交通事故の被害に遭った際に、慰謝料を請求できると耳にしたこともあるかと思います。
しかし、そもそも慰謝料とはどのようなものであるかを考えてみればよく分からない、どんな項目があるのかを知らない方も多いことでしょう。
そこで本記事では、交通事故被害で最も多いむちうちを題材に、交通事故慰謝料について、その相場はどのようなものであるのかについてご説明致します。
目次
1 交通事故で負う怪我の中でも特に多い「むちうち」
交通事故を原因とする負傷の中でも特に多いのがむちうち症です。
むちうち症とは、医学上の用語で頸椎捻挫や外傷性頚部症候群等といいます。衝撃による首の動きが鞭を打ったような動き方をするため、このような通商となりました。症状としては、首や肩の痛みから、倦怠感、不快感といったところまで幅広く存在します。
むちうち症は、整形外科等の医療機関におけるレントゲン診断やMRI診断においては異常なしと診断されることが多いです。しかし、慢性的な痛みや違和感が継続するにも関わらず、湿布等の投薬治療のみで、症状があまり改善しないという事態に陥ってしまう可能性があります。
その際に、整骨院で行われる継続的なマッサージ等の施術が症状の改善に役立つ場合があります。整骨院の通院を行うと後述の通院慰謝料等が増加する可能性がありますので注意が必要です。
2 むちうちになるともらえる交通事故慰謝料
⑴入通院慰謝料(適切な通院がポイント)
まず、慰謝料とは交通事故により負った精神的苦痛を癒すための金銭をいいます。そして、通院慰謝料とは、治療が完了(※)までの通院期間に、痛みや負担等により精神的に苦痛を負い続けると考えられているため、その苦痛を補うものです。算定方法は後述の通り、複数ありますが、一般的に通院期間が長くなれば金額も高くなるところ、長期的かつ継続的な通院となる整骨院通院は慰謝料増額につながる可能性があります。
そして、最大額の慰謝料を受け取るためには適切な通院がポイントです。
通院頻度が少なすぎれば、保険会社から通院が終了していると判断されかねません。そのため、週二回程度は通院するようにしましょう。
また、整形外科も最低でも月に一回程度は通院し併用するようにしましょう。前述のように整骨院の通院が症状の改善に役立つ場合であっても、保険会社から確実に保険料を支払ってもらうために、整形外科等の医療機関への通院も不可欠です。この場合、最低でも月に一回程度は整形外科にも通院し併用するようにしましょう。
(※)ここでいう治療が完了したとは、治療により症状が回復して治療が不要になった場合、これ以上治療を継続しても症状が改善も悪化も期待できない状態であると認められるため治療が必要でないと判断された症状固定の場合をいいます。
むちうち症は症状の特質として前述したように、慢性的な痛みや違和感が継続することが多いため、症状固定と判断されるまで通院するという場合もあります。
この症状固定時期をいつに設定するのかによって、治療費や通院慰謝料額が大きく異なってきますので、保険会社は症状固定とするように圧をかけてくるというケースもあります。しかし、症状固定か否かを判断するのは医師であるため、保険会社からの圧に屈することなく、医師に症状を正直に伝え相談するようにしましょう。
⑵後遺障害慰謝料(後遺障害の等級認定を受ける必要)
交通事故による後遺症等により今後満足に働くことができなくなる等の精神的苦痛を受けると考えられています。その苦痛を癒すために支払われる金銭が後遺障害慰謝料です。
そして、後遺障害慰謝料を得るためには、後遺症の症状の度合いを類型的な等級ごとに定めた後遺障害等級認定を受ける必要があります。後遺障害等級認定を受けるに際しては、診断書のほかに後遺障害診断書、MRI画像といった資料が必要となります。これらの資料は基本的に医師のみが作成することが認められているものであるため、この観点からも整形外科をまず受診し、その後は併用することが重要であるといえます。
3 むちうちによる慰謝料相場
⑴慰謝料には3つの算定基準がある
入通院慰謝料や後遺障害慰謝料には3つの算定基準があります。
まず、1つ目の算定基準は、自賠責基準です。車の所有者には加入が義務付けられている自賠責保険に従った基準です。そもそも、自賠責保険とは交通事故被害者に対して最低限の補償を行うことを目的に定められたものであることから、最も低額の基準です。
次に、任意保険基準は、各保険会社が独自に設定していると予想される基準です。公開されることはありませんので具体的な基準については不明です。もっとも、保険会社は、営利企業として利潤を追求するあまり、慰謝料をあまり支払いたくないと考えていることが、これまでの保険会社の態度から容易に推認することができます。そのため、自賠責基準に近い算定額の低くなる基準と推測されます。
最後に、弁護士基準は、裁判において実際に認められた賠償額をもとに算定する基準です。裁判になっても紛争処理を続けることのできる弁護士ならではの基準であるといえます。自賠責基準や任意保険基準の倍近く高く算定されることもあるなど、最も高額に算定される基準です。
⑵治療期間は一般的に1ヶ月~3ヶ月程度
むちうち症の治療期間は一般的には1ヶ月~3ヶ月程度が相場です。しかし、症状が改善しなければ、6ヶ月程度通院することもあります。通院の必要性を判断するのは医師ですので、痛みや違和感などの症状をこまめに伝え相談するようにしましょう。
4 交通事故を多く取り扱う大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。
本記事では、交通事故被害で最も多いむちうちを題材に、交通事故慰謝料について、その相場はどのようなものであるのかについてご説明致しました。
慰謝料には3つの基準がありますが、弁護士基準が最も高いことを分かっていただけたかと思います。しかし、被害者の方が単独で保険会社と交渉を行う際に、この金額に従った慰謝料を主張しても保険会社が受け入れることはあまり考えにくいです。
そのため、弁護士が介入して交渉を行うことが重要であるといえます。その際、交通事故を多く取り扱う大阪(なんば・梅田)・堺・岸和田・神戸の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。
このコラムの監修者
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太田 泰規(大阪弁護士会所属) 弁護士ドットコム登録
大阪の貝塚市出身。法律事務所ロイヤーズ・ハイのパートナー弁護士を務め、主に大阪エリア、堺、岸和田といった大阪の南エリアの弁護活動に注力。 過去、損害保険会社側の弁護士として数多くの交通事件に対応してきた経験から、保険会社との交渉に精通。 豊富な経験と実績で、数々の交通事故案件を解決に導く。