交通事故 示談
2020.10.14 2024.04.25

交通事故の示談と裁判について知りたい

交通事故の示談と裁判について知りたい

交通事故問題を解決していく際、多くの場合は、当事者間の示談交渉で解決をします。

しかし、場合によっては、裁判にて解決を図ることもあります。

さて、交通事故の被害に遭われた方のほとんどが交通事故を経験することは初めてであり、示談で解決することと、裁判で解決することの違いについては、あまり知られていません。 

ここでは、示談と裁判の違いについてご説明をします。

交通事故の示談と裁判

交通事故の示談と裁判の違い

示談とは、民事上の争いを、裁判や調停などの裁判所での手続きをすることなく、裁判所外で、当事者同士で解決をします。紛争を終わらすためには双方の合意が必要となります。示談とは、その合意を指します。

一方で、裁判とは、民事裁判や刑事裁判に分けられます。

 

民事裁判は、私的な権利義務を争う裁判であり、当事者間で支払われる損害賠償金などの金銭的な問題が争われます。 

刑事裁判は、検察官が起訴をした事件について加害者である被告人が有罪か無罪かを争う裁判です。有罪の場合は、罰金や懲役などの刑事処分が下されます。

交通事故の示談とは

交通事故の示談では、加害者が加入する任意保険会社もしくは加害者本人へ、被害者の方は、慰謝料や休業損害等といった損害賠償金を請求し、また過失割合などについても話し合いで決定をし、交渉で示談金を決定し紛争を解決します。示談は、法律上は「和解契約」といいます。

双方が合意すると示談が成立したことになります。口約束でも示談の効力はありますが、後々のトラブルを防ぐためにも、示談の内容(金額や過失割合など)を書面にし、示談書を取り交わします。相手が保険会社の場合は示談書と同じ効果をもつ、「損害賠償に関する承諾書(免責証書)」という名称の書類になることもあります。

交通事故の裁判とは

交通事故での裁判は、刑事裁判と民事裁判がありますが、被害者の方の損害賠償金について解決をしていく裁判は民事裁判となります。

なお、初めから損害賠償について、裁判を行うことは滅多にありません。 

過失割合や損害賠償金の内容などについて、双方の主張に大きく差が出たことにより、当事者同士の話し合い、つまり示談で解決ができなかった場合において、裁判の手続きを進めていくこととなります。

交通事故で示談する場合

交通事故で示談するメリット

交通事故問題を示談段階で解決するメリットは大きく分けて3つあります。

①最も早期に解決ができる。

示談は、被害者の方のすべての損害が確定した段階で、交渉が始まります。相手が保険会社の場合は、保険会社から損害賠償の内容について、示談案が送られてきます。その内容で合意ができるようであれば、示談成立です。もしも、納得がいかない内容であれば、交渉をしていくこととなります。

②準備すべき資料が最も少なく済む。

示談は裁判と比較した場合、相手の保険会社へ提出すべき資料が少なくなります。その為、被害者の方の準備すべき手間を省くことが可能です。

③弁護士に依頼をした場合、弁護士費用を最も抑えることができる。

弁護士費用とは、弁護士に依頼をした際に負担する費用となります。

主にかかる費用の内容は、弁護士に依頼した時点で発生する前払いの性質がある「着手金」と、弁護士が示談に介入し、示談が成立し事案が終了した時点で結果に応じて支払われる「報酬金」等があります。なお、着手金は、たとえ依頼者の望まない結果になったり、途中で解任したりしても、返金はされません。

示談の場合は、裁判等その他の解決手続きに移行しない限りは、基本的に追加で着手金などが発生することはありません。そのため、費用は最も抑えることができると考えられます。

交通事故で示談するデメリット

交通事故問題を示談で解決するデメリットもメリットと同じく3つあります。

①当事者双方の譲歩で解決をしていくことから、裁判と比較すると低額になる可能性がある。

示談時にこちらの希望する金額のすべてが通るわけではありません。双方の譲歩があるからこそ示談交渉は進行していきます。そのため、裁判で解決するよりも低額になる可能性もありえます。

②双方の合意がなければ示談成立とならない。

示談を成立するためには、双方の合意が必要となります。主張がかけ離れている場合などは、双方の合意が無い限りは、被害者の方は示談金受け取ることができない為、示談のメリットである早期解決が無くなり、時間がかかるデメリットへと変わります。

③示談交渉による精神的負担がある。

弁護士に依頼をせずに、被害者の方本人で示談交渉を行うとなった場合、被害者の方の精神的負担はかなり大きくなると予想されます。

多くの被害者の方は、交通事故は初めての経験であり、知識もそこまで多い訳ではありません。

その一方で示談交渉する相手のほとんどが保険会社であり、交通事故問題のプロです。一方的に主張を言われてしまい、相手の主張が正しいのかわからないまま話が進んでいくことも少なくありません。結果、被害者の方の精神的負担が大きくなります。

示談がうまくいかなかった場合

重ねて申し上げますが、交通事故問題は多くの場合は裁判まで進むことはなく、多少時間がかかるケースもありますが、示談にて解決することが多いです。

しかし、示談交渉を続けても、残念ながら双方の主張が食い違い、示談が難航することもあります。

この場合は、交通事故紛争処理センターといった、ADR機関(裁判外で当事者の紛争を解決する目的をもつ紛争処理機関)へ申し立てもありますが、紛争処理センターでの解決が見込めない案件であれば、裁判手続きへ移行します。

交通事故で裁判する場合

次に、交通事故問題における裁判手続きのメリット、デメリットを確認してみましょう。

交通事故で裁判するメリット

①加害者側に弁護士の費用の一部、遅延損害金が請求可能となる。

裁判の場合、判決に至れば、一部の弁護士費用や遅延損害金といった加算の要素があり、最も多くの損害賠償金を被害者の方は得る可能性が高いです。ただし、裁判では、損害の算出が非常に細かく、かつ認定が厳しいことがあるため、加算分が打ち消されることもありえます。

②合意ができなくでも解決ができる。

示談については、当事者双方の合意が解決には必要でした。しかし、裁判では、合意が無くても、解決ができます。裁判では、当事者たちがそれぞれの希望を叶えるべく、主張・立証を行います。双方の主張や用意された証拠を基に裁判官は最終的に強制力の持つ判決を下すことで、紛争の解決を図ることになります。

つまり、そこには双方の合意は必要がありません。

③強制執行が可能となる。

判決は強制執行力があります。そのため、たとえば、相手が保険開始ではなく、加害者本人であり、判決で決定した損害賠償金を支払わない場合は、加害者に支払う意思がなかったとしても、財産を差し押さえ、取り立てを行うことが可能となります。

注意点は、加害者に財産が無ければ取り立てができないということです。

交通事故で裁判するデメリット

①事件解決までに時間がかかる。

裁判を起こすとなると、準備から判決まで、最低でも1年~1年半はかかると想定しておきましょう。事故状況が複雑であったり、被害者の方に残った障害が重い場合や亡くなったりした場合は、さらに時間がかかることも少なくありません。

なお、通常裁判は月に1回くらいのペースで行われ、双方が主張をする中で何が争点であることを整理していきます。

②用意すべき資料が膨大である。

裁判は手続きにいくつもの資料が必要となることが多いです。整理された争点を裏付ける証拠を提出する必要があります。 

③尋問のため、裁判所への出廷が必要となることがある。

交通事故の民事裁判では、争点が整理され、主張・証拠が揃った段階で、本人尋問を行います。その上で、判決が下されます。

尋問は法廷の場で、裁判官や当事者からの質問に回答することになります。そのため、裁判所への出廷が必要となります。

④損害賠償金の結果が想定しづらい。

当事者の主張や証拠、尋問の結果次第で認定金額が、示談交渉段階より大幅に変わることがあるため、最終的な結果が被害者の方には想定がしづらいということが考えられます。

⑤弁護士費用が最も高くなる。

交通事故問題を解決するにあたって弁護士を入れる場合、裁判手続きになった際が、一番費用は高額となります。最初の段階で支払った着手金と別途、訴訟移行費用がかかることが多いです。その為、判決で認定された金額がたとえ高額であっても、被害者の方が想定していたよりも手元に残せないことがありえます。

裁判中の和解

裁判の中で、本人尋問をする前に裁判所より和解勧告がされることが多いです。和解勧告とは、裁判所がそれまでの双方の主張を聞き、和解案を作成し、その和解案を基に当事者双方が納得、和解できるかどうかを協議します。

納得ができないのであれば、本人尋問や、過失割合や怪我と交通事故の因果関係で争いがある場合は、目撃者や医師の証人尋問が行われます。そして再度、再び和解勧告がされ、本当に和解では解決ができないのか協議します。 

裁判上で和解が成立となると、和解調書が作成され、裁判は終了、事件は解決となります。実は、交通事故の場合は、交通事故以外の民事裁判と比べても和解での解決が多く、判決までいかないことは少なくないです。

ここまでの手続きをおいても和解に至らなかった場合は、弁論が終結したとされ、1~2ヶ月後に判決の日が決定し、判決が言い渡されます。

裁判結果に満足しない場合

裁判を行った結果、第一審の判決が出たものの、納得がいかない結果となることもあります。いわゆる敗訴という場合です。

その場合、そのまま敗訴の結果を受け入れたくない方は、控訴という手続きに入ることになります。 

控訴手続きは、いつでも行えるわけではなく、判決書を受け取った日(判決送達日)から2週間以内に第一審を行った裁判所へ控訴状を提出しなければなりません。

控訴状を提出後、次は50日以内に控訴理由書をという書面を提出します。そこには、控訴に至った理由、つまり第一審の判決が誤りであるという主張を具体的にかつ説得的に言わなければなりません。

なお、控訴審は1度の口頭弁論で終わることが多いため、時間は第一審よりはかかりません。控訴審での判決に不服がある場合は、上告し、最高裁へ不服申立をすることも制度上はありますが、上告が認められることはほぼありません。

また、控訴に移る場合は、第一審の費用とは別途に、印紙費用や弁護士費用等が再度かかります。

交通事故問題でお困りの方は、交通事故を多く取り扱う大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

示談と裁判の違いを中心にご説明をさせていただきました。

こちらの記事を読んでいる方の中に、示談が難航しそうである、これからの示談交渉が不安だという被害者の方がもしもいらっしゃいましたら、弁護士に相談するようにしましょう。

早期の段階で相談することで、示談の段階で事件が解決する可能性も上がります 

また、裁判になる可能性が高い方は交通事故問題に詳しい弁護士に相談をするようにしましょう。裁判となると、交通事故問題に慣れていない弁護士であった場合、納得がいかない判決が下る可能性が上がってしまいます。

示談や裁判のことで悩まれている方いらっしゃいましたら、ぜひ一度、交通事故を多く取り扱う大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

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