.6 95.8 113.4 128.5
1ヶ月 12.6 37.8 63 85.7 104.6 121 134.8
2ヶ月 25.2

 

50.4 73.1 94.5 112.2 127.3 141.1
3ヶ月 37.8 60.5 81.9 102.1 118.5 133.6 146.1
4ヶ月 47.9 69.3 89.5 108.4 124.8 138.6 151.1
5ヶ月 56.7 76.9 95.8 114.7 129.8 143.6 154.9
6ヶ月 64.3 83.2 102.1 119.7 134.8 147.4 157.4
7ヶ月 70.6 89.5 107.1 124.7 138.6 149.9 160
8ヶ月 76.9 94.5 112.1 128.5 141.1 152.5 162.5

 

先ほどと同じ例でみてみましょう。

【入院期間30日、通院実日数90日、治療期間が210日の場合】

1ヶ月を30日と考えると、治療期間は7ヶ月となります。

そのうち1ヶ月は入院しているので、通院期間は6ヶ月と考えます。

交差するマスは832,000円となり、これが旧任意保険基準で算出される慰謝料となります。

弁護士基準

弁護士基準は、3つの基準の中で最も高額な損害賠償金が算出される基準となります。公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部が発行している「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準(通称赤い本)」を参考に、2つの表を使い分けて慰謝料は計算されます。

別表Ⅰ、Ⅱについては被害者の方の怪我の程度で使い分けがなされています。

 

むち打ち以外の怪我の場合の傷害部分の慰謝料基準表(損害賠償額算定基準:別表Ⅰ)

万円

(単位)

入院 1ヶ月

 

2ヶ月 3ヶ月 4ヶ月 5ヶ月 6ヶ月
通院   53

 

101 145 184 217 244
1ヶ月 28 77 122 162 199 228 252
2ヶ月 52 98 139 177 210 236 260
3ヶ月 73 115 154 188 218 244 267
4ヶ月 90 130 165 196 226 251 273
5ヶ月 105 141 173 204 233 257 278
6ヶ月 116 149 181 211 239 262 282
7ヶ月 124 157 188 217 244 266 286
8ヶ月 132 164 194 222 248 270 290

 

 

むちうちなど他覚的所見がない場合に使用(損害賠償額算定基準:別表Ⅱ)

万円

(単位)

入院 1ヶ月

 

2ヶ月 3ヶ月 4ヶ月 5ヶ月 6ヶ月
通院   35

 

66 92 116 135 152
1ヶ月 19

 

52 83 106 128 145 160
2ヶ月 36 69 97 118 138 153 166
3ヶ月 53 83 109 128 146 159 172
4ヶ月 67 95 119 136 152 165 176
5ヶ月 79 105 127 142 158 169 180
6ヶ月 89 113 133 148 162 173 182
7ヶ月 97 119 139 152 166 174 183
8ヶ月 103 125 143 156 168 175 184

 

では、先ほどと同じく、下記の場合での慰謝料を計算してみましょう。

【入院期間30日、通院実日数90日、治療期間が210日の場合】

表の見方は旧任意保険基準と同じで、1ヶ月を30日と考え、治療期間は7ヶ月とし、1ヶ月は入院しているので、通院期間は6ヶ月と考えます。

入院をし、退院後に通院があった場合、表上にて該当する月数が交差したところが慰謝料の相場となります。

 

パターン①むちうち以外の場合

別表Ⅰを見ていただくと、交差する部分は149万円となります。

パターン②むちうちなど他覚所見のない場合

別表Ⅱを見ていただくと、交差する部分は113万円となります。

 

このように見ていただくとわかるように、弁護士基準で計算をされた慰謝料が、最も高額であることは明らかです。

後遺障害慰謝料の計算方法

後遺障害慰謝料は、交通事故に被害者の方が傷害を負い治療を行うも、後遺障害が残存してしまった場合に、後遺障害が残ってしまったという精神的苦痛に対する慰謝料です。

これは、後遺症が残ってしまっただけでは支払われません。後遺障害等級認定を受け、1級~14級のいずれかの等級が認定された場合において、等級に応じて支払われます。

自賠責基準

自賠責保険の慰謝料は下記の内容となります。

なお、2020年4月1日以降の事故はそれ以前の事故よりも、後遺障害慰謝料の部分は増額されていますが、その分逸失利益分が減っていますので、後遺障害部分の支払上限額には変わりはありません。

 

別表Ⅰ 後遺障害により介護が日常的に必要な場合の後遺障害に使用

後遺障害等級 2020年4月1日以前 2020年4月1日以降
第1級 1,600万円 1,650万円
第2級 1,163万円 1,203万円

 

別表Ⅱ その他、日常的な介護が必要ない場合の後遺障害に使用

後遺障害等級 2020年4月1日以前 2020年4月1日以降
第1級 1,100万円 1,150万円
第2級 958万円 998万円
第3級 829万円 861万円
第4級 712万円 737万円
第5級 599万円 618万円
第6級 498万円 512万円
第7級 409万円 419万円
第8級 324万円 331万円
第9級 245万円 249万円
第10級 187万円 190万円
第11級 135万円 136万円
第12級 93万円 94万円
第13級 57万円 57万円
第14級 32万円 32万円

※13級、14級の後遺障害慰謝料に変更はありません。

任意保険基準

入通院慰謝料と同じく、旧任意保険基準をここではご紹介いたします。

後遺障害等級

旧任意保険基準

1級

1,300万円

2級

1,120万円

3級

950万円

4級

800万円

5級

700万円

6級

600万円

7級

500万円

8級

400万円

9級

300万円

10級

200万円

11級

150万円

12級

100万円

13級

60万円

14級

40万円

弁護士基準

赤い本の弁護士基準では以下の通りで定められています。

後遺障害等級

赤本基準

1級

2,800万円

2級

2,370万円

3級

1,990万円

4級

1,670万円

5級

1,400万円

6級

1,180万円

7級

1,000万円

8級

830万円

9級

690万円

10級

550万円

11級

420万円

12級

290万円

13級

180万円

14級

110万円

 

例えば、追突事故の被害に遭い、被害者の方がむちうち症となった場合、後遺障害の等級認定を行い、後遺障害等級14級の等級が下りたとします。

 

この時、被害者の方自身で示談をするとなると、相手の保険会社は、自賠責保険基準での慰謝料は32万円か、旧任意保険基準だと40万円程度を提示してくるでしょう。

一方で、弁護士を立てれば、弁護士基準で交渉を行うため、110万円が後遺障害慰謝料の相場とされます。

 

等級が高ければ高くなるほどその差は明確に現れます。

後遺障害の可能性がある方、もしくはすでに等級が認定されている方は、必ず弁護士に相談をすることをおすすめします。

死亡慰謝料の計算方法

被害者の方が亡くなってしまった場合、被害者の方が死亡させられたことによる慰謝料が請求できます。これを死亡慰謝料といい、被害者の方の立場によって、金額が変わります。立場というのは、一家の支柱であったか、そうでなかった場合という差です。被害者の方が、一家の支柱の場合、経済的な支柱を失うと考えられるからです。

自賠責基準

自賠責保険基準では、以下の内容が支払いの限度額となります。

死亡による慰謝料 内容 支払基準
被害者本人の慰謝料 400万円(※350万円)
遺族の慰謝料

※請求者(親、配偶者、子)の人数により金額は異なります。

請求者が

1名の場合:550万円

2名の場合:650万円

3名以上の場合:750万円

※被害者に被扶養者がいる場合においては、上記の金額に200万円が加算されます。

※2020年4月1日以前の事故の場合の基準

 

なお、自賠責保険では、一家の支柱か否かでの金額の差は設けられておらず、金額は一律です。

任意保険基準

以下の任意保険基準の死亡慰謝料は、あくまでも推定金額です。明確には示されておりませんので、おおよその金額でご紹介いたします。

被害者の家族での役割

一家の支柱 1,700万円程度
母親・配偶者 1,500万円程度
その他(独身者、未成年者等) 1,500万円程度
弁護士基準

赤い本においての死亡慰謝料は以下の内容で記載されています。

被害者の家族での役割

一家の支柱 2,800万円
母親・配偶者 2,500万円
その他(独身者、未成年者等) 2,000万円~2,500万円

 

 

なお、自賠責基準と同じく、任意保険基準や弁護士基準でも、遺族の方の慰謝料は、亡くなられた被害者の方の慰謝料とは別途請求が可能となります。

 

入通院慰謝料や後遺障害慰謝料と同じく、死亡慰謝料でも自賠責基準よりもはるかに上回る金額が弁護士基準では算出されます。

慰謝料増額については、大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

慰謝料の計算方法・相場について、ご説明させていただきましたが、算定基準が変わるだけで、同じ事故の内容であっても、被害者の方が受け取れる金額は大きく変わります。

 

被害者の方は、相手の保険会社が提示してくる金額は適正ではないということ覚えておきましょう。

また、たとえ被害者の方が知識をつけ、保険会社へ弁護士基準で慰謝料を請求したとしても、法的拘束力がないことから、応じる保険会社は基本的にはありません。

 

弁護士基準で、適正な慰謝料を受け取るためには弁護士に依頼をするか、裁判をするしかありません。

 

相手の保険会社から慰謝料を含む損害賠償金の案が提案されたら、まずは弁護士に相談をしましょう。

 

慰謝料増額のご相談は、交通事故を多く取り扱う大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイへお気軽にご連絡ください。

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