老後は2000万円必要?いいえ、老後の心配はいりません(代表弁護士 田中今日太)
こんにちは。
弁護士の田中です。
さて、今日は、老後をテーマにしてお話しましょう。
皆さん、老後はどのように過ごすおつもりでしょうか?
何かやりたいことはありますか?
「いやいややりたいことなんてないよ、それより前に老後が心配で仕方ない。」
どこかの政治家が、老後は2000万円の貯金が必要だ、なんてことを言っていました。
さて、この日本にちゃんと老後に2000万円を貯金できる人が一体どれだけいるのでしょうか?
このような話を聞くと,老後に希望を持つよりも,老後が心配になるのは無理はありません。
しかし,私の話をお聞きいただければ,老後の心配などいらないことはお分かりいただけるはずです。
私の父の話も交えながら、老後が心配、というテーマについて話しますね。
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ある日、私の父が、私の家に遊びに来ました。
私の子供,つまり孫と遊ぶためですね。
毎月あることではないのですが、数か月に1回ぐらいのスパンで、孫と遊んでもらっています。
その際は、私も子供たちから多少なりとも解放されるので,そのお礼と親孝行もかねて父に晩御飯を御馳走することにしています。
とはいえ,高価な食事にするということではなく,父が好きなお酒(特に日本酒)が美味しく飲める店を適当にチョイスしています。
「楽しく飲めたらなんでもいい」というような感じの父です。
そして,父も,孫と遊ぶことにプラスして私たちと食事に行くことを目当てにして遊びに来ているところもあります。
いつもは,このように多少のギブアンドテイクも交えながら、家に来てもらうわけです。
しかし,その日は,少々勝手が違いました。
父が私の家に来るなり,警備関係の過去問題集を私に手渡して,「今日太、勉強の方法を教えてくれ」と言うのです。
父は昔から勉強は好きではありません。大学は出ていませんし,新聞も読みません。アニメとバラエティはよく見ています。
仕事が終わると,1杯酒を飲んで風呂に入って寝るのが好きな父です。
私も30年以上生きてきましたが,父から勉強について聞かれたことは初めてでした。
なので,さすがに
「え?どうしたん急に?」となりました。
聞くと,
「会社から警備関係のこの資格をとるように言われてな。これ取ったら定年後でも働けそうやから頑張ってみようかなと思って」
とのことでした。
父が珍しく仕事と勉強にやる気になっていたので、私も嬉しくなり,「そういうことなら」と、私が教えられる勉強法を伝えることにしました。
警備関係の問題集を開いてみると,択一式でした。
択一式の勉強方法は明確です。
修習生の方,弁護士の方であれば,誰もが実践したことがあるであろう方法です。
①問題集から解いてみる(実戦こそが大切。)②問題集を解いてみて全く分からなかったら,テキストで内容を読んで理解する。③んで、もう一度解く。
④択一式で間違えたところは、間違えた理由が大切なので、間違えた問題をチェックしておき,もう一度解きなおす。問題の解説はしっかり読んで理解する。
問題の解説だけでは理解できなかったら、テキストに戻る。
⑤合っていたところは、正解した理由が偶然ではなく、ちゃんと理解したうえでなら、ちゃんと理解してできているということなので、もう一度解きなおす必要はない
(時間がもったいないので。)。
⑥下手に新しい問題集を買うのではなく、同じ過去問題集をぐるぐると何度も解き続ける。(同じ内容で記憶の定着を図る。)
⑦試験の択一で分からないと思ったら飛ばして次の問題に行く。分かる問題から解いて、分かる問題が全部終わったら終わっていないやつを解く
(択一は時間との勝負。悩む時間がもったいない。)
⑧択一は,消去法も活用する。確実に間違いと分かるは消していく。そうすれば,正解の可能性を上げられる。
⑨試験問題を,実際に時間を図って解いて,時間感覚を身につける。
ですね。
勉強方法を伝えた時間は1時間にも満たないものでした。
父は、珍しく熱心に私が伝えたことをメモしていました。
しかし,このように私は伝えこそしましたが,実際に父がちゃんと勉強するかどうかは半信半疑でした。
私は父が勉強しているところを見たところがなかったからです。
(※この点,私が弁護士で,弁護士のいう勉強量と普通の人の勉強量が違うので,そりゃ弁護士の私からすれば大して勉強してないかもしれないけど,私の父もなんだかんだで勉強してるでしょ,と思われた方もおられるかもしれません。しかし、違います。弁護士の基準での話ではなく、普通の人の基準でも,父は本当に勉強しませんので,誤解ないようにお伝えさせていただきます。)
父は「休みの日や夜勤の空き時間に勉強するわ。」と言って、孫と遊んで、食事を食べて帰っていきました。
その後,試験までに2回ほど父は遊びに来ました。
父は会うたびに「ぼちぼち勉強してるわ~、今日太の言う通りに勉強してるわ~、やけどやっぱ難しいなあ~」とか言っていました。
私もどれぐらい勉強してるかなどは特に聞かず,「そっか。頑張りや」とだけ言って励ましていました。
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その後、しばらく会っていなかったのですが、久々に会ったときに,試験の結果を聞かされました。
私も仕事が忙しかったこともあり、父が試験勉強をしていたことなどはすっかり忘れていたのですが,父が試験の結果を伝えてきたので,
「そういえばそういうのあったな」と思い出しながら聞きました。
なんと、結果は、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・不合格・・・・
かと思ったら、合格、だったそうです(笑)
結果は,当初,私の母がネットで見てくれたそうなのですが,母も受かると思っていなくて,父の受験番号を流し見していたら,
父の受験番号を見落としていたそうで,当初母は父に「番号ないわ(つまり、不合格ということ)」と伝えていたそうでした。
しかし、父なりに勉強を頑張ったのに不合格だったのが残念だったようで、会社に報告するのに自分で再度ネットで見てみたら、合格していたのでした。
ちなみに、会社の方も同じ試験を数名受験されたらしいのですが,合格したのは父だけだったそうです。
(正直,私も父が合格したことに驚きました。お祝いに,その日はちょっと豪華な食事を御馳走しました。)
結果,定年後の今でも,資格を取得した父はその会社で働いています。
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人によっては,老後が心配だ,と思われて,将来の心配に苛まれている方もおられるかもしれません。
今の若い世代は,年金がもらえないかもしれないなどと言われています。
確かに,あなたの老後に年金をもらえるかどうかは私にはわかりません。
しかし,ちゃんと働く意思があって,そのための努力をするなら何の心配もない,というのが私の答えです。
資格を取ったり,手に職をつけたり,何かしらの実力をつける。
そのようにして,努力ができるなら,仕事に困ることはありません。
なんだかんだで,どこかに何かの仕事はあります。
あなたが努力をする限り,必ず何かの仕事ができます。
ですから,働く意思(やってみようという意思)がまず大切かと思います。
私の父は決して勉強が得意ではありませんでしたし,むしろ苦手であり,勉強をしない人でした。
しかし,働く意思(やってみようという意思)から,私に勉強法を聞いて勉強して資格を取り、定年後も働いています。
このことから,働く意思ややってみようという意思は,いくつになったとしても,気の持ちよう一つで持つことができると思いました。
皆さんは,老後は働く意思がない,つまり老後は働きたくない,何もしたくない,とにかく楽をしたい,ということを前提にされておられませんか?
会社を定年退職したら,もう働きたくない,求職活動もしたくないと思っておられませんか?
人によっては,会社で相応の役職や地位についたために,定年後にこんな仕事はしたくない,なんてことを思われるかもしれません。
このように,プライドが邪魔をして働きたくないと思っておられませんか?
もちろん,若いうち,定年を迎えるまでの間に,しっかり働いて貯金を貯めておくことも大切なことでしょう。
そうすれば,老後はさして働かなくとも済むかもしれませんから。
しかしです。
まったく働かないとなれば,よほどの趣味とその趣味を続けられる経済力を持っている方でなければ,退屈で仕方ないと思います。
私は,いくつになったとしても,何らかの仕事はした方が良いと思っています。
もちろん,働く日数や時間は減らしてもよいでしょう。
しかし,少なくとも週2日ぐらいは何かしら働いた方が良いと考えています。
私の父は定年を超えても週6で警備の仕事で夜勤で働いていますが,私はそんな父を誇りに思っています。
父は,私や孫と遊ぶことや旅行に行くことを楽しみにしており,一緒に旅行に行くにはお金がいるから働いて稼ぐ,と言っています。
もちろん,生活をするための経済的な事情も,働く理由としてはあるのかもしれません。
いずれにしても,自分のため,家族のために今も働く父は,立派だと思います。
私も父と同じ年齢になっても,それを超えても働き続けるつもりですし,何かをやり続けるつもりです。
弁護士という仕事ができればそれが一番良いと思っていますが,何らかの事情で弁護士ができないということがあったとしても,働き続けるつもりです。
仕事を通じて,日々を充実させ自分のできることを一つでも増やし社会に貢献して,生き抜くつもりです。
このようにしていれば,老後が心配,ということはありません。
このブログを読まれている方は,弁護士,修習生か法律事務員の希望者でしょう。
弁護士,修習生は,「弁護士」という資格があります。
ただし,資格を得るだけではなく,しっかりした「実力」をつけておきましょう。そうすれば,老後の心配などありません。
いくつまでもできる仕事です。
また,法律事務員は,「法律事務」という手に職があります。
これも「実力」をしっかり身に着けておけば,定年後であっても,必要とされるスキルとなるでしょう。
実際,私の事務所でも,最近,定年の年齢を迎えた方がいるのですが,そのまま普通に勤務されています。
実力スキルがあるなら,いくつになっても会社はあなたを必要とします。
このように,あなたが,しっかり地に足をつけて「実力」を身に着けるよう努力を続けるなら,老後が心配などということはありません。
たとえ,あなたが若いうちに貯めた2000万円の貯金があったとして,それがなくなれば,不安心配しかありません。
また,貯金がなくならように神経を張り巡らせて,このお金がなくなったらどうしようと考えて,節約するというのも苦痛です。
しかし,働こうとする意思(何かをしようとする意思)とそのための努力をして実力を身に着けるなら,
いつまでも,いくつになっても,希望の中で次は何をしようかと考えながら,生きることができます。
この話を読んだあなたが,若かろうと年を取ろうと,どんな状況にあっても実力を身に着けて,前向きに生きられるようお祈りしております。
(おまけ)
父のこの話は数年前の話なのですが,今でも父から「今日太に教えてもらったからほんま助かったわ~、初めはお母さんに不合格って言われてな~・・・」と会うたびに言われます。
正直,耳タコのところもあるのですが,父も何度も言うほどよほど嬉しかったんだなと,こういう親孝行の形もあるんだなと思いました。
親孝行はできるうちにしておくことをお勧めいたします。