交通事故 交通事故基礎知識 損害賠償
2020.12.03 2023.08.25

交通事故紛争処理センターで算出する損害賠償金は弁護士基準なのか知りたい

交通事故紛争処理センターで算出する損害賠償金は弁護士基準なのか知りたい

交通事故の損害賠償における問題は、多くの場合、被害者の方と加害者側の当事者間による示談交渉にて解決を図ります。

示談は、双方の合意によって成立します。

しかし、双方の主張が大きく異なっていたり、損害賠償の内容、金額に双方が納得できなかったりし、最終的には決裂してしまうこともあります。

このような時、裁判所とは異なる第三者機関で解決をすることが可能です。

その機関を「交通事故紛争処理センター」といい、これはADR機関の1つです。ADRとは、裁判外の紛争処理機関です。

では、交通事故紛争処理センターで解決を図った場合、裁判所と同じような金額を被害者の方は受け取ることができるのでしょうか?

ここでは、交通事故紛争処理センターでの損害賠償金の算定基準、また利用するにあたってのメリット、デメリットをご紹介します。

交通事故紛争処理センターにおける損害賠償金

弁護士基準で算定する

交通事故問題において、慰謝料を含む損害賠償金を請求する際、算定基準には3つの基準が存在します。

最も低い金額を算定する基準を「自賠責基準」、自賠責基準と同等かもしくは少し上回る金額を算定する基準を「任意保険基準」、そして、最も高い金額を算定する基準を「弁護士基準」といいます。

この弁護士基準は実際に裁判でも使用されることから、「裁判基準」「裁判所基準」とも呼ばれます。

なお、弁護士基準は、裁判をしなければ使用できないわけではありません。示談交渉の段階で弁護士に依頼をした場合も使用は可能です。

交通事故紛争処理センターにて和解あっせんを受ける際も、あっせん案として提示される損害賠償額は、弁護士基準で基本的には計算されることになります。

交通事故紛争処理センターは無料で使用できるため、被害者の方は、裁判費用もかからず、弁護士への依頼費用もかからずして、弁護士基準で算定された、裁判と同等の損害賠償金を受け取れる可能性があるということです。

 

弁護士に依頼する場合との違い 

弁護士基準で算定されることは、被害者の方にとって大きなメリットではありますが、注意しなければいけないことは、交通事故紛争処理センターは「公正・中立」の立場を掲げているため、被害者の方の利益を最大限にして計算をしてくれるわけではありません。

解決にあたっては双方の意見を聞き、まとめることになります。

つまり、自身の主張を通したい場合は、自らが資料を揃え、主張・請求を行うこととなります。

弁護士に依頼をした場合は、立証資料を揃えたり、主張を行ったりすることは、被害者の方の代理人として弁護士が行ってくれます。そして弁護士は、被害者の方の利益が最大となるよう交渉を行います。

これは弁護士に依頼する場合とそうではない場合の大きな違いと言えるでしょう。

なお、交通事故紛争処理センターは、すでに弁護士に依頼をしていたり、これから依頼する予定であったりする場合も利用は可能です。

交通事故紛争処理センターを利用するメリット

交通事故紛争処理センターを利用し、解決することで被害者の方にはどのようなメリットがあるのでしょうか?

 

費用がかからない

先ほども述べましたが、最大のメリットの1つは「交通事故紛争処理センターは無料で使用ができる」という点です。

被害者の方は、交通事故紛争処理センターにて相談を受ける時、和解あっせんを受ける時、そして和解あっせんが上手くいかず審査に移行した際も、利用する費用は無料です。

かかる費用としては、交通事故紛争処理センターに移動する際の交通費や、申請時に必要な文書のコピー代や取り付け費用などのみです。

被害者の方の中には「示談が成立していない=損害賠償金を受け取っていない」ということで、経済的に厳しい方もいらっしゃいます。

そういった方々が、費用をあまりかけたくない時に利用する際、無料であるということは非常に大きなメリットといえます。

 

弁護士基準で賠償金を計算

先ほども述べましたが、交通事故紛争処理センターでは、損害賠償金は「弁護士基準」で算定がなされます。

そのため、個人で相手の保険会社と示談交渉をするよりも必然的に損害賠償金は増額する傾向にあります。

被害者の方が自身で示談交渉を行う場合、相手の保険会社は、弁護士基準ではなく、自賠責基準で算定をし、損害賠償金を提示することから、非常に低額になってしまいます。

つまり、交通事故紛争処理センターを利用することで適正な金額が受け取れる可能性が上がるということです。

また、過失割合についても交通事故紛争処理センターを利用した際、適切な割合をあてはめて解決できるように進めてくれます。

保険会社の中には、何も知らない被害者相手に、不当に不利な過失割合を提示していることもあります。

交通事故紛争処理センターを利用することで、法的に妥当な内容で解決ができる可能性が上がることは、被害者の方にとって大きなメリットであるといえます。

 

早く解決できる

交通事故紛争処理センターで解決を図る場合、裁判に比べると、比較的に早い段階で和解が成立することが多いです。

おおよそ3回の話し合い内で和解が成立するのは7割、5回の話し合いとなると9割程度が和解成立となります。そのため、月1回に話し合いのペースであれば、3ヶ月~半年程度で解決に至ります。

対する裁判の場合は、手続きも多く、話し合いではなく、それぞれの主張、その主張を立証する内容を法廷の場で示し、それに対して裁判官が判断するため、解決するまでには少なくとも10カ月~1年以上はかかることもあります。

 

弁護士に依頼しなくてすむ

交通事故紛争処理センターにて和解あっせんを行う場合、センターに嘱託された弁護士が担当として、双方の間に入って話を進めてくれます。

そのため、交通事故問題のプロである保険会社が相手であっても、弁護士がいることで、被害者の方に法的知識が無くても、対等に話を進めることができるというメリットがあります。

間に入った弁護士は双方の意見を聞き、妥当な和解案を提示してくれます。

また、裁判を起こすとなると、手続きも複雑であり手間も多いことから、個人で行うには限界があり、非常に厳しく、ほとんどの事案は、弁護士の力を借りることが必須となります。

交通事故紛争処理センターの場合は、資料の収集など多少の手間がありますが、弁護士の手を借りずとも、手続きを進めることは可能です。

交通事故紛争処理センターを利用するデメリット

交通事故紛争処理センターを利用するにあたってのメリットについてご紹介をさせていただきましたが、同時にデメリットも挙げられます。

解決できるとは限らない

交通事故紛争処理センターにて和解あっせんを受けたとしても、双方があっせん案に合意をしなければ、解決はできません。

あっせん案に被害者の方、もしくは保険会社側が同意をしなかった場合、審査会による「審査」に移行をしたとしても、その審査の内容に被害者の方が納得しなければ、解決とはなりません。

相手が保険会社で、被害者の方が審査内容に合意をした場合、保険会社は審査内容について、不服申し立てはできません。加害者本人であれば不服申立は可能であり、この場合は解決とはなりません。

このように、残念ながら交通事故紛争処理センターを利用したとしても解決には至らず、そのまま訴訟に移行することもあります。

そうなってしまうと、交通事故紛争処理センターで手続きを行っていた数か月間が無駄になってしまうというデメリットが発生します。

 

遅延損害金がプラスされない

裁判にて損害賠償金を請求する場合、被害者の方が加害者側に「遅延損害金」の請求が可能となります。

遅延損害金は、損害賠償金の支払いが遅延している分に対する賠償金のことをいいます。

利息と同様、年率で計算され、裁判時は年5年分の遅延損害金の請求が可能です。

一方で、交通事故紛争処理センターで解決を図る際は、和解あっせん案でも、裁定案(審査会で出される案)についても、遅延損害金は賠償金としてつけてもらうことができないことになっています。

つまり、交通事故紛争処理センターで解決する場合、裁判で解決を図る場合に比べ、賠償金が少なくなる可能性があります。

示談交渉が難航している方は、交通事故を多く取り扱う大阪市・難波(なんば)・堺市の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

交通事故紛争処理センターでの損害賠償の算定基準について、また利用においてのメリット、デメリットについてご説明をさせていただきました。

重ねて申し上げますが、交通事故紛争処理センターを利用する際も、弁護士に依頼をすることは可能です。

「交通事故紛争処理センターで弁護士が間に入ってくれるのであれば、わざわざ弁護士に依頼する必要はないのでは?」と思う方もいらっしゃるとは思いますが、「被害者の方の利益を最大限に考え、完全な味方として相手と交渉をする」のは、被害者の方が依頼した弁護士だけです。

交通事故紛争処理センターの弁護士は、公正・中立であることから、一方的に被害者側が有利な内容で示談を進めてくれるわけではありません。

しかし弁護士に依頼をすれば、被害者の方が有利となるように話を進めてくれることから、最終的に好条件で解決する可能性は上がります。

交通事故紛争処理センターを利用し、解決を使用とお考えの被害者の方は、一度交通事故を多く取り扱う大阪市・難波(なんば)・堺市の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

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