交通事故 整骨院 治療費
2021.08.23 2022.11.15

交通事故後、整骨院で受けた施術の治療費はどの程度請求できるのか

交通事故後、整骨院で受けた施術の治療費はどの程度請求できるのか

交通事故の被害に遭ってしまった際、整骨院(接骨院も同義)で症状を回復させたいと検討することもあるかと思われます。

しかし、整骨院による治療費は相手方や保険会社に請求することはできないといった噂を耳にしたことはありませんか?

実際には、その噂は間違っています。整骨院において施術を受けた際にも相手方に治療費を請求することのできる場合もあります。

もっとも、整形外科等の医療機関による診療を受けた場合と比較して、治療費の請求できる範囲に限定があります。

そこで、整骨院における施術とはどのようなものであるのか、どの程度の範囲で治療費等を請求可能であるのかについてご説明致します。

交通事故で最も多いのは、むちうち

むちうちとは、頸椎捻挫・頸部挫傷・外傷性頸部症候群という医学用語により診断されます。身体に対する衝撃により、首の組織や神経までをも損傷することで、全身に症状が現れるといった症状があります。

そして、衝撃による首の動きが、鞭を打つ時のしなり方と似ているため、むちうちという通称が定着しています。

そして、特に後方からの追突事故が典型ですが、交通事故による衝撃は、上体がシートベルトにおいて固定されている一方、固定されていない後頭部が強く揺さぶられるため、むちうちが発生しやすいと考えられます。

整骨院での施術

施術者について

整骨院における施術者は、国家資格である柔道整復師の有資格者が行います。

他方、整形外科等の医療機関は、同じく国家資格である医師の有資格者が治療にあたります。

そのため、医療機関と整骨院で処置にあたる主体は全く別の資格保有者です。

この主体の違いは、後述するように、行うことのできる処置内容に留まらず、診断書の作成権限の有無、裁判所や保険会社が治療費と認めるのか否かといった点にも大きく影響を与えます。

おもな施術内容

整骨院において柔道整復師が行うものは、骨接ぎやマッサージといった施術です。

他方、整形外科等の医療機関で行われるものは、レントゲン診断、MRI診断、血液検査、投薬治療、手術といった医療行為です。

そのため、交通事故によって骨折したことを診断書として証拠提出するためには、レントゲン診断を行う権限・診断書を作成する権限のある医療機関に行く必要があります。

整骨院の治療費用

整骨院でも治療費用は支払われる

相手方や保険会社に対して、損害賠償請求をする際、整骨院の治療費も損害として認められる場合もあります。

もっとも、医療機関における治療費は、基本的には実費分認められることが多いことに対して、整骨院における治療費は限定的に認められます。

まず、医師による指示・同意のある場合は損害として認められる可能性が高い傾向にあります。もっとも、医師が積極的に整骨院の施術を受けるように患者に指示することはあまり考えられないという現状があります。そのため実際には、患者が医師に対し、整骨院を受診する許可を求め、医師が消極的であれ同意するといったケースが大多数であると考えられます。このような消極的同意であっても、実務上は医師の指示として認められる可能性が高いといえます。

以上の理由に加え、後述でも触れるように、診断書を作成する必要もあるため、まずは整形外科等の医療機関を受診することをお勧め致します。

次に、医師による指示・同意がなかったとしても、治療行為のための必要性及び相当性の認められることを立証できれば損害として認められます。

しかし、第一に請求することの考えられる保険会社が一般人による立証を、即座に受け入れることはあまり考えにくく、訴訟まで発展する可能性があります。訴訟にまで発展すれば、弁護士への依頼も不可欠と考えられ費用面が負担になることや、支払いまで長期化するリスクがあり、早期に損害を賠償して貰いたい被害者にとって賢明な選択肢であるとはいえません。

以上の理由により、手続面も考えると、まずは整形外科等の医療機関を受診することを強くお勧め致します。


治療期間で支払い額が決まる

まず、治療費及び交通費といった支出性の認められる財産的損害は、実費分が損害として認められる可能性が高いといえます。

他方、被害者は、通院に関して受けた精神的苦痛、つまり精神的損害に基づく損害賠償請求権として通院慰謝料も加えて請求することができます。

そして、通院慰謝料の算定のベースは通院期間です。

類似する言葉として通院日数がありますが、これは実際に通院した日数です。具体的には、5回病院にいって治療したのであれば、5日となります。

他方、通院期間とは、治療が終了するまでに経過した期間です。具体的には、5回病院に行き治療が完了するのに3カ月かかったとすれば、3ヶ月が治療期間にあたります。

通院慰謝料は前述の通り、精神的苦痛に対して賠償されるものですが、出費の度に損害が発生するといえる財産的損害と異なり、精神的苦痛の場合、治療期間中は少なくとも味わい続けているといえます。そのため、治療期間が通院慰謝料の算定のベースとなるのです。

以上のように、通院慰謝料を算定するベースが通院期間となるところ、通院頻度が月一回とすれば、どの時点を始終期の基準にするかにより、算定額が大きく異なります。初めに通院するのが整骨院であり、治療行為として認められなかった場合のリスクを考えても、まずは整形外科等の医療機関の受診をお勧め致します。

交通事故の怪我を整骨院で治療したい方は、交通事故を多く取り扱う大阪市・難波(なんば)・堺市の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイへ

本記事において、整骨院でなされる処置とはどのようなものであるのか、どの程度の範囲を治療費等として請求することができるのかについてご説明致しました。

本記事において、もっとも強くお伝えしたいことは、整骨院の施術のみでは、治療行為として認められない可能性があり、損害賠償請求が複雑かつ長期化することが考えられることです。

初回に整形外科等の医療機関に受診することが、初回に整骨院を受診することに比べて大きな負担が増えるとは考えにくいです。

以上の理由により、治療行為を行おうとする際は、まずは一度整形外科等の医療機関を受診することを強くお勧め致します。

そして、慰謝料請求等の法的手段につき悩まれている場合は、弁護士に相談することをお勧め致します。

整骨院の治療費についてお悩みの方は、交通事故を多く取り扱う大阪市・難波(なんば)・堺市の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

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