交通事故 交通事故基礎知識 症状固定
2020.12.08 2022.11.15

障害年金の障害認定日と症状固定について知りたい

障害年金の障害認定日と症状固定について知りたい

交通事故について調べていくと、「症状固定」をよく見かけると思います。

症状固定とは、交通事故などで受傷し治療を続けるも、回復することが無く、良くも悪くもならない状態、治療を続けても今後の回復が見込めない状態を指します。

ここでは、障害年金の障害認定日と症状固定日の関係性についてご説明します。

障害年金の障害認定日とは

障害年金とは、病気や怪我が原因で、日常生活や仕事に制限がかかった場合、現役世代の方々も受け取ることができる年金をいいます。

 

障害年金を受け取るためには、どうすればいいのでしょうか?

 

初診日から1年6ヵ月を経過した日

障害年金を請求可能となるのは、障害の程度を認定する日=障害認定日が訪れた段階です。

 

障害年金の認定は、国が定める「障害認定基準」を基に行われており、その中で、障害認定日は「請求する傷病の初診日から起算して1年6ヶ月が経過した日」とされています。つまり、1年6ヶ月が経過しなければ請求はできません。

 

例えば、令和2年6月1日に受傷し初診をその日に受けたとしましょう。この場合、障害認定日は、早くともその1年6ヶ月後の令和3年12月1日が経過してからとなります。

 

1年6ヵ月経過前に症状固定した場合は症状固定日

例外的に、1年6ヶ月より前に障害認定日を迎えることがあります。

それは「症状固定日を迎えたとき」です。

冒頭でもお伝えしたように、症状固定とは、これ以上治療を続けても回復の見通しがない状態をいいます。

例えば、脳梗塞や脳出血といった脳血管疾患により、身体に麻痺が残ってしまった場合は、最低6ヶ月というラインはありますが、医師が診断書に「症状固定である」と記載をすれば、1年6ヶ月を待たずして、障害認定日と判断され、請求が可能です。

ただし、事案によっては、障害認定医が症状固定として判断しないケースもあるので、症状固定日については、医師としっかり話す必要があるといえます。

 

初診日が20歳前の場合

また、障害認定日が年齢によって異なることがあります。

それは、20歳前にあたる方です。

初診日が20歳前である方の障害認定日は「20歳の誕生日前日」とされています。

ただし、20歳前に初診日があったとしても、1年6カ月を経過した日や症状固定の日が20歳以降であるケースでは、通常通りの、1年6ヶ月を経過した日か症状固定日障害認定日と判断されます。

例えば、障害年金を請求する方の初診日が19歳0ヶ月だったとします。この場合、20歳の誕生日前日が障害認定日になるのではなく、20歳6か月目の日が障害認定日と判断されます。

障害認定基準における症状固定とは

傷病が治った場合とは

さて、障害認定基準には障害認定日については以下のように記載されています。

【「障害認定日」とは、障害の程度の認定を行うべき日をいい、請求する傷病の初診日から起算して1年6月を経過した日又は1年6月以内にその傷病が治った場合においては、その治った日(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む。)をいう。】(日本年金機構 障害認定基準より)

「治った日」と聞くと、「完治した日」と認識されてしまう方もいらっしゃいますが、この治った日は、上記にあるように、「症状固定日」を指します。

では、具体的に傷病が治った場合とはどういうことなのでしょうか?

障害認定基準では以下のように示されています。

【「傷病が治った場合」とは、器質的欠損若しくは変形又は機能障害を残している場合は、医学的に傷病が治ったとき、又は、その症状が安定し、長期にわたってその疾病の固定性が認められ、医療効果が期待し得ない状態に至った場合をいう。】(日本年金機構 障害認定基準より)

つまり、脚や腕を切断することになったり、変形が残存したり、疾患自体は回復したとしても機能障害が残ってしまい、その障害が治療やリハビリなどを長期の間、継続しても、良くも悪くもならないという状態を指します。

 

症状固定の具体的な例

ここで、治療を継続しても効果が得られない、期待できないとされる症状固定の具体的な症状と症状固定日をご紹介します。

・脚や腕といった四肢や指の欠損、切断した日

・人工骨頭、人工関節のそう入置換手術を行った日

・脳梗塞や脳出血などといった、脳血管障害を負い、医師が症状固定と診断した日。

※ただし、この場合、6ヶ月以内は症状固定と判断はなされません。

・肺機能障害や脳炎後遺症、老年性痴呆症といった器質精神病などの場合で不可逆性の状態であると認定された日

・人工透析療法を行っているケースでは、透析を受け始めた日から3ヶ月経過した日

※ただしその日が初診日から1年6ヶ月後であれば、「初診日から1年6ヶ月経過した日が障害認定日」とされます。

・植込み型除細動器(IDC)を含む心臓ペースメーカー、人工弁の装着をしたケースは、装着した日

・CRT(心臓再同期医療機器)、CRT-D(除細動器機能付き心臓再同期医療機器)を装着したケースは、装着した日

・胸部大動脈解離や胸部大動脈瘤により、ステントグラフトも含めた人工血管をそう入置換したケースでは、そう入置換した日

・心臓移植、人工心臓または補助人工心臓を移植または装着したケースでは、移植した日もしくは装着した日

・人工肛門(ストーマ)の造設、尿路変更術の手術をしたケースは、造設または手術した日から起算して6ヶ月経過した日

・新膀胱を造設したケースは、造設をした日

・喉頭全摘出のケースは、全摘出をした日

・常時、在宅酸素療法を行っているケースでは、常時、在宅酸素療法を始めた日

・遷延性植物状態のケースでは、遷延性植物状態に至った日から起算し、3ヶ月を経過した日

以上が主な症状固定例とその固定日です。

 

機能障害を残している場合

機能障害を残している場合、いくつか注意しなければならないポイントがあります。

まず、脳血管障害により機能障害を残している場合、先ほども述べたように、初診日から起算して6ヶ月経過した段階で、症状固定と医師が判断すれば症状固定日とされることもありますが、基本的には、6ヶ月以降に医学的観点より、それ以上の機能回復はほぼ期待できないと認められる場合に認定されますので、6カ月過ぎれば必ず認められるわけではありません。

人工肛門を造設し、かつ以下の造設、手術等を行った場合も、障害認定日は注意しなければなりません。

・新膀胱を造設した場合

人工肛門を造設した日より起算して6ヶ月を経過した日か、新膀胱を造設した日のいずれか遅い日(初診日から起算して1年6ヶ月以内の日に限ります)が障害認定日と判断されます。

・尿路変更術を施した場合

人工肛門を造設した日、または尿路変更術の手術を行った日のいずれか遅い日から起算し6ヶ月経過した日(初診日から起算して1年6ヶ月以内の日に限ります。)が障害認定日と判断されます。

・完全排尿障害状態にある場合

人工肛門を造設した日、または完全排尿障害状態に至ったと判断された日のいずれか遅い日より起算して6ヶ月経過した日(初診日から起算して1年6ヶ月以内の日に限ります。)が障害認定日と判断されます。

なお、遷延性植物状態は、以下の項目に該当し、かつ、この状態が3ヶ月以上継続し、ほぼ固定している状態で診断がなされます。

注意する点は、障害認定日を判断する際の起算日です。

遷延性植物状態の場合、以下の「診断基準の6項目に該当した日」となります。遷延性植物状態の診断が「確定してから3ヶ月を経過した日」ではありません。

 

<遷延性植物状態の診断基準の6項目>

 

① 自力で移動が不可能な状態である。

② 自力で食物を摂取することが不可能な状態である。

③ 糞尿失禁をみる。

④ 目で物を追うが認識することが不可能な状態である。

⑤ 簡単な命令には応ずることもあるが、それ以上の意思疎通が不可能な状態である。

⑥ 声は出るが、意味のある発語ではない。

交通事故に遭われたら、交通事故を多く取り扱う大阪市・難波(なんば)・堺市の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

障害年金の障害認定日と症状固定についてご説明をさせていただきました。

交通事故において怪我を負い、その後治療を行ったにも関わらず、症状固定となってしまった場合、基本的に加害者側に損害賠償金を請求しますが、この記事で紹介をさせていただいたのは、障害年金という損害賠償金とはまた違った内容となります。

しかし、被害者の方が怪我をしたことで受け取る可能となる年金となりますので、ご説明をさせていただきました。

交通事故問題にお困りごとがあれば、交通事故を多く取り扱う大阪市・難波(なんば)・堺市の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにぜひご相談ください。

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