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2020.11.12 2024.04.25

事故で自賠責保険から受け取れる保険料がいくらなのか知りたい

事故で自賠責保険から受け取れる保険料がいくらなのか知りたい

交通事故が原因で負傷をした場合、被害者の方は相手の保険会社から慰謝料等の賠償金を受け取ることになります。

しかし、相手が任意保険に入っておらず、車両を持つ人が必ず入らなければいけないとされる「自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)」にのみ加入をしていた場合は、自賠責保険から慰謝料等の賠償金が支払われます。

しかし、自賠責保険は「最低限度の補償」です。

ここでは、相手が自賠責保険のみだった場合、どれくらいの賠償金を受け取ることが可能なのか、ご説明をさせていただきます。

自賠責保険とは

自賠責保険で補償されないもの

まず、自賠責保険は、物損事故については一切補償がなされません。

つまり、被害者の方の自動車や自転車などが破損した場合、修理費用や買い替えるための費用、代車費用、レッカー費用等は、加害者にすべて請求をすることになります。

また、事故が原因で道路周辺の物(例:家の壁・門といったもの)を壊してしまった場合も、加害者に支払ってもらうことになり、自賠責保険では補償はされません。

さらに、車両本体だけでなく、車両に積んでいた物や身に着けていた携行品等といった、被害者の方の持ち物にも損害が発生した場合も、自賠責保険では補償されない為、加害者に直接請求することになります。

 

自賠責保険が補償してくれる費用

自賠責保険は【交通事故で怪我をした人を救済する】ことが目的です。

そのため、補償してくれる費用は「人身損害」のみとなります。

ただし、自賠責保険は、「他人への損害」に対して補償をするものですので、自身の怪我については、自身の自賠責保険へは請求はできません。

自身の人身損害については、「加害者」の自賠席保険から補償を受けることとなります。

自賠責保険の支払限度

自賠責保険では、多くの被害者の方を公平かつ迅速に救済をするべく、支払われる金額には、各損害項目で定額化されており、また支払限度額も設けられています。

以下が傷害による損害部分、後遺障害による損害部分、死亡による損害部分での各支払限度額です。

傷害の場合

支払い限度額:被害者1名につき、120万円まで

治療関係費、文書料、休業損害、入通院慰謝料等がここに含まれます。

治療関係費の中には、診察料、検査料、入院料、処方箋代等の治療費の他、入通院の交通費、診断書・診療報酬明細書といった書面の発行費用があります。

なお、これは自賠責保険が「必要かつ妥当な実費である」と認定された場合において支払われます。

同じく、必要かつ妥当な実費であると判断された場合は、義肢や眼鏡、コンタクトレンズ、補聴器代も支払われます。ただし、眼鏡やコンタクトレンズについては限度額が定められており、最大50,000円(+消費税)と設定されています。

その他にも、12歳以下のお子様や医師によって付き添いが必要と判断した場合、看護料が支払われます。

これは原則、入院1日4,100円(4,200円)、通院1日2,050円(2,100円)とされています。

入院諸雑費は、入院1日につき1,100円が支払い基準額です。

次に休業損害です。これについては1日につき5,700円(6,100円)と決められています。

これ以上の収入減がある場合、立証資料を提出し、内容に問題が無ければ、実額で補償されます。ただし、限度額は19,000円までと定められています。

最後に、入通院慰謝料については1日につき4,200円(4,300円)とされています。

※( )内は自賠責保険の支払い限度額が改正された後の金額であり、2020年4月1日以降の交通事故で採用されます。

 

後遺障害の場合

支払限度額:被害者1名に対して、最大4,000万円まで

被害者の方に後遺症が残り、後遺障害等級認定の申請を行い、何らかの等級が下りた場合、傷害部分とは別に、後遺障害に対する損害についても支払いを受け取ることが可能です。

支払い限度額は等級に応じて設定されています。

以下2点がお支払いの基準です。

①「神経系統の機能または精神」・「胸腹部臓器」のいずれかに著しい障害を残し、介護を要する後遺障害の場合

被害者1名につき…

常時介護を要する場合(第1級)4,000万円

随時介護を要する場合(第2級)3,000万円

 

②上記①以外の後遺障害

1級 2級 3級 4級 5級 6級 7級
3,000万 2,590万 2,219万 1,889万 1,574万 1,296万 1,051万
8級 9級 10級 11級 12級 13級 14級
819万 616万 461万 331万 224万 139万 75万

 

後遺障害等級は上位等級の1級から14級まであり、等級に応じて1人あたり75万円~4,000万円が支払われます。

ここには、「後遺障害慰謝料(後遺障害が残ってしまったことによる精神的苦痛)」と「逸失利益(後遺障害が残ったことで労働能力が低下し、将来発生するはずだった本来の収入の減少分)」が含まれています。

 

死亡の場合

支払限度額:被害者1名に対して、最大3,000万円まで

死亡による損害は、①被害者の方が死亡したことにより得ることができなくなった収入(逸失利益)②死亡させられたことによる被害者の方とご遺族の方それぞれに慰謝料が支払われます。

なお、逸失利益は本人の生活費が控除されます。

慰謝料の支払い基準は、被害者の方本人に対しては350万円(400万円)、ご遺族の方慰謝料は、請求権者が1名の場合は550万円、2名の場合は650万円、3名以上の場合は750万円とされます。

さらに被害者の方本人に被扶養者がいる時は上記のご遺族の慰謝料に追加で200万円が支払われることとなります。

※( )内は自賠責保険の支払い限度額が改正された後の金額であり、2020年4月1日以降の交通事故で採用されます。

その他、葬儀費用も補償されます。

支払限度額60万円とされていますが、この金額を超える立証があり、かつ必要・妥当な実費であると自賠責保険が判断すれば、100万円までは受け取ることが可能です。

なお、2020年4月1日以降の交通事故については、最大100万円までと改正されています。

自賠責保険の注意点

算定基準で慰謝料は変わる

交通事故の慰謝料の算定基準には、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準という3つの基準があります。

その中でも、自賠責基準は最も低い算定基準とされています。

冒頭にも述べたように、自賠責保険では、支払い限度額が決まっている、最低限度の補償となるからです。

それに対し、最も高い基準は弁護士基準(裁判所基準ともいいます)です。

弁護士基準とは、実際にあった過去の裁判例を基に算定基準が作成されています。そのため、最も適正な慰謝料を算定できると考えられています。

その2つの基準の間に位置する任意保険基準は、各保険会社が過去のデータ等を参考に、独自で算定基準を設定しています。

そのため、各社で金額が異なり、また計算方法や内容は非公開です。一般的に自賠責基準と同等か少し上回る金額であるとされています。

つまり、同じ事故であっても、どの算定基準を使用するかによって、被害者の方が受け取る金額は大きく異なります。

 

過失による減額制限

任意保険会社が交渉相手の場合、たとえば被害者の方に過失が4割、加害者に過失が6割という交通事故では、加害者側に6割分の損害賠償しか被害者の方は請求ができません。

しかし、自賠責保険の場合は、被害者の方に多少の過失があったとしても、一定の過失を超えていない場合においては、減額がありません。

また、一定の過失を超えていたとしても、多少の減額で留められます。

これを【重過失減額】といいます。

以下の表をご覧ください。

 

減額適用上の

被害者の割合

減額割合

後遺障害または死亡に係るもの 傷害に係るもの
7割以上8割未満 2割減額  

2割減額

8割以上9割未満 3割減額
9割以上10割未満 5割減額

 

こちらの表を見ていただくとわかるように、被害者の方に過失割合が、7割以上10割未満である場合は、重過失減額の対象となり、支払われる自賠責の保険金が減額されることになります。

ただし、減額の割合は非常に少ないです。

また、被害者の方の過失が7割未満の場合は、減額がありません。

過失の割合によってが、任意保険会社と交渉するよりも自賠責保険へ請求する方が高くなる可能性もあります。

なお、被害者の方の過失割合が10割である場合は、加害者側に賠償責任はありませんので、被害者の方は怪我をしていたとしても、自賠責保険へ賠償金の請求はできません。

加害者は「無責」とされます。

自賠責保険に請求をお考えの方は、交通事故を多く取り扱う大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

自賠責保険についてご説明をさせていただきました。

自賠責保険は、最初に述べたように、「最低限度の補償」しか行われません。

そのため十分な補償も受けることもできず、泣き寝入りをする被害者の方も珍しくありません。

加害者が任意の保険に入っていなかったから、被害者の方は十分な補償を受け取ることができなかった、ということは、本来は起きてはならないことです。

相手が自賠責保険しか入っていない場合は、まずは弁護士に相談をしましょう。

たとえば、被害者の方の損害を、弁護士基準で計算をし、自賠責保険で支払われなかった部分を加害者本人に請求することも1つの手段です。

加害者が自賠責保険にしか加入しておらず、どうすればいいかわからないといったお悩みをお持ちの方は、交通事故を多く取り扱う大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

このコラムの監修者

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